年金を「月15万円」受給しながら嘱託社員として働いており「月15万円」の収入を得ています。この場合は確定申告をする必要がありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月30日 5時30分
公的年金を受給しながら働いている場合、確定申告が必要なのか気になる人も多いでしょう。特に、年金収入と給与収入がそれぞれ高額でない場合、申告が不要だと思うことがあるかもしれません。 しかし、国税庁が定めたルールを確認すると、このような場合でも確定申告が必要なケースが少なくありません。本記事では、確定申告が必要となる条件と申告の際に注意すべきポイントを解説します。
月15万円の年金+月15万円の給与は確定申告が必要
結論から申し上げると、本ケースのように公的年金を月15万円受給しながら、働いて月15万円の給与収入を得ている場合は確定申告が「必要」です。この理由を、年金受給者、給与所得者それぞれの観点から見ていきましょう。
公的年金受給者が確定申告不要となる条件
国税庁によると、公的年金受給者が確定申告は不要となるためには、以下の全ての条件を満たす必要があります。
1.公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であること
2.その公的年金等が全て源泉徴収の対象であること
3.公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること
公的年金が月15万円ということは、年額にすると180万円です。1の要件は満たしますが、3の要件を満たすかを考える必要があります。
会社で働いたことによって得た収入は給与収入となりますが、この金額がそのまま給与所得となるわけではありません。給与所得とは給与収入から給与所得控除を差し引いたものです。月15万円、つまり年間180万円の給与収入を得ている場合は、給与所得控除が62万円ですので、給与所得は180万円-62万円で118万円となります。
つまり、3の要件を満たさないため、確定申告が必要となるのです。なお、給与所得控除の最低額は55万円なので、給与収入を75万円未満に収め、かつ年金と給与以外の収入がない場合は、確定申告が不要ということになります。
給与所得者が確定申告不要となる条件
次に給与所得者の観点で考えます。国税庁によると、以下のいずれかに該当すると確定申告が必要となります。
1.給与の年間収入金額が2000万円を超える場合
2.1ヶ所から給与の支払いを受けている場合で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合
3.2ヶ所以上から給与の支払いを受けている場合で、給与の全部が源泉徴収の対象となり、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える場合
公的年金は雑所得に当たり、「給与所得及び退職所得以外の所得」に該当します。これが「20万円」を超えるかどうかがポイントです。「公的年金等に係る雑所得」は、公的年金の収入から公的年金等控除を差し引いて求めます。
公的年金を月15万円、つまり年180万円受給しているケースでは、「公的年金に係る雑所得」は65歳未満の場合107万5000円(180万円×0.75-27万5000円)、65歳以上の場合70万円(180万円-110万円)です。いずれの年齢でも20万円を超え、2に該当してしまい、確定申告が必要となります。
確定申告にあたってのアドバイスと注意点
確定申告を行う際には、所得税を正しく計算し、節税につながる控除を活用することが重要です。
所得金額調整控除の申請を忘れずに
所得金額調整控除とは、給与所得と公的年金等の雑所得の両方があり、合計10万円を超える人が受けられる控除です。最大10万円の控除により、税負担が軽減されますが、確定申告時に自分で計算する必要があります。 確定申告の手引きに計算方法の記載があるので、必ず適用するようにしましょう。
ふるさと納税のワンストップ特例制度が使えない
確定申告を行う場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度は無効になります。したがって、寄附金控除を受けるためには、確定申告書にふるさと納税に関する情報を記載しなければなりません。 忘れるとふるさと納税の還付が受けられないため、必ず控除額を計算し、申告書に記載しましょう。
医療費控除が適用できるなら申告する
医療費が年間で10万円を超えているか、対象の市販薬購入金額が1万2000円を超えている場合、医療費控除の申請を行うことで還付金を受け取れます。せっかく確定申告をするのであれば、忘れずに適用したいところです。
年金収入と給与収入を得ている人は確定申告が必要か今一度確認しよう
年金収入と給与収入がある場合、確定申告が必要となるケースが少なくありません。知らなかったでは済まされないので、自分は確定申告義務者となっていないかの確認が必須です。確定申告が必要な場合は、節税につながる控除を適用し、税負担を軽減しましょう。
出典
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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