27歳の会社員です。収入に余裕が出てきたので、学生時代に猶予した「国民年金保険料」を追納しようか迷っています。今からでは遅いでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月15日 10時0分
学生時代に経済的負担を軽減するため、学生の納付特例を利用するケースがあります。納付特例では国民年金の保険料支払いが猶予されますが、猶予されたままにしていると将来受け取れる年金額が減る点に注意が必要です。 年金を満額受給したいなら、追納をしましょう。今回は、追納制度の概要や、追納以外で年金額を増やす方法などについてご紹介します。
年金は追納できる
免除制度や猶予制度を利用すると、その期間は保険料の負担が一部もしくは全額免除・納付猶予されます。しかし、利用した期間分だけ受け取れる老齢基礎年金額は減少します。
追納制度では、申請をしてから支払っていない保険料を納めると、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることができます。ただし、制度の利用から10年を超えた年金は追納できません。例えば、20~22歳まで学生の納付特例を利用していた場合、30歳を超えると全額の追納はできなくなります。
追納をするためには、追納申込書に必要事項を記入したあと、年金事務所へ送付か直接提出しましょう。オンラインでの申し込みはできません。
なお、保険料の免除や納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納するときは、当時の保険料に加算額がプラスされます。
例えば、日本年金機構によれば、令和6年度から7年前の平成29年度分(平成29年4月~平成30年3月)の保険料は月1万6490円なので、当時支払っていれば1年で19万7880円です。しかし、納付猶予により7年後に支払うと月1万6670円なので、1年で20万40円になります。通常支払うときと比べて、2160円の差です。
少しでも安くするためには、なるべく早く追納しましょう。
27歳から追納すると年金額はいくら変わる?
今回は、以下の条件で老齢基礎年金額を計算しましょう。
・20~22歳(24ヶ月)まで学生の納付特例を利用
・27歳で全額追納
・卒業後は欠かさず保険料を納付済み
・受給金額は令和6年度分とする
まず、満額支払った場合の老齢基礎年金額は、日本年金機構によると、令和6年度時点で毎月6万8000円、年81万6000円を受け取れます。今回のケースだと20歳から10年以内に追納を終えているので、受け取れる金額は満額です。
もし追納をしなければ、年金額は24ヶ月分減ることになります。学生納付特例で2年間支払わなかったときの年金額は、「81万6000円×456ヶ月(納付済み月数)/40年(加入可能年数)×12ヶ月」なので、77万5200円になります。満額と比較して、4万800円(月3400円)の減額です。
追納以外で年金額を増やす方法
将来受け取れる年金額を増やす方法には、追納以外に「繰下げ受給」もあります。繰下げ受給は、通常年金を受け取る年齢である65歳から繰り下げた月数に応じて受給額を増やせる制度です。
日本年金機構によると、「繰り下げた月数×0.7%」の割合で受給額は増加し、最大で75歳0ヶ月、84%まで増やせます。例えば、年金を月20万円受け取れる方が繰り下げたときの受給額は、以下の通りです。各年齢は、受け取り始める年齢を表します。
・66歳0ヶ月:月21万6800円
・67歳0ヶ月:月23万3600円
・68歳0ヶ月:月25万400円
・69歳0ヶ月:月26万7200円
・70歳0ヶ月:月28万4000円
・71歳0ヶ月:月30万800円
・72歳0ヶ月:月31万7600円
・73歳0ヶ月:月33万4400円
・74歳0ヶ月:月35万1200円
・75歳0ヶ月:月36万8000円
ただし、繰り下げた場合は受け取るまでをほかの収入や貯蓄で賄う必要があります。繰下げ受給をしたいときは、繰り下げている間生活が問題なくできるかを考慮して期間を決めましょう。
猶予や免除から10年以内なら追納で年金受給額を満額に近づけることができる
年金は学生の納付特例や免除制度など、経済的状況に応じて保険料を一部もしくは全額支払わなくてもよい制度が存在します。しかし、支払っていない期間に応じて年金の受給額も減少するため、なるべく多く受け取りたい方は追納制度を利用するとよいでしょう。
猶予や免除制度の利用から10年以内に追納制度を利用すれば、年金額を満額に近づけることができます。なお、追納は申込書の提出が必要です。さらに年金額を増やしたいときは、繰下げ受給なども検討しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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