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新NISAが始まって1年……。失敗や制度の誤解など、FPが実際の相談内容を紹介!

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月5日 10時0分

新NISAが始まって1年……。失敗や制度の誤解など、FPが実際の相談内容を紹介!

2024年は新NISA制度が始まり、本格的に投資にチャレンジした人が増えた1年でした。投資初心者のAさんもその一人です。勉強熱心なAさんがどのように実践したのか、今年の失敗を次に生かすヒントとともに探ります。

つみたて枠はS&P500とオルカン

新NISA制度が始まるにあたり、さまざまな手引書があふれました。「“始めたいけど、どうしたらいいのか分からない”という初心者は、手始めにつみたて枠を使うこと」これは共通していたでしょう。
 
投資のリスクを軽減するための鉄則は、「分散」です。つみたて枠で買える投資信託は、あらかじめ長期分散投資に向いた商品として選別されたものです。コストが安く、毎月分配ではないので投資効率がよいなどの条件をクリアしていますので、商品を選ぶ難しさは軽減されています。とはいえ、2024年10月24日時点で301本あります(※)。
 
過去の運用成績を見ると、国内株式よりも海外特にアメリカ株式の上昇率がよいので、国内株式ではなく海外の株式型に注目が集まりました。
 
Aさんも例外ではなく、つみたて投資枠を使ってS&P500とオールカントリー(通称オルカン)に投資しています。S&P500は、アメリカを代表する企業500社を投資対象にした投資信託です。
また、オルカンはその名のとおり、世界中の企業を投資対象にしています。ですが、実際の構成銘柄は約6割がアメリカ企業で占めています。この1年間での投資成績は順調ですが、分散投資しているつもりがアメリカに偏っていることに気がつき、「来年以降のアメリカ経済は大丈夫か?」と不安がよぎるそうです。
 
投資において、この「不安がよぎる」ことは大事だと考えます。気になるのでチェックする習慣がつきます。投資信託の値動きだけでなく、組入銘柄はどうなっているのかなどにも目が届くようになります。「積立投資は10年以上の長期展望なので、ほったらかしでも大丈夫」。確かにその考え方もありますが、せっかく投資を始めたのですから、もう少し踏み込むことで投資に対する興味や理解がさらに深まります。
 
Aさんは来年以降もこのままの商品で継続するか、再考するかを思案中だそうです。積立投資は、継続することが成功の秘策です。投資対象を変えたとしても、積立は続けてほしいと思います。
 

成長枠で何を買う?

つみたて投資枠でS&P500とオルカンに投資しているAさんですが、成長枠では3種類の投資信託に投資しています。投資対象は、国内高配当株式・国内中小型株式・半導体関連株式です。
 
気になる運用成果は、国内高配当株式は2%の利益、国内中小型は赤字、半導体は10%の利益だそうです。「半導体は海外の半導体企業がメインなのでよかったが、国内の高配当株式は当初の予想を大きく下回ったのでガッカリ」との感想です。どの商品も保有中なので、あくまで含み損益ですがAさんの期待には沿えなかったようです。
 
この3種類は、「高配当株投資でお小遣い」「中小型株式の成長を狙う」「時代をけん引している半導体に投資」、いずれも魅力的な内容です。“お試しで買ってみよう”というAさんの判断は間違っていませんが、買うタイミングは重要です。投資信託は、少額でも購入が可能です。そこで一括ではなく、せめて2回に分割して買うようにしてほしいと説明しました。「買う時期が違っていたら結果も変わっていたかも」、Aさんも感じるところがあったようです。
 

今年の経験を生かすとともに制度の再確認

Aさんはつみたて投資枠と成長枠を使いわけて投資をしています。情報収集も着々と進めているようなのですが、会話のなかで気になるフレーズがありました。「年内に投資信託を売却して投資枠を復活させたいと思っています」、これは勘違いではないか、と思いました。NISA制度は、図表1のとおりです。
 
図表1


 
NISAの年間投資枠は、120万円+240万円です。来年になると、新たな枠となります。年間最大360万円の投資ができますので、1800万円÷360万円=5年と、最短5年で使い切ることになります。限度額1800万円を使い切るとNISA口座での新たな投資はできなくなるので、買いたいものがあれば既存のものを売却して枠を空けることになります。
 
Aさんのように慎重に情報収集していても、こうした勘違いがあります。旧NISA制度との変更点で、混同することも考えられます。今一度、基本のおさらいもお勧めです。金融庁ホームページのサイトを参考にされてはいかがでしょうか。
 

出典

(※)金融庁 NISA特設ウェブサイト つみたて投資枠対象商品
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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