帰省した際に一人暮らしの父から「年金だけでは生活が苦しい」と打ち明けられました。現役時代は「年収700万円」あったはずなのに、それでも足りないのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月31日 6時0分
「人生100年時代」といわれている昨今において、老後の生活に不安を覚えている方は少なくありません。中でも、老後資金や収入面での悩みは尽きないでしょう。 そこで、本記事では年収700万円の場合の年金受給額の目安を解説しつつ、老後資金を作るための資産形成方法も紹介します。
年収700万円の年金額の目安
老後にもらえる年金には、公的年金と私的年金の2種類があります。公的年金とは、国民全員の加入が義務付けられている「国民年金」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」に分けられます。一方、私的年金は公的年金に上乗せして個人や企業が任意で加入することができる年金制度であり、代表的なものに企業年金や国民年金基金、iDeCoがあります。
私的年金に加入していない場合、多くの方が年金による収入として期待できるのは、国民年金と厚生年金でしょう。
国民年金の受給額は保険料の納付期間や年度などで異なりますが、日本年金機構によると、令和6年度の満額は月額で6万8000円です。厚生労働省年金局によれば、令和5年度末時点の国民年金の平均受給額は月額5万7700円、令和5年度における受給額の満額は6万6250円でした。
厚生年金の受給額は加入期間と加入期間の収入などによって異なります。収入が高いほど、納めるべき厚生年金の保険料も上がるため、受給額も多くなります。同じく厚生労働省年金局によれば、令和5年度末時点における厚生年金の平均受給月額は国民年金を含めて14万7360円でした。
年収700万円の場合、受給できる年金額は厚生年金と国民年金を合わせて、月額で19~20万円ほどでしょう。なお、この金額は国民年金の満額受給を前提としています。年間で240万円弱の受給額は、平均よりも月額で約5万円、年額で60万円ほど多くなります。
月額19~20万円の年金額では足りない?
総務省統計局が公表している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、65歳以上における単身無職世帯の消費支出の平均額は、1ヶ月当たり14万5430円です。
現役時代の年収が700万円の場合に受給できる年金額の目安が、厚生年金と国民年金を含めて19~20万円ほどであることを踏まえると、収入額としては十分のように思えます。
ただし、あくまで平均的な支出額を基にした比較であり、人によっては出費が年金の受給額を上回るケースもあるでしょう。この場合は、定年後も働くなど年金以外の収入源を用意するか、貯蓄から生活費を捻出する必要があるといえます。
老後資金に不安があるなら
将来受給できる年金が少ないなどの理由で老後資金に不安が残る場合は、資産形成で老後に備えることをおすすめします。老後に備えた資産形成の方法には次のようなものがあります。
●普通預金
●定期預金
●債券
●株式投資
●投資信託
●FX
●不動産投資
●NISA
●iDeCo
資産形成の方法は大別すると、貯蓄型と投資型に分かれます。
貯蓄型の資産形成方法として代表的なものは、普通預金や定期預金です。金利が高くないため、お金を増やすという意味では効果が薄いものの、元本割れがないというメリットがあります。
インフレなどで資産価値が目減りする可能性はありますが、資産そのものが減少する可能性がある投資型の資産形成と比較すると、リスクが低い方法といえます。特に定期預金に関しては、資産形成の第一歩として捉えられることも多いようです。
基本的に、投資型の資産形成の目的は効率的に資産を増やすことにあります。株式投資や投資信託、不動産投資などが代表的であり、上記だと普通預金と定期預金以外が該当します。
投資型の資産形成はリターンが大きいものの、元本保証はありません。そのため、資産が減るリスクは常にあります。リスクを正しく把握し、どのようにリスクを分散していくかが、投資型の資産形成を実践していくうえで重要だといえます。
現役時代の年収が700万円の人の年金額は19~20万円ほどと推測される|人によっては足りなくなる可能性も
現役時代の年収が700万円の場合、受給できる年金額は国民年金と厚生年金を合わせて、月額で19~20万円ほどと推測されます。
総務省統計局の調査によれば、65歳以上における単身無職世帯の平均支出額は、1ヶ月当たり14万5430円とされています。月額の受給額と平均支出額を比較すると、生活資金にはある程度の余裕があるといえるでしょう。ただし、消費支出は人それぞれのため、月額で20万円弱の年金収入があったとしても、生活するには足りないこともあります。
年金による収入だけでは老後資金に不安がある場合は、健康なら定年後も働き続けたり、資産形成によって出費に備えたりすることをおすすめします。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III.国民年金 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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