退職時に会社から払い戻しが効かない期間分の定期代を返却請求された!返さなきゃダメ?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月19日 9時0分
会社員として働いていると、あらかじめ数ヶ月分の交通費が支給されることがあります。前払いされた交通費で購入した定期券の有効期限内に退職した場合、交通費はどのように取り扱われるのでしょうか。 会社から返還を求められた場合、最終出勤日から有効期限までに相当する交通費は会社に返還しなければならないのでしょうか。
定期の有効期間内に退職したら会社から交通費の返還を請求された
Aさんの勤務先は6ヶ月に一度、自宅の最寄り駅から、会社の最寄り駅までの区間における、6ヶ月分の定期券相当額の交通費が支給されます。
その交通費を使い、自身で定期券を購入するよう会社から義務付けられていました。ある日、Aさんが会社へ退職の意思を伝えたところ、会社からは次のような返答がきました。
「退職の予定となる日以降も、まだ、定期券の有効期間が数週間残っています。支給した交通費のうち、退職日から定期券の有効期間満了日までの期間に相当する部分の、交通費の返還をお願いします」
Aさんは会社からの返答を受け、急いで定期券の払い戻し手続きをしましたが、有効期限が近いことから鉄道会社の規定により、払い戻しを受けることができませんでした。
さて、払い戻しを受けることができなかったにもかかわらず、Aさんは退職日以降の交通費相当分を会社に返さなければならないのでしょうか?
まずは就業規則などの確認を
今回の事例の結論としては、「就業規則や賃金規定などの内容、および個別具体的な状況によって異なる」となります。
基本的には就業規則などにおいて、「退職時に通勤定期券の期限が残っている場合、定期券の額面を、残日数で日割りして返還する」など、交通費の精算について定まっていれば、Aさんは交通費を返還する必要があるでしょう。
逆に、就業規則などにおいて交通費の返還について何も定められていないのであれば、状況にもよりますが、必ずしも「定期券の払い戻し金額以上に返還する必要がある」とまでは言い切れません。
ただし、交通費の返還について直接定められていなくとも、「交通費は自宅の最寄り駅から会社の最寄り駅までの往復交通費を出勤日数分支給する」といったように規定されている場合は、注意が必要です。
交通費について、実費で支給するよう定められており、かつ、定期券の購入までは義務付けられていない場合、退職時に交通費を返還しなければならない可能性もあります。
以上のような理由から、退職時に通勤交通費の返還を求められた際の取り扱いは「就業規則や賃金規定などの内容、および個別具体的な状況によって異なる」という結論に達するのです。
通勤交通費の取り扱いは個別具体的な事情により変化します
支給された交通費について、返還する必要があるか否かは、基本的に就業規則などの定めによって結論が異なります。
また、就業規則などに定めがなくとも、個別の状況によっては返還することが必要な場合もあります。退職する時、交通費の返還の有無については、就業規則などに定めがあるかを確認しておくと同時に、社内での慣行なども確認しておきましょう。
特に、会社に返還することとなる金額が、定期券の払い戻し金額を上回ってしまうような場合は注意が必要です。もしも、交通費の返還についてなど、退職時に会社側とトラブルになった場合は、各種専門家や相談機関へ相談するとよいでしょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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