歯科医院の倒産・廃業件数は前年比1.8倍で「過去最高」に!?廃業が止まらない理由とは?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月24日 4時0分
歯や口腔が健康なことで食べる喜びや話す楽しみを感じられることから、歯や口腔の状態は身体的・精神的・社会的な健康にもつながります。歯科医院の数は「コンビニよりも多い」といわれるほど生活に欠かせないものですが、最近は歯科医院の倒産・廃業件数が記録的なハイペースで推移しているようです。 そこで今回は、歯科医院の倒産・廃業件数の推移や、廃業が止まらない理由について調べてみました。歯科医院を選ぶ際のポイントもご紹介しますので、参考にしてください。
歯科医院の倒産・廃業の現状
株式会社帝国データバンクによると、2024年10月末までの集計で、歯科医院の倒産は25件、廃業は101件となり、合計126件が市場から退出したとのことです。2023年度通年の104件をすでに上回って年間最多記録を更新しており、前年比では1.8倍の記録的なハイペースで推移していることが分かります。
過去10年間の歯科医院の倒産・休廃業解散件数(通年/1~10月)をまとめると以下の通りです。
・2015年:55件/48件
・2016年:88件/72件
・2017年:77件/65件
・2018年:98件/82件
・2019年:91件/75件
・2020年:94件/74件
・2021年:95件/71件
・2022年:92件/70件
・2023年:104件/70件
・2024年:-/126件
歯科医院の廃業が止まらない理由とは?
同調査によると、歯科医院の廃業が止まらない理由として以下の点が考えられます。
・歯科医の高齢化
・物価高騰
・患者ニーズの多様化
2024年に休廃業・解散となった歯科医院の代表者年齢は69.3歳で、最高齢は90歳超でした。歯科業界は高齢化が進んでいて、経営者の平均年齢は60歳を超え、歯科衛生士などの人手不足や後継者難が問題になっています。
虫歯治療で使用する銀などの合金を始めとして、材料費などの値上げが歯科医院の経営に大きなダメージを与えているようです。マイナ保険証の導入で電子化が求められるなど、新たな設備投資が必要になっていることも運営を難しくしている要因とみられます。
虫歯治療だけでなく、ホワイトニングなど審美目的の受診を求める患者も増えているといいます。高付加価値の治療や新たな設備投資に積極的な若手と、高齢により廃業を選択する歯科医の二極化が加速している傾向にあるようです。
歯科医院を選ぶ際のポイント
歯科医院を選ぶ際は、歯科医の年齢などを確認して、倒産・廃業のリスクが少ないところを選びたいと考える方もいるでしょう。それ以外にも、今後長い付き合いになる歯科医院を選ぶ際は、信頼できるかを判断するために、以下のポイントを確認できます。
・患者数は適切か
・滅菌・衛生管理ができているか
麻酔が十分に効いた状態で治療を行ったり、患者の不安や質問などに対応したりするためには、時間が必要です。1日に診る患者数が多すぎると、1人あたりにかけられる時間が少なくなるので、患者数が適切かを確認する必要があるでしょう
根管治療は無菌状態で行うためにラバーダムを使っているか、歯を削るための器具であるタービンを患者ごとに滅菌しているかなど、衛生管理が徹底されているかも重要なポイントです。本来医療器具や患者の口だけを触るグローブで、カルテや口腔内写真を撮影するカメラなどを触っている場合も注意が必要です。
NPO法人日本歯科医療評価機構によると、上記のほかにも「いつも同じ先生・衛生士が診てくれる」「初診で時間をかけて検査」「スタッフの定着率」などを良い歯科医院を選ぶ際の基準として挙げています。
歯科医の高齢化に加えて物価高騰や患者ニーズの多様化などが歯科医院の倒産・廃業につながっていると考えられる
歯科医院の倒産・廃業件数は、2024年1~10月で126件あり、前年比1.8倍の記録的なハイペースで推移していることが分かりました。
歯科医院の倒産・廃業の理由には、歯科医の高齢化および歯科衛生士などの人手不足や後継者難が挙げられます。物価高騰による材料費などの値上げや、患者ニーズの多様化に設備投資が追い付かないことも、特に高齢の歯科医が廃業を選ぶ要因になっているようです。
長い付き合いになる歯科医院は、年齢なども確認して倒産・廃業のリスクが少ないところを選びたいと考える方もいるでしょう。それに加えて、適切な患者数で滅菌・衛生管理を徹底している歯科医院を選ぶことも大切です。
出典
株式会社帝国データバンク 「歯科医院」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-10月)
NPO法人日本歯科医療評価機構 良い歯医者の選び方
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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