相続する財産が不動産だけで相続税を納めるお金がないかも。今からできる対策は?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月7日 23時0分
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、二人以上世帯の場合の持ち家率は全国平均で68.9%となっています。世代別に見ると、年齢が高くなるにつれて持ち家率が高くなり、60歳代以上では約8割となっています(※)。 そのため、高齢者に相続が起こると、相続財産の課税財産のなかに不動産が占める割合が多くなる人もいます。このような場合に相続税が発生すると、相続した人に相続税を納める現金がないということもあります。 そこで今回は、相続財産の大半を不動産が占めている人が注意しておくことをお話しします。
相続財産を書き出しましょう
まずは、相続財産は何があるかを把握し、分かる範囲で書き出してみましょう。相続財産には、以下のようなものが挙げられます。
●資産
●みなし財産
●債務
●葬式費用
●相続開始前に贈与した財産
(相続税の申告書の順に記載しています)
資産とは、現預金・土地・建物・車・株式・投資信託・金・貸付金などが挙げられます。普通に想像がつくものもあれば、人にお金を貸していて返してもらっていないお金(貸付金)というように、想像しにくいものも資産となります。
みなし財産とは、代表的なものは「生命保険金」と「退職金」です。前者は亡くなった人が保険料を負担していて、亡くなったことが原因で亡くなった人以外の人が受取人になっている場合が「みなし財産」として相続財産となります。
「退職金」は、亡くなったことにより勤めていた会社が支払った退職金(一定の要件あり)が相続財産となります。
債務・葬式費用は、亡くなった時点で抱えているローンや亡くなった後に支払った最後の医療費など、さらには、その亡くなった人に係る葬式費用(一部除かれるものあり)は、「マイナスの財産」という意味で、すべての相続財産の合計からマイナスすることができます。
相続開始前に贈与した財産について、令和6年に亡くなった人の場合、相続開始前3年以内に贈与した財産(暦年課税したもの)は、相続財産として加算されることになっています。
そのため、この加算された財産に対して贈与税を支払っていれば、相続税を計算するときに贈与税額控除されます。ただし、相続時精算課税制度を使って贈与していた場合には、その制度により贈与した財産はすべて、相続財産となるので注意しましょう(一部控除できる金額もあります)。
相続税は金銭一時納付が原則です
相続税は、相続財産を集計して一定の方法により税額を計算します。税額が発生すると、その税額は金銭で一括納付することが原則です。つまり、お金がないと相続税を納めることができません。
相続税は財産を取得するという考えから、例外として金銭で分割して納付することや不動産等をそのまま納める、という方法もあります。しかし、その例外を使うには条件があり、難しいことのほうが多いです。
そのため、相続財産を書き出してみて、全体の財産のうち不動産の割合が高いとなった場合は、事前に相続税額の予想をたてておく必要がでてきます。
財産を書き上げておくことで事前対策を
亡くなった人が、どこの金融機関にいくら残していたのか、どこの不動産を所有しているのか、といったことは家族であっても分からないことが多いです。
日本では昔からお金の話をタブー視する傾向があったため、財産について誰にも言わずに秘密にしている人も多く、相続が発生して初めて、残された家族が「財産は何があるのか」ということから調べることが多いです。
もし、あらかじめ財産をある程度書き出し、その資料をもとに引き継ぐ人と話し合えれば、税額の予想をすることもでき、その税額が引き継ぐ現預金で納められるのか、といったことまで分かります。
もちろん、書き出すだけで税額の予想までできる訳ではありませんが、「相続財産を書き出すこと」は、まず始められる一つの対策です。
そのうえで、専門家に実際の相続税額を試算してもらい、手元にある現預金と相続する現預金で支払えるかの確認をする必要があるでしょう。さらに、万一その相続税額が支払えないと分かった場合は、不動産の売却や相続税の延納や物納といったことの検討も必要になるかもしれません。
残される家族に迷惑をかけることのないよう、また、家族からの相続で困ることがないよう、できることは事前にやっておきましょう。
出典
(※)金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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