両親とは離れて暮らしているので、病気や介護などが心配です。「施設への入所は嫌だ」と言われるのですが、在宅療養は可能なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月28日 23時20分
厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書」によると、病気で治る見込みがなく、およそ1年以内に徐々に、あるいは急に死に至ると考えたときに、最期を迎えたい場所として自宅が最も多く、43.8%となっています。 よって、相談者さまのご両親の気持ちは理解できるでしょう。そうなると在宅療養を選択することになりますが、実際にどのようなことに気を付ければよいのか見ていきます。
在宅療養とは? 在宅療養の現状は?
在宅療養とは、医療や介護が必要になっても、ご自身の住み慣れた自宅で、医療と介護の専門職による支援を受けながら生活・療養し、自分らしい生活を送ることです。在宅療養では、通院が困難になっても、訪問で行う医療や看護のサービスにより、自宅にいながら病気の治療やリハビリ等を受けることができます。
現状、「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書」では、最期を迎えたい場所として自宅が1位となっていますが、実際の死亡場所や亡くなる前に医療やケアを受けたい場所の上位は図表1のようになっています。
図表1
(厚生労働省「人生の最終段階における医療・介護 参考資料」を参考に筆者作成)
在宅療養のメリット・デメリットは?
まず、在宅療養のメリットの1つ目です。
上記の「最期を迎えたい場所」の希望にもありますが、在宅療養を選択すると住み慣れた環境で過ごすことができます。病院や施設とは違いさまざまな制約がなく、自分のペースで生活ができます。
また、家族や親戚、友人・知人といった身近な人たちと、面会時間などを気にせずに会いたいときに会うことができ、人との交流がしやすい面もあります。
2つ目のメリットとして、通院の負担軽減が挙げられます。
高齢者にとって定期的な通院は身体への負担が大きいです。また、老々介護の場合には本人だけでなく、通院の際、配偶者や子ども等の身体的負担も大きくなります。
在宅療養は医師等が本人の自宅に出向くため、通院時間や病院の待ち時間の負担もありませんし、薬局と連携している場合には薬も自宅に届けられます。さらに、通院による外出を減らすことによって、感染症のリスクを防止しながら療養できる点もメリットとして挙げられます。
最近は新型コロナウイルス感染症になる患者が増えてきていますし、インフルエンザ等に罹患(りかん)する可能性も増えますが、在宅療養であればその可能性は低くなります。
ただし、デメリットもあります。自宅での療養ですので、病院のような高度な医療は対応できないことがあります。また、容体が急変した場合に素早い対応ができないということもあります。
また、同居の家族等に介護の負担が発生しますし、もしひとり暮らしの場合は誰も見守らない時間があるなどのデメリットもあります。また、家族等には「もし何かあったら……」という精神的なプレッシャーもかかってきます。
費用はどれくらいかかるの?
在宅医療(75歳以上で自己負担1割)の場合、介護サービスを利用した場合の費用の目安は図表2のとおりです。これら以外にも曜日や時間帯、薬や検査、処置等の費用がかかります。また、介護サービスの場合は限度額を超えて利用すると全額自己負担になりますし、高所得者の場合は自己負担の割合が変わります。
図表2
(日野市「日野市在宅療養ガイドブック」を参考に筆者作成)
(日野市「日野市在宅療養ガイドブック」を参考に筆者作成)
無理のない範囲で…
患者本人の希望により在宅療養を選択したとしても、実際に介護をするのは同居の家族です。患者本人に寄り添いたい気持ちは理解できますが、無理のない範囲で行うことをお勧めします。
何か困ったことがあったら、自治体に設置してある「地域包括支援センター」等へ相談するようにしましょう。
出典
厚生労働省 人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書
厚生労働省 人生の最終段階における医療・介護 参考資料
日野市 日野市在宅療養ガイドブック
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
1月30日「節々の痛みゼロを目指す日」制定でさらに注目!在宅高齢者向けの健康促進イベント「笑顔の広場」を同日開催!
@Press / 2025年1月27日 10時30分
-
20年前の3倍「家で看取る」医療を選んだ妻の想い 最期は自宅で…「在宅医療」の中身と費用を解説
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時10分
-
手の施しようない患者が「これが僕の人生」と笑顔で死にゆく…それを「きれいだ」と感じた東大卒医師が貫く信念
プレジデントオンライン / 2025年1月13日 10時15分
-
新居に引っ越すまでは自宅にいたい…しかし刻一刻と容体は悪化して…【老親・家族 在宅での看取り方】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月8日 9時26分
-
「家に戻りたい」を叶える在宅・在施設看取りがさらに増える【2025年の医療を予想する】#7
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月5日 9時26分
ランキング
-
1スタバ、東京23区・大阪市などで「立地別価格」導入&豆乳変更は無料に ネットでは「横浜は含まれませんよね?」「マックも取り入れてる」
iza(イザ!) / 2025年1月31日 16時47分
-
2令和の米騒動で外食の「お代わり無料」が危機に? 対応分かれる各社の現状
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 10時48分
-
3「間違った断熱」で電気代がかさむバカらしさ…職人社長が「一戸建てはエアコン1台で十分温まる」と断言する理由
プレジデントオンライン / 2025年1月30日 7時15分
-
4「まどか26歳」9時5時勤務の研修医が見た"葛藤" 「労働時間が短い=良い」は思い込みなのか
東洋経済オンライン / 2025年1月31日 8時50分
-
5フジ・日枝相談役について取締役の1人「退任を求めるのは難しい」 中居氏と女性をめぐる一連の対応のなかで進退注目
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月31日 13時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください