喫煙者が減少しているは本当?たばこの販売状況の現実
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月19日 23時0分
健康志向の高まりやたばこ代の上昇等が影響して、たばこの販売数量が減ってきています。たばこを吸うこと勿論自由ですが、吸わないと肺は汚れず、たばこ代が浮く等のメリットが多いです。 そこで、たばこの販売状況からどのくらい減っているのか確認してみました。吸うのを止めようと考えている人は要チェックです。
たばこ税等は頻繁に増税されている
一般社団法人日本たばこ協会のホームページでは、年度別のたばこの販売数量と販売代金を確認することができます。1990年から2017年までの推移をグラフにしてみました。販売数量の単位は億本(左側のメモリ)、販売代金の単位は億円(右側のメモリ)です。
たばこの年度別販売数量と販売代金の推移
資料:一般社団法人日本たばこ協会
たばこの販売数量は、平成が始まった頃の1990年(平成2年)に3220億本あり、1996年の3483億本まで増え続けました。1997年に消費税が5%へ増税されたので、直前の1996年にまとめ買いが起こり、1997年はその反動で減っています。
2014年に消費税が8%になった時も同じ動きがあったことを読み取れます。販売数量は減り続け、2003年に3000億本割れ、2011年に2000億本割れとなり、2017年は1455億本まで減っています。1990年に対して僅か45%の数量で、平成時代に販売数量は半減してしまいました。
ところが、販売代金は様子が違います。1990年の3兆5951億円が1999年(平成11年)には4兆2600億円まで増え続けました。
1996年までは販売数量と販売代金の動きが一致していますが、その後は販売数量が減っても販売代金はあまり大きな変動がありません。2017年に前年比で4722億円も減少していますが、2016年は3兆6377億円で1990年よりも多くなっています。
販売数量が減っているにも拘らず販売代金がほとんど減っていないのは、数量の減少を補えるほどたばこ代が値上がりしているからだと考えられます。
ちなみに銘柄別の販売数量は、1990年の時は1位がマイルドセブン(数量627.7億本・シェア19.5%)、2位がマイルドセブンライト(数量354.0億本・シェア11.0%、3位がセブンスター(数量280.7億本・シェア8.7%)でした。
27年経った2017年は、1位がセブンスター(数量58.0億本・シェア4.0%)、2位がメビウス・ワン・100Sボックス(数量45.4億本・シェア3.1%)、3位がメビウススーパーライト(数量40.2億本・シェア2.8%)です。メビウスの昔の名はマイルドセブンなので、上位はあまり大きな変化がなさそうです。
ただ、販売数量は全体に合わせて大きく減っており、シェアも下がって分散しているようです。
たばこの税負担は2010年に急増
次に先ほどのたばこの販売代金を販売数量で割って、20本(1箱)あたりの販売代金を求めてみました。
たばこ1箱当たりの税負担額と負担割合
資料:一般社団法人日本たばこ協会
※紙巻たばこ統計データをもとに筆者が計算
1箱当たりの販売代金は1990年以降常に右肩上がりです。これはたばこに関する税が大きく影響しています。財務省のホームページで確認すると、下記の時期にたばこ特別税の創設やたばこ税率の引上げをしています。
・1998年12月たばこ特別税創設 1本あたり0.82円
・2003年7月たばこ税率引上げ 1本あたり0.82円
・2006年7月たばこ税率引上げ 1本あたり0.852円
・2010年10月たばこ税率引上げ 1本あたり3.5円
この他に消費税も2回上がっており、その結果1箱当たりの販売代金は、1990年の223.3円から2017年の435.1円へ大きく上がっています。
たばこに関する税率は今後も上がっていく予定です。喫煙者にとっては負担がさらに厳しくなり、経済的理由で禁煙する人が増えてきそうです。家計に余裕がある人しかたばこを吸えない時代にいつの間にかなってしまったようです。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
関連記事
■タバコを吸わないと保険料が30%も安くなる!?
■就業時間中にたばこ休憩を禁止することはできる?吸う人と吸わない人との公平性は保たれるのか?
■最近よく見かける「運転中のたばこポイ捨て」 これって法律違反にあたるのか
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トップ10には1社だけ「日の丸半導体」残念な現在地 日本経済の「失われた30年」と重なる凋落の軌跡
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 13時0分
-
トップ10には1社だけ「日の丸半導体」残念な現在地 日本経済の「失われた30年」と重なる凋落の軌跡
東洋経済オンライン / 2024年4月23日 15時0分
-
メビウスEシリーズから、スーパースリムサイズ2銘柄が500円で登場
マイナビニュース / 2024年4月18日 16時24分
-
このままでは電気料金は5倍になる…岸田政権の脱炭素政策が目論む「年間20兆円の国民負担増」の恐ろしさ
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 9時15分
-
日本人「就職しました」⇒国「おめでとう!所得税、もらうね」自治体「住民税も!」…“日本人の一生”に課される税金、エグいほどある【税理士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月11日 12時0分
ランキング
-
1通販のニッセンを売却=41億円で歯愛メディカルに―セブン&アイ
時事通信 / 2024年5月9日 18時17分
-
2ブラザー社長「信頼関係を築くことは見込めない」…ローランドDGへのTOBを事実上断念
読売新聞 / 2024年5月9日 18時11分
-
3このキャラはもしかして...? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」ヒント画像公開で話題に
J-CASTニュース / 2024年5月9日 21時33分
-
4「肉も野菜も安い!」ドラッグストア絶好調の理由 物価高で高まる存在感、買収で生鮮食品も導入
東洋経済オンライン / 2024年5月9日 7時0分
-
5帝人が「めちゃコミ」運営会社売却へ、ソニーなど応札検討=BBG
ロイター / 2024年5月9日 19時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください