選挙で話題となった「年収103万円の壁」を改めておさらい。103万円未満の年収を超えるメリットについても解説。
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月9日 3時20分
年収には、税金や社会保険料、各種手当などが含まれますが、生活に直結するさまざまな制度の「壁」が存在します。本記事では、年収103万円未満と年収103万円以上の違いについて解説し、それぞれのメリットを比較します。
年収の壁は大きく分けて3種類ある
年収には境目となる「壁」が存在し、年収の壁は、生活に影響を与える重要なラインです。
年収103万円の壁は所得税の支払いが発生する境目
年収103万円の壁とは、パートやアルバイトなどで得た年収が103万円を超えると所得税が課税される境目のことを指します。103万円未満の収入に対しては基礎控除と給与所得控除が適用され、実質的に所得税はかかりません。
基礎控除は48万円、給与所得控除は55万円がそれぞれ適用され、合計で103万円となる計算です。103万円を超える年収があれば、税制上の扱いが変わり、所得税の支払いが発生します。
また、年収が103万円を超えると、扶養控除から外れ、扶養者の税金にも影響をおよぼします。親が扶養控除を受けている場合、扶養を外れることで、親の所得税や住民税が増える可能性があるでしょう。
年収を103万円未満に収めるメリット
年収を103万円未満に収めることには、税金や社会保険料の面で大きなメリットがあります。このラインを超えるかどうかで、家計への影響が大きく変わるため、慎重に判断することが大切です。
年収が103万円未満であれば、所得税がかかりません。つまり、年収が103万円未満であれば、手取りの収入がそのまま残ります。所得税の支払いが発生しないことで、家計の負担を大幅に軽減できるのです。
また、年収が130万円未満であれば扶養に入れるため、社会保険料を支払う必要もありません。給与から社会保険料を引かれることなく、手取り額が手元に残ります。社会保険料は給料から天引きされるため、年収が103万円未満であれば、負担を回避でき、実際の手取り金額が増えることになります。
年収を103万円以上稼ぐメリット
年収が103万円を超えることで、単に収入が増えるだけでなく、将来の保障や福利厚生の面でも大きなメリットがあります。厚生年金は給与所得者が加入する公的年金制度で、支払った保険料とその支払期間に応じて、将来の年金額が決まります。年収が103万円を超えると厚生年金に加入でき、将来受け取る年金額が増える可能性があるでしょう。
さらに、年収が103万円を超えると、病気やけがで仕事を休んだ場合に受け取れる傷病手当や、出産に伴う出産手当の対象にもなります。各種手当は収入を一定期間補償してくれるものであり、安心して生活するための重要な支援になるでしょう。
年収103万円未満と以上どちらがお得?
年収103万円 と年収103万円以上にはそれぞれのメリットとデメリットがあります。一概にどちらが得かを決めることは難しく、生活状況や目的に応じて選択することが大切です。例えば、子育て中の家庭や、扶養者が税制上の控除を最大限に活用したい場合は、扶養範囲内で働くことは有利となるでしょう。
ただし、扶養範囲内で働くことには制限もあります。例えば、将来のための貯蓄や、急な支出への対応、家計全体での収入増加を目指す場合には、年収103万円以上の収入を得ることが必要になるケースがあります。また、子どもにかかる費用や老後資金を考えると、年収を増やす選択肢が求められることも多いでしょう。
一般的には、年収150万円~170万円以上を稼ぐことで、税金や社会保険料の負担を増やしつつも、手取りが増える働き方が可能です。扶養から外れたとしても、収入増加に伴う生活の安定やキャリア形成といった面で有益な面が多くなるといえます。
年収103万円の壁を知って適切な選択を
年収103万円の壁には、税金や社会保険料、扶養控除など、家計に大きな影響を与えるポイントが多くあります。年収103万円未満であれば、税金や社会保険料の負担を軽減し、手取りを最大化することが可能です。
しかし、年収を103万円以上にすることで、将来の年金や社会保険の保障、キャリアの成長などの面で大きなメリットを享受できる場合もあります。自分のライフスタイルや目標に合わせて、どちらの選択がより有益かを見極めることが、より安定した生活を築くための重要な一歩となるでしょう。
出典
厚生労働省 年収の壁について知ろう
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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