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地方公務員は「時間外手当」の対象外って本当?土日の部活動で顧問を担当しても支給はないの?

ファイナンシャルフィールド / 2025年2月5日 7時50分

地方公務員は「時間外手当」の対象外って本当?土日の部活動で顧問を担当しても支給はないの?

ほとんどの中学校や高校で実施されている部活動ですが、近年教員の過重労働が大きな社会問題となっています。   スポーツ庁の調査によると、教員が顧問となることを原則としている公立学校は、全体の90%を超えており、多くの教員が部活動の顧問として放課後や休日に強制的に対応するように求められているのが実態です。   また、部活顧問に対する時間外手当や休日手当の支払いについても問題視されています。   今回は、部活顧問の時間外手当や休日手当について詳しく解説します。

地方公務員は時間外手当や休日手当の対象外

公立の小学校や中学校、高校に勤務する教職員は、そのほとんどが各都道府県や地方自治体の教育委員会に採用された地方公務員です。
 
民間企業で勤務する場合は、労働基準法第37条に基づいて時間外手当や休日手当が支払われます。
 
地方公務員も、原則として労働基準法が適用されますが、教員については地方公務員法第58条第2項と公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、給特法)によって、労働基準法第37条が適用除外されます。
 
また、給特法の第三条には、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。」とも定められているため、たとえ部活顧問として土日祝日に働いたとしても、時間外手当や休日手当は支払われません。
 

私立学校の教員は労働基準法に基づいて割増賃金が発生する

公立学校に勤務する教員は、時間外勤務手当および休日勤務手当が支給されませんが、私立学校に勤務する教員には労働基準法が適用されるため、働いた時間数に応じた時間外手当や休日手当が支払われます。
 
公立学校では支払われない割増賃金が発生するため、働いた分だけ給与を受け取れる体制が整っているといえるでしょう。
 

休日に活動した部活動顧問は部活動手当が支給されるケースも

公立中学校や公立高校の教員は、平日に部活動指導を行なっても時間外手当は発生しませんが、代わりに給与に教職調整額である4%が含まれています。そのため、平日に部活動の指導を何時間行っても、残業代は支払われません。
 
しかし、休日に4時間以上部活動の指導を行なった場合には、休日手当の代わりとして文部科学省が定める「部活動手当」が支払われます。4時間以上の部活動指導に対して3600円、2〜4時間の場合に1800円が支払われますが、労働基準法が定める最低賃金や時間外手当、休日手当と比べるとかなり低い水準といえるでしょう。
 

2023年から本格的に実施されている部活動改革

部活動を担当する教員の中には、手当を受け取るよりも、休みをしっかりと取りたいと考える教員も少なくありません。2023年からは、学校部活動から地域部活動に転換する動きが活発になり、部活動について、教員が休日の活動に携わるか携わらないか選択することが自由にできるようになりました。
 
近年では、外部の指導者を受け入れている学校も増えつつあり、現場で働く教員の負担を少しでも減らそうとする流れが進みつつあります。外部指導者の報酬の有無や条件、待遇の取扱いは、それぞれの学校設置者や学校の判断となりますが、最低賃金を遵守するなど、一般の労働法制に基づいたものが原則です。
 
今後、外部の指導者が増えてくれば、現場の教員の負担も軽減されていくでしょう。
 

部活動改革の今後の動きに注目しましょう

手当が支払われるからといって、土日や祝日の時間を犠牲にしたくないと考える教員は増えてきています。家族や大切な人との時間や趣味の時間、リラックスする時間を大切にしていきたいと、誰もが考えることでしょう。
 
公立の学校は、私立の学校に比べてもらえる手当が少なく、労働時間に対して適切な給与が支払われていないのが現状です。
 
2023年から本格的に始動している部活動改革は、部活動の在り方や外部指導員の登用など、教員の人たちの労働環境を見直すためのよいきっかけとなっていくことでしょう。今後どのように部活動改革が進められているか注目したいところです。
 

出典

文部科学省 平成29年度 運動部活動等に関する実態調査報告書
e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条
e-Gov法令検索 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十八条
e-Gov法令検索 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第三条二項(教育職員の教職調整額の支給等)
e-Gov法令検索 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号)
スポーツ庁 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの策定及び運動部活動の適切な運営等に係る取組の徹底について(依頼)※教育関係機関向け
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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