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親の遺産を「一部だけ」相続することはできる?「相続放棄」の仕組みを紹介

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月18日 5時0分

親の遺産を「一部だけ」相続することはできる?「相続放棄」の仕組みを紹介

遺産を相続するとき、すべての財産にプラスの価値があるとは限りません。もし相続したくない財産が含まれる場合、財産の一部放棄はできるのでしょうか。   本記事では、相続の基本ルールと一部放棄の可否について分かりやすく解説します。

相続放棄とは

相続放棄とは、相続が発生した際に、資産や負債を含むすべての権利や義務を引き継がず放棄する手続きのことを指します。
 
通常の相続(単純承認)では、不動産や現金、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金や保証債務といったマイナスの財産もまとめて引き継ぐことになります。もし、マイナスの財産がプラスを上回る場合、相続放棄を選択することで、被相続人の財産や義務をすべて拒否することが可能です。
 
ただし、この手続きを行うには、相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述を行う必要があります。
 

遺産の一部放棄はできない

実のところ、遺産の一部だけを放棄することはできません。相続放棄を行うと、資産も負債も含め、すべての相続権を失うことになります。また、一度手続きが完了した相続放棄は取り消すことができません。
 
例えば、借金を放棄して不動産や預貯金だけを受け取るといった選択は認められておらず、相続は一括で対応する必要があります。
 

遺産の一部を放棄したい場合にできる対処法:借金や負債を相続したくない場合

借金やその他の債務を相続したくない場合は、相続全体を放棄する代わりに「限定承認」という手続きを選ぶことができます。限定承認は、プラスの財産がマイナスの財産を上回る恐れがある場合に利用され、相続人は故人の財産の範囲内で債務を負担することになります。
 
これにより、自分の財産で債務を支払う必要はなくなるのです。限定承認の手続きも、相続開始を知ってから3ヶ月以内に行う必要があります。
 

遺産の一部を放棄したい場合にできる対処法:不動産を相続したくない場合

不動産を相続したくない場合には、次のような方法があります。
 

遺産分割協議で他の相続人に相続してもらう

遺産分割協議を通じて、相続したくない不動産を他の相続人に相続してもらうことが可能です。相続人全員の同意が必要ですが、都市部と田舎の不動産を分けて相続するなどの提案も可能です。
 

相続土地国庫帰属制度の活用

不要な土地を相続した場合、この制度を利用して国庫に帰属させることができます。ただし、建物のある土地には適用できず、登記費用や測量費用がかかることもあります。この制度を利用する際は、最寄りの法務局または地方法務局に相談することをおすすめします。
 

一度相続してから不動産を売却する

不動産を相続後に売却する方法もあります。市場価値に応じた適正な売却価格を設定することが重要ですが、売却には時間がかかることもあるため、計画的に進める必要があります。
 

実家相続放棄の主な理由はコストと負担

一般社団法人あんしん解体業者認定協会が運営する「解体無料見積ガイド」は、実家の相続を放棄したいと考えている201人を対象にアンケート調査を実施しました。調査結果の中から、実家の相続を放棄したい理由は表1の通りです。
 
表1

実家の相続を放棄したい理由 人数
相続・相続後にコストがかかる 43人
資産価値が低い 39人
管理が難しい 28人
相続手続きが面倒 27人
住むつもりがない 23人
家族と疎遠・関わりたくない 22人
兄弟・親族間で揉めたくない 21人
借金がある・ありそう 19人

出典:一般社団法人あんしん解体業者認定協会「実家の相続に関する意識調査」より筆者作成
 
実家の相続放棄を考えている人々の多くが、相続に伴うコストや負担に対して懸念を抱えているようです。中でも「相続・相続後にコストがかかる」という理由が最も多く挙げられていることから、相続にかかる費用が放棄を決断させる決め手になっていることが分かりました。
 

遺産の「一部放棄」は法律上認められていません

遺産の「一部放棄」は法律上認められていません。相続では、プラスの財産(不動産や預貯金など)もマイナスの財産(借金や負債など)も一括で引き継ぐのが原則です。そのため、特定の財産だけを受け取り、他の財産を放棄するという選択はできません。
 
一部の財産だけを放棄することはできないものの、「相続放棄」や「限定承認」といった手続きを適切に活用することで、負担を最小限に抑える方法もあります。
 
不動産や借金に関する対処法としては、遺産分割協議や国庫帰属制度の活用が有効です。また、一般的に、相続にかかるコストや手続きの負担が放棄の主な理由として挙げられるため、事前に専門家に相談し、計画的に対策を講じることをおすすめします。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 民法 第四章相続の承認及び放棄 第一節総則(相続の承認又は放棄をすべき期間)第九百十五条
最高裁判所 相続の限定承認の申述
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 実家の相続に関する意識調査(PR TIMES)
一般社団法人あんしん解体業者認定協会 解体無料見積ガイド
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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