教育費の準備で知っておきたい「低解約辺戻金特例付終身保険」とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月18日 9時15分
教育費については、住宅資金に次いで相談を多く受けます。政府は今後、教育無償化に力を入れていく方針のようですが、大学などでは一般の所得世帯にはまだ恩恵がないので、やはり貯蓄や奨学金制度などの自助努力が必要です。 お子さまが誕生したときに、将来、教育費がいくら必要かを見極めるのは困難です。それでもやはり、何か少しでも対策を講じておくに越したことはありません。 そこで今回は、FP(ファイナンシャルプランナー)的な教育資金の考え方についてお話しさせていただきます。
大学資金の準備。「NISA」や「iDeCo」、「学資保険」…どれがいい?
目標はズバリ、誕生してから18年後におとずれる大学資金の準備です。
今はNISAやiDeCoなど親しみやすい貯蓄の方法がありますので、どの方法で資金を作っていくのか迷われる方も多いと思います。ですが、その前に「学資保険」について考えてみましょう。
そもそも学資保険は、契約者(お金を払う人)=親、被保険者=子、受取人=親となります。保護者などを実質的な被保険者にした養老保険です。
それなら、普通に養老保険で備えればいいわけですが、「養老保険に加入しませんか?」と勧めるより、「まだ学資保険に入ってないのですか?」と言う方がセールストーク的に楽なのでしょう。
経済を勉強された方からすれば「単なる養老保険でしょ?それならもう少し高い利率が期待できるNISAやiDeCoを始めるので保険は結構です」と答えるかもしれません。素晴らしいと思いますが、ここからさらにFP的な考え方をプラスしましょう。
FPはお金を増やすことより、いかに上手にリスクを回避するかを考えます。NISAなどは金利上昇リスクを回避できますが、保護者の死亡に対するリスクも考えないといけません。
親の生死に関わらず必要になる教育資金は、どっちに転んでも給付のある養老保険、つまり学資保険で備えると安心です。
教育費の準備で知っておきたい「低解約返戻金特則付終身保険」とは
とはいえ、最近の経済情勢では、18年間で満期保険金500万円の養老保険で貯めようと思うと、毎月約2万3000円必要です。自分で500万円払いながら、途中で亡くなっても500万円。運用とはほど遠いですね(図参照)。
養老保険の場合、満期に支払った保険料分はほとんど戻ってきますので、無駄な特約が付いていなければ、無料で500万円の定期保険に入れたと考えることもできます。
しかし、会社によっては元本を下回ったり、契約した利率が最後まで決められている商品がほとんどで、物価上昇のリスクをもろに食らう可能性があるので注意が必要です。
そこで知っておきたいのが、「低解約返戻金特則付終身保険」です。
終身保険なので、同じ保険料でも養老保険より1.7倍ほど死亡保障を手厚くでき、払込期間中(通常10年~17年ほど)の解約返戻金を7割程度に抑えることで、払込終了時の解約返戻金を養老保険の満期金より高く設定している商品です。
注意すべき点は3つ。途中で解約すると保険会社が喜びます。そして、利率は最後まで変わりません。あと、18年運用しても5%ほど増えれば御の字です。
クライアントと話をしていくうちに「このご時世で5%も増えるの?元本割れしないなら最高ね!」と聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください! 18年運用して5%って……、利回り0.41%です。政府は2%の物価上昇を目指しているのですよ!
平成5年頃の利率が高い保険は、お宝保険と呼ばれ重宝されますが、今の低金利時代の固定商品は将来的に貧乏くじ保険などと呼ばれたりしないでしょうか? 未来のことは誰にも分かりません。ですが、今どのような方向性で考えていかねばならないかは理解しておきましょう。
それぞれのメリット・デメリットを知り、慎重に比較検討を
NISAやiDeCoは物価上昇や金利変動の影響を受けにくい反面、必ず必要な時期に決められた金額がもらえるわけではなく、万が一の際にはそれまで貯めた分しか残せません。
学資保険は死のうが生きようが目的の金額を目的の時期に用意できる安定感はありますが、市場経済と連動していないので、インフレなどにめっぽう弱いのが難点です。その中間である変額保険や利率変動型保険など、勉強をさらに深めなければならないですね。
執筆者:福田昌也(ふくだ まさや)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)、保護司
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