娘夫婦は世帯年収が350万円らしく、「市営住宅」に住むしかないとのこと…。世帯年収がいくらまでなら市営住宅に住めるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月23日 2時20分
市営住宅は経済的に支援を必要とする人々のために設けられた公的住宅です。入居には各自治体で定められた収入基準を満たす必要があり、基準となる「政令月収」の計算方法や対象条件を正しく理解することが重要です。本記事では、市営住宅に入居するための収入基準や、利用するメリット・デメリットなどを紹介します。
市営住宅の入居には収入基準がある
今回、収入基準については、申込者が入居収入基準の緩和が認められている高齢者ではない、また、世帯に障がいのある方や未就学児がいない世帯と仮定して話を進めます。
市営住宅への入居には、自治体ごとに収入基準が細かく定められており、「政令月収」という指標を基に計算されます。政令月収とは、1年間の総所得金額から公営住宅法で定められた控除額を差し引き、その結果を12で割った金額のことです。算出された金額が基準を超えない場合に、市営住宅への入居資格が得られる仕組みになっています。
国土交通省住宅局住宅総合整備課が公表している「公営住宅制度について」によると2人世帯での「政令月収」の目安は、15万8000円ということです。年収はおおむね351万円以下が目安です。
ただしこの金額は収入分位25%の「本来階層の入居収入基準」の額です。市営住宅に住みたい場合、自分の世帯収入が基準に当てはまるかどうかをお住まいの自治体などで確認することが欠かせません。基準を超えると入居が難しくなるため、正確な収入計算を行い、該当する基準を満たしているかをしっかりとチェックすることが必要です。
市営住宅を利用するメリット
市営住宅はさまざまな事情を抱える人々の生活を支えるために設けられたものです。ここでは、市営住宅を利用する際のメリットを3つ紹介します。
家賃が一般的な賃貸より低価格
市営住宅の最大の魅力は、何といっても家賃の安さです。地方自治体が提供する公営住宅は、低所得者や生活に困難を抱える人々の支援を目的としているため、一般の賃貸住宅に比べて大幅に低い家賃で入居が可能です。さらに、家賃は入居者の収入に応じて設定されるため、収入が少ない世帯ほど負担が軽減される仕組みになっています。
保証人なしで利用できる場合もある
保証人を確保するのが難しいと考えられる入居者に対して、保証人なしでの契約が可能になる制度が適用されることがあります。自治体が独自に審査を行い、入居者の信用力や支払い能力を確認したうえで、保証人なしでの契約が可能になります。
入居時の初期費用が抑えられる
一般的な賃貸住宅では、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用が大きな負担となりますが、市営住宅ではその負担が大幅に軽減されます。礼金や更新料が不要な場合も多く、初期費用を抑えられる点は特に魅力的です。これにより、住まいにかかる出費を最小限にし、限られた収入の中でも安心して新生活をスタートさせることができます。
市営住宅を利用するデメリット
市営住宅では、住人同士の交流が盛んなケースが少なくないようです。一人暮らしの高齢者や子育て世帯が多く、隣人同士で助け合おうとする雰囲気があります。しかし、このようなコミュニティーの中で、頻繁に声をかけられたり、イベントや外出に誘われたりすることが負担に感じられる場合もあるでしょう。
多くの市営住宅は築年数が古く、設備面で現代のマンションやアパートに比べて見劣りする点があります。
例えば、エレベーターが設置されていない建物も多く、階段の昇り降りが負担になることがあります。特に、妊娠中の方や幼い子どもがいる家庭、高齢者や持病を抱える人にとっては、大きな不便を感じる場面があるでしょう。
市営住宅では、小さな子どもを育てる家庭が多いことから、生活音によるトラブルが起きる可能性があります。
例えば、上階からの足音や子どもの泣き声、遊ぶ音などが、日常的に気になることがあります。こうした生活音の問題は、マンションやアパートでも起こり得ますが、市営住宅のように子育て世帯が密集する環境では、特に顕著になる可能性があるでしょう。
2人世帯の年収目安は351万円以下
市営住宅を利用するためには、収入基準を満たすことが欠かせません。2人世帯の目安としては年収351万円以下が一般的で、これを超える場合は入居資格を失う可能性があります。
市営住宅は経済的負担を軽減できる半面、住環境や人間関係において独特の課題が伴うこともあります。これらを踏まえ、自分の生活スタイルや家族構成に合った選択をすることが大切です。
出典
国土交通省住宅局住宅総合整備課 公営住宅制度について(6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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