20歳から45歳になった今までずっと専業主婦でした。老後は夫の年金に加えて「月10万円」ほど欲しいのですが、今からパートで働けば受け取れるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月17日 2時10分
老齢年金には、国民年金を納めた期間に応じて受け取れる老齢基礎年金と、会社で働いた期間や収入によって決まる老齢厚生年金があります。老後の年金額を増やす手段として、専業主婦だった方が働き始めるのは有効な手段でしょう。 今回は、専業主婦だった方が45歳から働き始めた場合に、年金を月10万円受け取れる収入の目安や、年金額を増やす方法、年金以外の資金作りの重要性などについてご紹介します。
45歳からパートで働いて年金を月10万円受け取れる?
まずは、以下の条件を基に、年金を月10万円受け取れる収入の目安を計算しましょう。
・国民年金は満額納めている
・老齢基礎年金額は令和6年度を採用
・厚生年金に加入したのは平成15年4月以降
・加入期間は45~65歳の20年間
・報酬比例部分を老齢厚生年金額とする
月10万円の年金を得るための収入を調べるには、まず老齢基礎年金額を引く必要があります。日本年金機構によると、老齢基礎年金(満額)は令和6年度で月額6万8000円なので、老齢厚生年金で月に3万2000円を受給できれば、年金を月10万円受給できる計算です。
同じく日本年金機構によれば、老齢厚生年金の基本的な受給額は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で求められます。平均標準報酬額は、加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、加入月数で割った数値です。また、標準報酬月額は月収、標準賞与額はボーナスを基に決められます。
つまり、平均標準報酬額が分かれば、必要な年金を受け取れるおおよその収入目安が分かります。
今回のケースだと月3万2000円、年38万4000円の年金を老齢厚生年金で受け取るため、計算式は「38万4000円=平均標準報酬額×0.005481×240ヶ月(20年間)」です。求めると、平均標準報酬額は約29万1918円、年換算で約350万3016円が、年金を月に10万円受け取れる収入の目安になります。
しかし、パートで働くとなると月収約30万円は現実的には難しいといえるでしょう。年金額を増やしたいときは、働く以外の手段も選ぶ必要があります。
少しでも年金額を増やす方法
年金額が月10万円に満たないときは、働く以外に繰下げ受給制度の利用も検討しましょう。繰下げ受給では、年金を受け取るタイミングを繰り下げた月数によって、受給額の割合を増やせる制度です。
日本年金機構によると、増額する割合は「0.7%×65歳に達した月から繰り下げを申請した前の月までの月数」で求められます。例えば、66歳0ヶ月に申請をしたとすると、受け取れるのは「0.7%×12ヶ月」で8.4%増額した金額です。
繰下げ受給では、最大84%、75歳0ヶ月まで受給タイミングを遅らせられます。もし、年金が月8万円の方が75歳0ヶ月まで繰り下げると、受け取れる金額は「8万円×184%」で14万7200円です。
年金以外の資金作りも大切
老後の生活費は、おもに年金と貯蓄から支出します。少しでも、ゆとりある老後の生活を送りたいなら、年金額を増やすだけでなく資金作りも大切です。年金を受け取り始める時点で、いくらくらい貯蓄をしておきたいのか決めておきましょう。
特に、退職後に必要な生活費は把握しておく必要があります。総務省統計局が公開している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、令和5年度時点で夫婦高齢者無職世帯の平均消費支出は月25万959円、非消費支出は月3万1538円でした。
もし、平均額通りだとすると、月に28万2497円、年338万9964円を夫婦の収入もしくは貯蓄で補わなければなりません。
仮に、収入が年金だけで年金を月に10万円受け取っており、夫が年金を月に15万円受け取っていたとしても、月に3万2497円分、年換算で38万9964円は貯蓄からの支出が必要です。
平均支出も基に、夫婦で老後の資金作りについて相談した方がよいでしょう。必要に応じて、年金受給開始後もパート勤務などで働けば、継続的な資金作りも可能です。
パートだけでは難しい可能性があるため繰下げ受給なども検討する
老後の年金を増やす方法として、40代からでも働く方法があります。厚生年金に45歳から加入する場合、今回の条件では年間の収入が約350万3016円、月収が29万1918円ほどあれば、老齢基礎年金と合わせて月10万円の年金を受け取れる計算です。しかし、パート勤務だけで考えると、難しいといえるでしょう。
そこで、パート勤務だけでなく年金の繰下げ受給を活用すると、受け取れる年金額を増やせます。ただし、繰り下げた月数に応じて受給額の割合が増えていくものの、その間は年金が受け取れないので、いつまで繰り下げるかはよく考えて決めましょう。
年金以外に、老後の資金作りをしておくことも大切です。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 年金の繰下げ受給
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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