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定年退職金が出たらローンを全額返済してラクになりたいです。退職金は2000万円程度の予定ですが、具体的な「手取り額」はどのくらいになるのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2025年2月2日 23時20分

定年退職金が出たらローンを全額返済してラクになりたいです。退職金は2000万円程度の予定ですが、具体的な「手取り額」はどのくらいになるのでしょうか?

「定年退職金が出たらローンを全額返済してラクになりたい」という方も多いのではないでしょうか。年金で生活しながらローンを返済していくのは大変なことだと思われます。   ところで、退職金の手取り額がいくらになるのか、想像は付くでしょうか。「税金でそれなりに持っていかれるのでは?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。   そこで本記事では、「退職金の手取り額はどのように計算するのか?」「退職金2000万円・勤続年数36年のときの手取り額はどのくらいか?」について解説します。ローンの返済だけでなく老後の生活資金として退職金を当てにしている方も、ぜひ最後までお読みください。

退職金の手取り額はどのように計算するのか?

給与・賞与の手取り額は、以下のように計算します。
 
・給与・賞与の手取り収入 = 給与・賞与などの収入金額-(社会保険料 + 所得税額 + 復興特別所得税額 + 住民税額)
 
しかし、退職金の手取り額の計算は給与・賞与とは異なり、社会保険料を差し引かずに計算します。つまり、退職金の手取り額は、以下のように計算しすることになります。
 
・退職金の手取り額 = 退職手当などの収入金額 -(所得税額 + 復興特別所得税額 + 住民税額)
 
退職金(退職所得)は分離課税ですので、他の所得と合算せず、単独で税金を計算します。所得税額・復興特別所得税額・住民税額は、それぞれ以下の計算式により算出します。

●所得税額 = 退職所得の金額 × 所得税の税率
●復興特別所得税額 = 所得税額 × 2.1%
●住民税額 = 退職所得の金額 × 10%

所得税額・住民税額の計算の基礎となる「退職所得の金額」は、原則として以下のように計算します。
 
・退職所得の金額 =(退職手当などの収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
 
「退職所得控除額」は、以下のように計算します。

●勤続年数20年以下の場合:40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合には80万円)
●勤続年数20年超の場合:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

実際に計算するときは、本記事の説明とは逆の手順で計算していきます。つまり、退職所得控除額、退職所得の金額、所得税額・復興特別所得税額・住民税額、手取り額の順で計算します。次章では、退職金が2000万円、勤続年数が36年であった場合の手取り額を計算してみます
 

退職金2000万円・勤続年数36年のときの手取り額はどのくらいか?

まず、退職所得控除額を計算します。計算過程は、以下のとおりです。

●使用する計算式:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)
●計算過程:800万円 + 70万円 ×(36年 - 20年)
     = 800万円 + 70万円 × 16年
= 800万円 + 1120万円
= 1920万円

次に、退職所得の金額を計算します。計算過程は以下のとおりです。

●使用する計算式:(退職手当などの収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
●計算過程:(2000万円 - 1920万円)× 1/2 = 80万円 × 1/2
                = 40万円

次に、所得税額・復興特別所得税額・住民税額を計算します。計算過程は、以下のとおりです。

【所得税額】
●使用する計算式:退職所得の金額 × 所得税の税率
●計算過程:40万円 × 5% = 2万円
【復興特別所得税額】
●使用する計算式:所得税額 × 2.1%
●計算過程:2万円 × 2.1% = 420円
【住民税額】
●使用する計算式:退職所得の金額 × 10%
●計算過程:40万円 × 10% = 4万円

最後に、手取り額を計算します。計算過程は、以下のとおりです。

●使用する計算式:
退職手当などの収入金額 -(所得税額 + 復興特別所得税額 + 住民税額)
●計算過程:2000万円 -( 2万円 + 420円 + 4万円)
     = 2000万円 - 6万420円
     = 1993万9580円

以上のことから、退職金2000万円・勤続年数36年のときの手取り額は1993万9580円と計算できます。
 

まとめ

本記事では、「退職金の手取り額はどのように計算するのか?」「退職金2000万円・勤続年数36年のときの手取り額はどのくらいか?」について解説しました。
 
実際に試算したところ、手取り額は1993万9580円となりました。意外と多いと感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。基本的には、勤続年数が長いほど退職所得控除額も大きくなり、税金が抑えられる仕組みになっています。
 
退職金は、年金と同じように老後の生活を送るための重要な資金です。そのため税制優遇措置が取られていると考えれば、ご理解いただけるのではないでしょうか。退職金でローンを完済して、ラクになれればありがたいですね。
 

出典

国税庁 退職金と税
人事院 人事行政に関する政策 給与・生涯設計 1 退職手当の概要
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
横浜市 課税の特例
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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