人気のインデックス運用に便利なETF 投資信託との違いとは
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月14日 9時0分
投資の初心者にも分かりやすく、かつ簡単に分散投資ができる方法として、インデックス運用が人気です。インデックス運用とは、市場全体の動きを示す指標(インデックス)に連動するように運用し、市場平均並みの成績を狙っていくというものです。 個人投資家にとっては、インデックス運用を行っているETF(上場投資信託)や投資信託を購入することが一般的なやり方となります。では、そのETFと投資信託では、どのような違いがあるのでしょうか?
ETFのほうが手数料は安い
インデックス運用を行っている投資信託では、運用手数料が安いものが多いのですが、一般的にはETFのほうがさらに安くなっています。このため、どちらも同じ市場平均並みの成績が狙えるのであれば、手数料面からはETFを選ぶのが妥当です。
実際には、どんな投信やETFでも、インデックスとの乖離が生じる可能性があります。ただ、そこまで見定めるのは運用初心者には難しいことですし、それぞれのファンドの乖離幅は時とともに変動します。一方で運用手数料の差はずっと継続しますので、やはり運用手数料の比較は重要です。
ETFは株式のようにリアルタイムで取引できる
投資信託は、一日に一回、その日の基準価格で取引が行われます。ただし、取引を申し込んだ時点では基準価格は分かりません。一方ETFは、株式のように、金融商品取引所が開いている時間帯であれば、その時の市場価格で取引ができます。指値注文なども可能です。
インデックス運用はそもそも長期運用に向いているため、リアルタイムで買えることを、ことさら重視する必要はないとも考えられます。しかし、購入する時点で購入価格が分かっていることに安心感を覚える人も少なくないでしょう。
ETFの流動性に対する懸念には新たな対策
運用手数料と取引時間については、上記のように、投資信託よりもETFのほうが魅力的に見えます。
かつて、ETFには流動性に関する懸念がありました。銘柄によっては取引額が少なかったり、売値と買値の開きが大きいため思ったような価格で売りにくかったり、そもそも取引が成立しづらいといった問題があったのです。
この問題に対処するため、東京証券取引所は2018年7月に、「マーケットメーク(値付け)制度」を導入しました。この制度に参加する証券会社などが、100銘柄超のETFに対し売値と買値を常時示すことなどによって、取引を成立させやすくしたのです。
実際、制度の対象となったETFの7割で、売値と買値の幅が縮小し、売買代金も増えたとされます。ただ、東証には約220のETFが上場しており、逆に言えば、現時点ではまだ半分以上がマーケットメーク制度の対象ではないことになります。
そのため、銘柄選択においては、対象かどうかも確認しておくことが賢明と思われます。
上場廃止リスクと大口株主リスク
証券取引所に上場しているETFは、株式と同様に上場廃止となることがあります。株式と違って、上場廃止となってもいきなりETFの価値がゼロ近辺まで下がるわけではありません。ETFがその中に保有している財産の価値は、上場廃止の決定によって大きく変わるものではないためです。
ただし、保有者は予定していなかったタイミングで運用を中断させられることになり、また市況が悪化しているようなタイミングなら、強制的に損失を出さざるを得ないことになってしまいます。
上場廃止は、運用会社が「当初想定したような運用が困難になった」と判断した際に行われますが、多くは純資産額の伸び悩みが原因となっています。
このため、ETFを選ぶ際には、なるべく純資産額や受益権口数の大きなものを選ぶことが重要となります。実は投資信託においても、純資産額の低迷は、「繰り上げ償還」という同様のリスクにつながる可能性があることから、同じく注意が必要です。
多くの人に当てはまる話ではありませんが、投資信託にはないETFだけのリスクとして、大口株主になってしまうというリスクがあります。大口株主とは、発行済株式総数の3%以上を保有している個人をいい、その個人が受け取る配当は総合課税となるのです。
株式の配当と同様に、申告不要制度を選択した場合のETFの配当に対する所得税率は、源泉徴収税率の15.315%(復興特別所得税を含む)です。しかし、大口株主は、少額配当等(※)の場合を除き、申告不要制度を選択できません。
先に述べたマーケットメーク制度の対象となっているETFでも、純資産総額が5億円を下回るような小ぶりのものが存在します。
純資産総額5億円のETFなら、1500万円以上投資した場合には単純計算で大口投資家になります。このようなまとまった資金の投資ができる人は、所得も大きい場合が多いでしょうから、所得税率も高いため特に注意が必要です。
以上、インデックス運用を行う上で利用しやすいETFについて、その特徴をまとめてみました。現状では特定のETF銘柄にのみ取引が集中している状況ですが、使い勝手の改善とともに、徐々に認知度と人気が高まっていくことが期待されています。
(※)「少額配当等」とは、1銘柄の1回の配当金額が、10万円に配当計算期間の月数(最高12ヶ月)を乗じてこれを12で除して計算した金額以下のもの。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
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