年末が繁忙期で、うっかり年収106万円を超えてしまった!手取りはどれくらい減る?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月22日 10時0分
アルバイトやパート先で繁忙期に突入したとき、うっかり働きすぎてしまい「年収106万円の壁」を超えた経験がある方もいるかもしれません。年収106万円の壁を超えると、社会保険に加入するため給料から引かれる金額が増えます。 今回は、106万円の壁の概要や、年収105万円と年収107万円の手取り額の差などについてご紹介します。
106万円の壁は社会保険に加入する境目
年収106万円の壁は、労働者が厚生年金・健康保険に加入するかどうかのボーダーラインを指す言葉として広く使われています。厚生労働省によると、加入が必要となる方の条件は以下の通りです。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
このうち、賃金の条件である月額8万8000円を年額に換算すると105万6000円です。約106万円のため、年収の目安として「年収106万円の壁」と呼ばれています。
なお、上記の条件を満たしていても、勤務先の従業員人数が50人以下の場合は適用されない場合があります。また、年収が106万円を超えていても、ほかの項目の条件を満たしていなければ対象外です。
もし年収106万円をギリギリ超えそうなときは、ほかの条件を満たしているのか調べておきましょう。
年収105万円と年収107万円では手取りがどれくらい変わる?
今回は、以下の条件で年収105万円のときと年収107万円のときの手取り額を計算しましょう。
・東京都在住40代
・賞与・各種手当等は考慮しない
・住民税の計算は10%+5000円
・年収107万円のときは厚生年金・健康保険に加入する賃金以外の条件も満たしている
・適用する控除は社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除のみ
・年収105万円の場合は雇用保険に加入していないものとする
・健康保険は全国健康保険協会のものを使用
年収105万円
年収105万円だとほとんどの社会保険料はかからないため、今回は給与所得控除と基礎控除のみを適用します。給与所得控除は55万円なので、課税対象となる所得は「105万円-55万円」の50万円です。
所得税の基礎控除は48万円のため、2万円に対して税金が課されます。税率は5%となり、所得税額は1000円です。
住民税の基礎控除は43万円と定められているので、7万円が課税対象になります。税率をかけると「7万円×10%+5000円」となり、住民税額は1万2000円です。
年収105万円から所得税額と住民税額を引いた103万7000円が手取りになります。
年収107万円
年収107万円のときの月収は約8万9167円です。月収を基にすると、各社会保険料は以下のように試算されます。
・健康保険料および介護保険料(年額):約6万1142円
・厚生年金保険料(年額):9万6624円
・雇用保険料(年額):6420円
・社会保険料合計額:16万4186円
年収107万円のときも給与所得控除は55万円なので、税金の計算は「107万円-(55万円+16万4186円)」の35万5814円を基にすることになります。しかし、所得税の基礎控除額は48万円、住民税の基礎控除額は43万円です。それぞれの基礎控除額を35万5814円から差し引くと0円以下になるため、今回のケースだと給料から税金は引かれません。
手取り金額は年収から支払った社会保険料を引けばいいので「107万円-16万4186円」となり、90万5814円です。
計算をすると、年収105万円で各種社会保険に未加入のほうが、手取りは13万1186円多い結果になりました。しかし、年収の壁の働き控え対策として事業主に対して助成金が新設されています。もし事業主が助成金を活用している場合は、106万円を超えていても手取りがあまり変わらない可能性があるので、一度確認しておくことがおすすめです。
手取りは約13万円減るが企業によっては手当が付く可能性も
年収106万円の壁を超えると、多くの場合厚生年金・健康保険に加入するため、給料から新たに保険料が引かれるようになります。人によっては、年収の壁を超える前よりも手取りが10万円ほど減るケースもあり得るでしょう。
しかし、政府は年収の壁による働き控え対策として、助成金を新設しています。勤務先が助成金を受けている場合は、手当により手取り額があまり変動しない可能性もあるので、確認しておきましょう。
出典
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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