2024年12月から「iDeCo」が拡充! 会社員で「年収600万円」の場合、節税効果はどのくらい? 注意点も解説
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月23日 4時40分
近年、老後資金の準備の1つとして注目を集めるiDeCo(個人型確定拠出年金)ですが、2024年12月から掛金の上限が引き上げられました。 これにより節税効果が増大する可能性がありますが、具体的にどれくらいのメリットがあるのでしょうか。 本記事では、改正により掛金を引き上げられたのはどんな人か、年収600万円のケースで具体的にどれくらい節税効果があるのか解説します。
iDeCoの掛金上限がアップするのはどんな人?
2024年12月から、企業年金の一部(DBや共済など)に加入している人のiDeCoの掛金上限が引き上げられました。対象となるのは以下の制度に加入している人です。
・確定給付企業年金(DB)
・厚生年金基金
・石炭鉱業年金基金
・私立学校教職員共済制度
・公務員の退職等年金給付
これまで月額1万2000円だった掛金の上限が、月額2万円に増額されました。これにより、毎月の掛金を最大8000円追加できるわけです。ただし、企業年金の掛金とiDeCoの掛金を合わせた金額が月額5万5000円を超えないことが条件とされているので、掛金上限が2万円とならない人もいます。
一方、自営業の人、企業年金のない会社に勤めている人、企業型DC(確定拠出年金)のみに加入している人、専業主婦(夫)の掛金上限額に変更はありません。
年収600万円の人の場合どれくらい節税になる?
iDeCoには主に2つの節税効果があります。それぞれについて、年収600万円の人が掛金を月8000円(年9万6000円)増やした場合の具体的な金額を見ていきましょう。
毎年の所得税と住民税が下げられる
iDeCoの掛金を増やすことで、毎年の所得税と住民税を減らせます。小規模企業共済等掛金控除により、iDeCoの掛金分だけ課税所得を控除できるからです。
年収600万円の人(配偶者のみ扶養、社会保険料率15%と仮定)で、iDeCoやそのほか民間の医療保険に加入していない人の課税所得はおおむね260万円となります。
iDecoに入ることで、掛金の分だけ課税所得を減らせるので、月に1万2000円(年14万4000円)拠出していた人は、課税所得が245万6000円となっていたわけです。これを月2万円(年24万円)に増やすことで、課税所得は236万円にまで減らせます。
所得税は課税所得の金額によって税率が変わる「累進課税」ですが、課税所得が195万円以上329万9000円までの場合の税率は10%、住民税の所得割の税率は課税所得金額に関係なく10%です。
つまり、課税所得を9万6000円減らすことで、所得税と住民税をそれぞれ9600円ずつ減らせます。今回の掛金引き上げによって、1年間で合計1万9200円の節税ができるのです。
運用益の非課税メリットも大きい
もう1つの大きなメリットが、運用益に対する非課税措置です。例えば、35歳から60歳までの25年間、月8000円を年利3%で運用すると、元本240万円に対し、約117万円の運用益が見込まれます。
通常であれば、この運用益に対して所得税15%と住民税5%の合計20%、約23万4000円の税金が課されますがiDeCoでは非課税です。このため、運用益が全額手元に残り、老後資金を効率的に増やせます。
掛金増額の注意点
iDeCoには魅力的な節税効果がありますが、注意点もあります。最も重要なのは、原則として60歳まで引き出しができないということです。
そのため、急な出費に備えた十分な貯金がない場合は、iDeCoよりまず貯金を優先するようにしましょう。
iDeCoを使えば節税と資産形成を両立できる
iDeCoの掛金上限額引き上げは、確定給付企業年金や厚生年金基金などに加入している人にとって、より大きな節税効果を得られる機会となります。毎年の税負担軽減に加え、長期的な運用益が非課税となることもメリットです。
ただし、iDeCoには60歳までの引き出し制限があるため、自身の資金計画を十分に検討した上で、掛金の増額を決める必要があります。その上で、老後資金の準備と節税の両方に活用できる手段として、iDeCoを賢く使いましょう。
出典
政府広報オンライン iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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