両親の死後「築45年」の実家の相続について、兄弟で悩んでいます。不動産会社に「3000万円で売れる」と言われましたが、費用や税金であまり残りませんよね…?
ファイナンシャルフィールド / 2025年2月7日 5時0分
![両親の死後「築45年」の実家の相続について、兄弟で悩んでいます。不動産会社に「3000万円で売れる」と言われましたが、費用や税金であまり残りませんよね…?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_370778_0-small.jpg)
両親が亡くなると、古くて使わない実家をどうするか、相続時に遺族間で悩みのタネになることがあります。不動産は分割しにくかったり、維持管理のコストもかかったりするため、売却を検討することも多いのではないでしょうか。 しかし、売却しても費用や税金がかかるため、手元に残る金額は思ったより少なくなるかもしれません。本記事では、空き家になった築45年の実家の売却に伴う費用や税金について解説します。
不動産を売却するときの費用は?
不動産を売却する際の費用で、まず必要なのが、不動産会社に売却の成功報酬として支払う仲介手数料です。法律で上限が定められており、売却した価格が400万円超なら「契約額の3%+ 6万円」に消費税を加えた金額になります。
従って、不動産会社の見込みどおり3000万円で売却できれば、仲介手数料の上限は3000万円×3%+6万円=96万円に消費税9万6000円を加え、105万6000円です。
この金額は不動産会社が請求できる上限であり、金額は交渉してもかまいません。しかし、上限で請求されることも多いため、これぐらいの金額は見込んでおいたほうがいいでしょう。
さらに、契約時には印紙税が必要で、ハウスクリーニングなどを実施して売却に備える場合もあります。また、引き渡す前には荷物を処分しなければなりませんので、それらの費用も見込んでおくといいでしょう。
ほかにも抵当権の抹消費用、境界が未確定の場合の測量費用などがかかるケースがありますが、一般的な売却の経費は売却額の4~6%程度とされています。
つまり3000万円の売却で120万~180万円程度です。物件によってかなり差が出ますので、実家の状況から費用を見積もっておくことが大切です。
不動産を売却すると、税金はどうなるのか?
不動産を売却すると、翌年に所得税や住民税が課税されます。税率は所有期間で異なり、所有期間が5年を超えていれば所得税15.315%、住民税5%で合計20.315%です。相続の場合は親の所有期間を引き継ぐため、築45年の実家の売却ではこの税率が適用されます。
しかし、仮に3000万円で売れても、直接3000万円に課税されるわけではありません。課税対象は売却に伴う利益である「譲渡所得」です。譲渡所得は売却代金から、当初実家を買ったときの「取得費」や、先ほど記した売却時の費用である「譲渡費用」などを差し引いて計算します。
また、譲渡所得にはさまざまな特別控除があります。そのため、課税される譲渡所得は「売却した価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」となり、これに税率を掛け合わせたものが、所得税や住民税の税額です。
築45年の実家を売却すると、税金はどうなるのか?
築45年の古い実家を3000万円で売却すると、税金はどうなるでしょうか。通常は売却価格、取得費、譲渡費用などから計算する必要があるでしょう。
しかし、相続した実家の売却には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」として、上限3000万円の特別控除があります。
対象となる家屋は、1981年5月31日以前に建築され、被相続人である親が住んでいた、事業に供していないなどの要件を満たす必要があります。また、図表1にもあるとおり、譲渡までに耐震基準を満たすか、解体して更(さら)地にすることも必要です。
図表1
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2025/02/7bfde55e1f40351af4cc52dcb728f5bd.png)
国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)について
実家は築45年で1979年に建設されており、仮に解体して更地にし、ほかの要件も満たせば、特別控除により譲渡所得は発生しません。結果として所得税や住民税はゼロです。
ただし、代わりに解体費用が必要になります。解体費用は30坪の木造建物で90万~150万円程度が1つの目安です。そのため、もし更地にして3000万円で売却できた場合、譲渡費用120万~180万円程度、さらに解体費用90万~150万円程度を差し引いた2700万~2800万円程度が手元に残るかもしれません。
これは、あくまで相続した築古の実家を売却した際の一例に過ぎません。売却に際しては、事前に不動産会社などとも相談し、税金や費用をシミュレーションしておきましょう。また、不動産会社が「3000万円で売れる」と査定していても、実際にいくらで売れるかは分かりませんので注意が必要です。
まとめ
相続した実家を売却した場合、譲渡費用や税金、場合によっては解体費用などもかかるため、手元に残る金額は売却価格より少なくなります。しかし、譲渡所得の特例などを活用できれば、税金を払わずに済む可能性があります。
相続した実家の活用予定がなければ、維持管理の費用がかかる上、現金化しないと遺産の分配が難しいこともあるでしょう。まずは実家の状況を確認し、税金や費用をシミュレーションしながら、売却を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 土地や建物を売ったとき
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3000万円特別控除)について
執筆者:松尾知真
FP2級
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