掛け持ちのアルバイト先を「近所同士」にして交通費を2ヶ所からもらっている息子。「交通費が多くもらえる」と喜んでいますが、問題ないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月24日 2時20分
アルバイトを掛け持ちする場合、通いやすさを考慮して勤務地があまり離れていない場所を選ぶ方もいるでしょう。その際、掛け持ちしていることを伝えていなければ、どちらの勤務先からも交通費を受け取れるケースがあります。 しかし、掛け持ちしている2ヶ所のアルバイト先から交通費を受け取っていると、あとから指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。今回は、勤務先が近いアルバイト先2ヶ所から交通費を受け取ってもよいのかや、多く受け取るとどうなるのかなどについてご紹介します。
アルバイトの掛け持ちで交通費を二重受け取りしてもよい?
アルバイトにかかる交通費の規定は、会社によって異なります。法律で明確に決まっているわけではないため、就業規則で確認しておいた方がよいでしょう。
また、二重で受け取るときは掛け持ちしているアルバイト先のどちらにも申告しておきましょう。無断で二重受け取りをしていると、もし会社の規定で二重受け取りが不可能だった場合にトラブルになる可能性があります。
交通費の受け取りをどちらかの会社に限定するように言われた場合は、指示通りにしましょう。あとで不正受給や過剰請求として会社から指摘されたり、信頼を失って関係が悪化する場合もあります。
解雇される可能性はある?
交通費を過剰に受給した場合、解雇される可能性はあります。実際、過去には通勤手当の不正受給を理由に解雇された判例もありました。
この判例では、自宅からの本当の通勤手段はバイクであるにもかかわらず電車で通勤するとして定期券代を請求し、合計200万円以上の通勤手当を不正受給したとして懲戒解雇されています。解雇を不服として裁判が起こされましたが、裁判でも以下の理由を基に解雇は適当であると判断されました。
・最初から定期券を使わずに通勤する予定なのに意図的に定期券代の差額をもらうつもりで申請していた
・被害額が200万円超と高額である
・反省している様子がない
・訴訟に至るまでの間にお金を返さなかった
アルバイトを掛け持ちし、無断で本来より多くの交通費を受け取っていると、判例のように解雇処分を受ける可能性もゼロではありません。また、解雇まで行かなくとも減給処分や謹慎処分を受ける可能性もあります。
二重受け取りをしたからといってすぐに処分を受けるとは限りませんが、掛け持ちをするときは隠さずに両方の勤務先に伝えた方が処分のリスクを避けられるでしょう。
悪質で金額も多い場合は詐欺罪が適用される可能性も
交通費を意図的にだまし取る目的で多く請求したなど、悪質な場合は詐欺罪が適用される可能性もあります。刑法第246条では「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」と定められているためです。
なお、詐欺罪に該当しなかったとしても、会社が掛け持ちで交通費の二重受け取りを認めていないなら返還をしましょう。返還するタイミングが遅れれば遅れるほど、多く受け取った分に追加で支払わなければいけなくなる場合があります。
もし二重受け取りが駄目なことを知らずにいた場合は、分かった時点で会社に申告しましょう。一括での返還が難しいときは、分割払いで対応してくれるケースもあります。意図的でないのなら、詐欺罪に該当しないかもしれません。
掛け持ちで交通費を受け取るときは必ず勤務先へ相談する
アルバイトを掛け持ちする場合、勤務先の場所が近いと、交通費を実質二重取りすることになります。あとで隠していたことがバレると会社とのトラブルにもつながるので掛け持ちをした時点で同じ地域に掛け持ち先があることを伝えておきましょう。
交通費の規定は会社によって異なるので、掛け持ちをしていても交通費を出してもらえる可能性があります。黙ったままでいると、問題がなかったとしても会社からの信用がなくなりやすくなるでしょう。
交通費の不正受給は、解雇処分や減給処分、また詐欺罪に問われる可能性もあるので、やめましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法第二編 罪 第三十七章 詐欺及び恐喝の罪 第二百四十六条(詐欺)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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