スタッドレスタイヤを1年間つけていますが、本来は「履き潰しNG」と聞きました。交換が面倒で履きつぶした場合は「違反」になるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月21日 5時10分
スタッドレスタイヤは、冬道での安全な走行を確保するために開発されたタイヤです。氷雪路面でも安定した走行を可能にする一方、夏用タイヤとは異なる特性を持っています。 本記事では、スタッドレスタイヤを1年中使用する場合のリスク、違反になる可能性があるのかについて解説します。
スタッドレスタイヤとは
スタッドレスタイヤとは、かつて使われていたスパイクタイヤに代わって、冬道での安全な走行を実現するために開発されたタイヤです。名前の「スタッド」は鋲(びょう)を指し、「レス」は鋲がないことを意味します。
かつて主流だったスパイクタイヤは、道路を削って粉じんを発生させるという使用方法が環境問題になったことから日本国内では使用が制限されました。現在はその代替として、ゴムの柔軟性やトレッドパターン(溝や切り込み)を進化させた、氷雪路でのグリップ性能を重視するスタッドレスタイヤが広く普及しています。
夏用タイヤとの違い
スタッドレスタイヤと夏用タイヤの最大の違いは、そのゴムの性質にあります。スタッドレスタイヤのゴムは、寒冷地でも柔軟性を保ちながら性能を発揮できるように設計されているため、氷雪路面でもグリップ力を維持し、車両の安定性を高めることが可能です。
価格はサイズやブランドによって大きく変動します。有名ブランドの場合、夏用タイヤ4本の相場はおよそ3万~4万円前後、スタッドレスタイヤではおよそ4万~5万円前後と、スタッドレスタイヤのほうが高い傾向にあるのも違いの一つです。
スタッドレスタイヤの履きつぶしを取り締まる法律はない
現行の法律には、スタッドレスタイヤを履きつぶして使用することに関して禁止する規定はありません。道路交通法や車検においては、タイヤの溝が一定の基準値を超えていれば、履きつぶすまで使用すること自体は違法にはならないようです。
ただし、履きつぶしによってスタッドレスタイヤの性能を低下させてしまうと、雪道や凍結路面での走行が非常に危険になることは明らかです。
履きつぶしたスタッドレスタイヤでは、十分なグリップを得られず事故を引き起こす可能性が高くなります。履きつぶし自体が法律違反にあたるわけではありませんが、安全運転を心掛けるために、タイヤの状態には常に注意が必要です。
1年中スタッドレスタイヤを利用するのがおすすめできない理由
スタッドレスタイヤは、冬道を安全に走行するために設計されていますが、1年中使用することはおすすめできません。その理由は、夏用タイヤと比べて多くの点で性能に差があるためです。ここでは、スタッドレスタイヤを1年中使用するのがおすすめできない理由を紹介します。
氷上・雪上以外では制動力が下がる
スタッドレスタイヤは、氷や雪といった冬道で最大限の効果を発揮できるように設計されています。これらのタイヤには、柔らかいゴムが使用されており、低温でもしなやかさを保つことが可能です。
しかし、暖かい季節の乾燥した路面やウェットな道路では、逆にグリップ力が低下します。スタッドレスタイヤのゴムは柔らかすぎて、タイヤと路面を密着させることが難しく、制動力が低下してしまうことから、急ブレーキをかけた際に車両が止まりにくくなることがあるようです。
燃費や操作性がよくない
スタッドレスタイヤは、柔らかなゴムを使用することで氷雪の上での性能を向上させていますが、その特性が夏の道路では不利に働きます。転がり抵抗が大きいことから、燃費が悪化し、燃料コストが増加すると考えられます。
タイヤの硬さが求められる夏場の道路では、しなやかさが反応速度や安定性に欠ける原因となり、運転時に不安定感を覚えることもあるでしょう。特に高速道路やカーブを曲がる際は注意が必要です。
消耗しやすくコストがかかる
スタッドレスタイヤは、冬の過酷な環境での使用を前提に設計されています。気温が高い季節に使用すると摩耗が早まってしまうため、思ったよりも早く交換が必要になってしまうでしょう。例えば、3シーズン使えるスタッドレスタイヤを1年中使用してしまうと、1シーズンで履きつぶしてしまい、結果的にコストが高くなる可能性もあります。
1年中使用しても違反ではないがコスト面や安全面でおすすめできない
スタッドレスタイヤを1年中使用すること自体は、現行の法律では違反にはならないことが分かりました。しかし、夏用タイヤとの違いを理解せずに使用し続けると、安全性や経済性に大きな影響をおよぼす可能性があるため注意が必要です。
スタッドレスタイヤは、特に乾燥した道路や高温下で使用すると摩耗が早く、制動力や燃費、操作性に問題を引き起こす可能性が高いです。交換頻度が高くなり、最終的にコスト面でも不利となるため、季節に応じたタイヤの交換を検討することがおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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