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大学の在学中に猶予されていた「国民年金保険料」の催促が来ました。払わずに放置してはダメですか? 払わなかったら年金受給額が減るのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月8日 22時10分

大学の在学中に猶予されていた「国民年金保険料」の催促が来ました。払わずに放置してはダメですか? 払わなかったら年金受給額が減るのでしょうか?

日本国内に住む20歳から60歳のすべての人は、国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられています。ただし、学生には、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。 これはあくまでも「猶予」であるため、社会人になったら納付することが求められます。とはいえ、給与から差し引かれる社会保険料に加えて、学生時代の国民年金保険料も納付することは負担が重く、「できれば払いたくない」と思うかもしれません。   本記事では、あらためて、学生納付特例制度について理解するとともに、猶予された分を支払わなかった場合の影響について解説します。

「学生納付特例制度」とは

「学生納付特例制度」は、前年の所得が一定以下の20歳以上の学生が、国民年金保険料を支払うことが難しい場合に、申請することで、納付を「猶予」してもらえる制度です。本来であれば、国内に住む20歳以上の人は、国民年金保険料を納付する義務がありますが、「学生納付特例制度」を利用することで、在学中は保険料を納めなくても未納扱いになりません。
 
特例期間中の保険料が、「未納」ではなく「猶予」であることには意味があります。保険料を支払わなくても、加入者としての資格は保障されるため、障害や死亡といった不測の事態が生じた場合でも、要件を満たせば、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。そのため、経済的に困難な学生にとって安心な制度といえます。
 
この制度を利用すると、猶予されていた期間は、将来、老齢年金を受け取るための「受給資格期間」には含まれますが、実際の年金額には反映されません。そのため、猶予された期間の保険料は、最大10年間「追納」することができます。社会人となり収入を得るようになったときに「追納」すると、「納付済期間」として年金額に反映されます。
 

猶予分の保険料を支払わなかった場合の影響

猶予された期間の保険料を「追納」しない場合、つまり10年以内に後払いしない場合、その期間分は、年金の計算対象から外れるため、将来の年金受給額が減ります。
 
20歳から60歳までの40年間(480月)保険料を納付した方の場合、2024年度(令和6年度)新規裁定者の年金額は満額で81万6000円です。1月でも納付していない期間がある場合には、月数に応じて減額されます。
例えば、2年(24月)間、猶予分の保険料を支払わなかった場合には、
81万6000円 × (480-24)÷ 480 = 77万5200円となり、満額受給額との差は年間で4万800円少なくなる計算です。
 
月額でいえば3400円となり、わずかに思えるかもしれませんが、65歳以降生涯にわたって受け取ることのできる公的年金であることをふまえると、意外と影響は大きいといえるのではないでしょうか。
 

「学生納付特例制度」を利用しないという選択肢もある

大学在学中に「学生納付特例制度」を利用して、国民年金保険料の納付が猶予されていた場合、猶予された保険料は支払わなくても、延滞金などの罰則はなく、即座にペナルティーが発生するわけではありません。ただし、放置すると、将来的に年金額の減額といった不利益が生じる可能性があります。
 
厚生労働省の「国民年金被保険者実態調査結果(令和2年)」によると、学生のうち「学生納付特例制度」の利用者は63.9%と高い割合を占めているのが現状のようです。学生だから免除されているわけではなく、所得がない状況であることをふまえて社会人になるまで猶予されているということを認識しておきたいものです。
 
給与から学生時代の国民年金保険料を捻出することは、負担と感じることでしょう。しかし、まだまだ先と思いがちですが、将来の年金受給額に影響することを理解したうえで追納することをおすすめします。なお、追納した金額は、社会保険料控除の対象となるため所得税や住民税軽減の効果があります。
 
学生納付特例制度は、所得のない学生にとって安心の制度であると同時に、社会人になったときの負担を伴う制度でもあります。現時点で学生である場合には、数年後の負担を回避するために、学生納付特例制度を利用せず、納付するという選択肢もひとつとして考えてみてください。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
厚生労働省 令和2年国民年金被保険者実態調査 結果の概要
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP®認定者・相続診断士

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