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親の介護で会社からサポートが出る?「両立支援等助成金」とは

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月18日 4時30分

親の介護で会社からサポートが出る?「両立支援等助成金」とは

親の介護と仕事は、どちらも大切にしたいものですが、実際には大きな負担となることがあります。ところで、企業が一定の要件を満たすことで国から助成金を受けられる制度があることをご存じでしょうか。この助成金がどのようなものなのか、どのように活用できるのかについて見ていきましょう。

両立支援等助成金とそのコース一覧

両立支援等助成金は、従業員が仕事と家庭を両立できる職場環境の整備を目指す事業主をサポートするための制度です。この助成金には、以下の6つのコースが設けられています。
 

・出生時両立支援コース
・介護離職防止支援コース
・育児休業等支援コース
・育休中等業務代替支援コース
・柔軟な働き方選択制度等支援コース
・不妊治療両立支援コース

 
これらのうち、介護に関する支援を目的としたのが「介護離職防止支援コース」です。
 

介護離職防止支援コースの概要と助成内容

介護離職防止支援コースは、介護を理由にした離職を防ぐために、介護休業の取得促進や職場復帰の支援、柔軟な働き方制度の導入を行う事業主に対して助成される制度です。助成金額と主な要件は表1の通りです。
 
表1

助成内容 支給金額 主な要件
介護休業取得時 30万円 ・対象労働者と面談を行い、介護支援プランを策定すること
・5日以上の介護休業を取得させること
職場復帰時 30万円 ・休業を取得した労働者に対し、復職後にフォロー面談を実施し記録すること
・原則として元の職務に復帰させ、3ヶ月以上継続雇用すること
介護両立支援制度 30万円 ・労働者と面談を行い、介護支援プランを作成すること
・介護両立支援制度を20日以上利用させること
・申請時点で継続雇用されていること

出典:厚生労働省「令和6年度両立支援等助成金リーフレット」介護離職防止支援コースより筆者作成
 
1年度あたり支給対象となるのは5名までです。介護休業中に代替要員を雇用した場合には20万円、または周囲の従業員が業務をカバーし手当を支給した場合には5万円の加算があります。
 

両立支援等助成金を活用する企業側のメリット

企業側のメリットは以下の3つです。
 

・返済不要
・従業員の定着率向上
・採用活動のアピールポイントになる

 
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
 

返済不要

両立支援等助成金は金融機関の融資と異なり、返済義務がありません。
 

従業員の定着率向上

介護の負担で離職する従業員を減らすことができるため、優秀な人材の流出を防ぎます。また、長期的な雇用の維持により、新たな人材採用や教育コストの削減が期待できます。
 

採用活動のアピールポイントとして活用可能

仕事と家庭を両立できる職場であることは、求人市場での競争力向上に繋がります。特に優秀な人材を惹きつける要素となり、企業のブランド力向上にも寄与します。
 

両立支援等助成金を利用する従業員側のメリット

従業員側のメリットは以下の2つです。
 

・仕事と家庭を両立できる
・心理的な負担軽減

 
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
 

安心して仕事と家庭を両立できる環境

両立支援体制が整っていることで、介護時に柔軟に制度を利用できるため、仕事を辞めることなくキャリアを継続することが可能です。
 

心理的な負担軽減

従業員は周囲に気を使わずに仕事を続けられる環境が整うことで心理的な負担軽減に繋がります。今すぐに介護の必要がない従業員にとっても、「必要な時にサポートを受けられる環境が整っている」という安心感が得られるでしょう。
 

親の介護経験は約2割、50代以上では3人に1人が経験

MS-Japanが実施した「親の介護」に関する調査によると、全体の21.6%が親の介護経験が「ある」と回答しました。年代別では、50代以上でその割合が顕著に増加し、3人に1人が親の介護を経験していることが明らかになりました。
 
また、親の介護に関する不安として「仕事との両立」や「精神的な疲労」を挙げた人が60.8%と最も多く、これらが介護に伴う大きな課題であることが示されています。
 
さらに、介護を理由に離職や働き方を見直した経験についての調査では、35.6%が「経験あり」と回答しました。その中でも「働き方を変えた」という回答が19.4%で最も高く、多くの人が介護と仕事を両立するために働き方を調整している現状が浮き彫りとなりました。
 

両立支援等助成金「介護離職防止支援コース」で従業員も企業もウィンウィンに

「両立支援等助成金」の各種コースのうち、介護に関して企業に助成金が支給されるのが「介護離職防止支援コース」です。
 
このコースでは、企業が介護休業の取得促進や職場復帰の支援、柔軟な働き方制度を導入することで助成金が支給されます。企業がこの制度を活用することで、従業員は介護と仕事を両立させるためのサポートを受けられ、企業も従業員の定着率向上や採用活動でのアピールポイントとして活用できるといったWin-Winな好循環が生まれるでしょう。
 

出典

厚生労働省 2024(令和6)年度 両立支援等助成金のご案内
「Manegy(マネジー)」親の介護に関する実態調査(「MS-Japan調べ」)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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