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50代専業主婦の妻から「熟年離婚」を切り出された会社員。離婚した場合「将来の年金額」はどれだけ減る? 年収600万円のケースで試算

ファイナンシャルフィールド / 2025年1月26日 4時30分

50代専業主婦の妻から「熟年離婚」を切り出された会社員。離婚した場合「将来の年金額」はどれだけ減る? 年収600万円のケースで試算

日本における離婚件数は2002年に最多の約29万組を記録し、その後は減少傾向が続いています。しかし、同居期間20年以上の離婚割合は上昇傾向で、2020年には離婚全体の21.5%を占めています。   このように同居期間が長くても離婚するケースは増えており、婚姻期間の長い50代以上の離婚では、離婚時の年金分割によって将来の年金額が大きく変わる可能性があります。   本記事では、離婚時の年金分割について解説し、年収600万円の会社員の将来の年金額、離婚時の年金分割によりどの程度減るのかをシミュレーションします。

離婚時の年金分割制度とは?

老後に受給する年金のうち、厚生年金額は標準報酬を基礎として算出されます。標準報酬とは、厚生年金保険料の算定の基礎となる標準報酬月額と標準賞与額のことを指します。
 
離婚時の年金分割とは、厚生年金について、婚姻期間中の標準報酬が多いほうから少ないほうに一部を分割することです。なお、離婚時の年金分割によって減額されるのは厚生年金だけであり、国民年金は分割されません。
 
会社員(国民年金第2号被保険者)に扶養されている妻(20歳以上60歳未満で年収が130万円未満かつ配偶者の年収の2分の1未満)は、国民年金第3号被保険者に該当します。
 
年金分割には、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2つがあります。合意分割は、当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を決定し、婚姻期間中の標準報酬を分割します。一方、3号分割は、3号被保険者であった人からの請求で婚姻期間中(2008年4月1日以後に限る)の3号被保険者期間における相手の標準報酬を2分の1ずつ分割します。
 
また、2つの制度の請求期限は、ともに原則として、離婚した日の翌日から2年以内となっています。
 

年収600万円の会社員の年金はいくら?

では、事例に沿って具体的な金額を見ていきましょう。まず、年収600万円の会社員である場合の年金受給額について考えます。
 
年収600万円の会社員の標準報酬月額を50万円(賞与なし)と仮定し、20歳から60歳まで同じ報酬で勤務していた場合、将来の年金額は国民年金と厚生年金を合わせて年間207万円(65歳から受け取った場合)となります。
 
次に、この年金額が婚姻期間中において、妻が専業主婦だった場合、離婚時の年金分割制度でどの程度減るのかシミュレーションしていきます。
 

年収600万円の会社員が専業主婦の妻と離婚すると将来の年金はどうなる?

妻と離婚をした場合、妻側からの請求により、3号分割によって婚姻期間中の第3号被保険者期間における標準報酬月額を2分の1ずつ分割することになります。
 
婚姻期間中の夫の平均標準報酬月額は50万円、専業主婦の妻は0円のため、年金分割により婚姻期間中の標準報酬月額は夫25万円、妻25万円に変わります。
 
仮に35歳で結婚し、15年後、50歳で離婚した場合、年金額は207万円から189万円に、年間で18万円減額されます。仮に65歳から85歳まで年金を受け取る場合、総額で360万円が減額される計算です。
 
なお、30歳で結婚し、30年後の60歳で離婚した場合、合意分割により2分の1ずつに年金分割したとすると、年金額は160万円まで減額されます。年間47万円の減額となり、65歳から85歳まで年金を受け取る場合、総額で940万円の減額となります。
 

まとめ

このように、婚姻期間中の標準報酬が離婚時年金分割制度により変更されると、将来の年金額も変更されます。専業主婦の妻との離婚による年金分割の場合、将来の年金額は減額となり、婚姻期間が長い場合は減額される金額も多くなります。
 
金銭面だけを考えると、離婚しない選択ができたほうがよいですが、夫婦間の事情もあります。今後のためにも年金分割の制度を理解しておくとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 離婚時の年金分割
厚生労働省 公的年金シミュレーター
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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