「住宅ローン」の金利が上がる⁉「35年ローン」の場合、金利が「1%」上がると「返済総額」はいくら高くなりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月17日 5時20分
景気や為替の変動に伴い、一部の銀行で「住宅ローン」の基準金利が引き上げとなりました。変動金利で住宅ローンを組んでいる方は影響が大きいため、「今後も金利が上昇するのではないか」と不安に感じている方もいるかもしれません。 銀行によって「引き上げ」と「据え置き」で対応は分かれているものの、変動金利型住宅ローンの基準金利については今後も注視が必要です。当記事では、金利上昇に伴う返済総額の変動や「住宅ローン金利」が引き上げになった際の対応などを解説します。
一部の銀行で変動型の「住宅ローン金利」が引き上げに
2024年10月、日銀の追加利上げを受けて一部の銀行は変動金利型の住宅ローンの基準金利を引き上げました。住宅ローンの金利は、銀行が企業に対し短期で貸し出す際の基準金利である「短期プライムレート」に連動して決まるのが原則です。この「短期プライムレート」は、日銀が設定する「政策金利」の影響を受けます。
「引き上げ」を決めた銀行は、「0.15パーセント」を目安に10月の住宅ローン金利を引き上げているようです。
今回の住宅ローン金利の引き上げは日銀の追加利上げに伴うものですが、住宅ローン以外にも私たちの生活にさまざまな影響が出てくることも予想されます。
金利が上がると「住宅ローン」の返済総額はいくらくらい高くなる?
一般財団法人住宅金融普及協会が公表している「民間金融機関の住宅ローン金利推移」によると、変動金利型の住宅ローン金利はここ30年ほどは横ばいで推移していますが、過去には店頭金利が8パーセントを超える時代があったことも分かります。
今後の金利変動を正確に予測することは困難ですが、例えば住宅ローン金利が「1パーセント」上がった場合、返済総額はいくらくらい高くなるのでしょうか。
住宅ローンの返済総額は借入金額に利息を加えることで算出が可能です。また、一般財団法人住宅金融普及協会の「住宅ローンの金利情報」によると、2025年1月時点の住宅ローン金利幅は表1のようになっています。
表1
最低金利 | 最高金利 | |
---|---|---|
変動金利 | 0.284パーセント | 3.945パーセント |
20年固定金利 | 1.2パーセント | 6.23パーセント |
35年固定金利 | 1.2パーセント | 5.33パーセント |
出典:一般財団法人 住宅金融普及協会「住宅ローンの金利情報」を基に筆者作成
例えば35年ローンで3000万円を借り入れた場合、金利が1パーセントと2パーセントの固定金利と仮定すると、返済総額の違いは表2のとおりです。
表2
金利1パーセント | 金利2パーセント | |
---|---|---|
借入金額 | 3000万円 | 3000万円 |
利息 | 557万円 | 1174万円 |
返済総額 | 3557万円 | 4174万円 |
※筆者作成
このように、金利が1パーセントから2パーセントへ変動すると返済総額は617万円高くなることが分かります。
「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶべき?
前述の通り、金利変動を正確に予測することは困難です。不確定要素も多く予測が難しいなか、住宅ローンの金利タイプはどのように選ぶべきなのでしょうか。まずは、「固定金利」と「変動金利」のメリット・デメリットを表3にておさらいしておきましょう。
表3
メリット | デメリット | |
---|---|---|
固定金利 | ・一定期間金利が固定される ・金利上昇リスクがない |
・比較的金利が高い ・市場金利が下がると不利になる |
変動金利 | ・比較的金利が低い ・現在は超低金利水準 |
・金利上昇リスクがある ・借入時に返済総額を確定できない |
※筆者作成
借り入れ時点で返済総額を確定したい方や、金利変動に振り回されたくない方は、「固定金利」が向いています。一方、金利の動向をこまめに追える方や、金利上昇に耐えられるだけの経済的な余裕がある方は、金利の安い「変動金利」を選択するといいかもしれません。
いずれにしても、目先の金利だけで判断するのではなく、メリット・デメリットを把握した上で、ライフプランに合わせて選択することが重要です。
「住宅ローン金利」が引き上げになった際の対応
金利上昇リスクがあるとはいえ、依然として人気が高いのは「変動金利」です。実際に金利が上昇した際の対応としては、以下のようなものが挙げられます。
●借り換え
●繰り越し返済
●貯蓄のペースを上げる
いずれの対応も、金利上昇への備えとしては効果的な方法です。実際の対応は金利タイプによって異なるものの、家計の見直しや返済プランの再検討なども必要かもしれません。
まとめ
今回は「住宅ローン金利」について解説しました。例えば35年ローンで3000万円を借り入れた場合、金利が1パーセントから2パーセントへ上昇したら617万円も返済総額が高くなります。目先の金利だけで判断するのではなく、ライフプランに合わせて金利タイプを選択することが重要です。
出典
一般財団法人住宅金融普及協会 金利について
一般財団法人住宅金融普及協会 住宅ローンの金利情報 住宅ローン金利幅【2025年1月】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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