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後期高齢者が運転を続けるリスクにはどんなものがある? 免許返納の利点は?

ファイナンシャルフィールド / 2025年2月5日 9時40分

後期高齢者が運転を続けるリスクにはどんなものがある? 免許返納の利点は?

運転免許の返納は本人だけでなく、家族にとっても大きな決断だと考えられます。   しかし、安全性を考えると、その決断は避けて通れないかもしれません。この記事では、80歳の後期高齢者が運転を続けるリスクと、バスなどの公共交通機関への切り替えの費用面について考察します。

高齢者の自主返納が増加

警察庁のデータによると、令和5年における運転免許の自主返納件数は表1の通りです。
 
表1

年齢 自主返納件数
75歳未満 12万1388件
75歳以上 26万1569件

※警察庁「運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移」を基に筆者作成
 
75歳以上のドライバーは、自分や他者の安全を考慮して運転を見直す動きが進んでいる傾向にあることが分かります。
 

免許返納で得られるメリットとは?

免許返納することで得られる可能性があるメリットとして考えられるのは、事故の心配がなくなることや、自家用車の維持に必要な税金・保険料・車検代などの節約につながる可能性があることが挙げられます。
 
また、自治体などによっては公共交通機関の割引特典を得られることもあるようなので、場合によっては家計の余裕につながる可能性もあるでしょう。
 

免許証の返納方法

返納手続きは、警察署や運転免許センターで行うことができ、本人が申請するほか、委任状などを用意すれば代理人による手続きも対応可能とされているようです。
 
返納後は、運転経歴証明書を申請することで、本人確認書類として使用できます。この証明書の申請は、免許を自主返納した日から5年以内に行う必要があります。
 

高齢運転者の交通事故:一般道路での発生と単独事故が増加傾向

高齢者が関与する交通事故について、平成25年から令和5年までの交通死亡事故データを道路種類別で比較すると、65歳未満と65歳以上の運転者のいずれにおいても、高速道路より一般道路での発生件数が多いことが分かります。
 
事故類型別に見ると、65歳未満の運転者による交通死亡事故と比べ、65歳以上の運転者では年齢が上がるにつれて車両単独事故の割合が増加する傾向が見られます。具体的な事故の内容としては、運転ミスにより車線を外れ電柱や建物に衝突する「工作物衝突」や、道路から逸脱して崖下に転落する「路外逸脱」です。
 
さらに、車両同士の事故では、出会い頭や正面衝突による死亡事故の割合も高く、この傾向は75~79歳、80~84歳、そして85歳以上の運転者の事故でより顕著にあらわれています。
 

高齢者向けの交通費軽減サービス

高齢者の中には、運転への不安から自動車免許を返納する方が多くいますが、年金生活や一人暮らしの高齢者にとっては、通院や買い物の際のバス代などの交通費が大きな負担となる可能性もあるでしょう。
 
このため、自治体によってはバス運賃に関するさまざまなサービスを提供していることもあるようです。運賃が無料または割引されることや、定期券を割安で購入できる場合もあります。
 
東京都では、70歳以上の住民登録をしている方に対して「シルバーパス」を発行しており、このパスを提示することで都バスや都営地下鉄などの公共交通機関を利用できるのです。
 
東京都シルバーパスのご案内によると、シルバーパスの取得費用は「非課税の方又は令和6年度の経過措置(利用者の負担軽減の延長)の方」の場合1000円で、「課税の方」の場合で2万510円(※)ですが、「令和6年度の経過措置の方を除く。」とされています。
 
大阪市では、70歳以上の市民を対象に「敬老優待乗車証(ICカード)」が提供され、これを利用することでOsaka Metroの地下鉄やニュートラム、大阪シティバスの路線バスが1乗車50円で利用できるとされています。
 

高齢者の交通事故の傾向から自動車運転のリスクは増加/自治体が提供する交通費軽減サービスを活用すると節約になる

生活環境などによっては、80歳でも運転を続けたいと考える場合もあるかもしれません。しかし、高齢になるにつれ、運転に対するリスクは増加すると考えられています。
 
特に、加齢に伴い反応速度や判断力が低下すること、視力や聴力の衰えが影響することが事故の原因になりやすいと考えられているようです。
 
警察庁のデータでも、65歳以上のドライバーによる交通事故の増加が報告されており、特に年齢が上がるほど単独事故や重大事故のリスクが高くなることが分かっています。
 
バスへの切り替えに関して、確かに費用がかかることもあるかもしれませんが、自治体によっては、高齢者向けの交通費軽減サービスを提供していることもあるようです。また、自家用車の維持に必要な税金・保険料・車検代などが不要になるため、場合によっては家計に余裕が生まれる可能性もあるでしょう。
 
お金も大切であることには間違いありませんが、何よりも自分の命、そして周りの方の命を守るためにも、免許を返納し、バスへ切り替えることを検討するのもよいでしょう。
 

出典

警察庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
内閣府 第3節 高齢運転者による交通死亡事故の状況
一般社団法人東京バス協会 東京都シルバーパスのご案内
大阪市 70歳になったら敬老優待乗車証(敬老パス)が利用できます
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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