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遺族年金の「男女格差」の「解消」に向け見直されているようですが、そもそもどんな男女差があるのですか?

ファイナンシャルフィールド / 2025年2月9日 23時0分

遺族年金の「男女格差」の「解消」に向け見直されているようですが、そもそもどんな男女差があるのですか?

現行の遺族年金制度は、主たる家計の担い手を夫、妻は専業主婦と捉え、夫と死別した妻が働いて生計を立てることが将来にわたって難しい、という考え方を前提に設計されています。しかし、この前提は女性の社会進出により崩れており、遺族年金制度の見直しが検討されています。現行、どのような男女差があるのか解説します。

遺族厚生年金の遺族の受給権者

遺族年金を受けられる遺族は、死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い人です。
 

1.子のある配偶者または子
2.子のない配偶者
3.父母
4.孫
5.祖父母

 
ただし、妻(女性)以外の遺族には年齢要件があります。例えば、夫(男性)55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からです(ただし、遺族基礎年金も一緒に受給できるケースに限り、55歳から60歳の間であったとしても、遺族厚生年金を受給できます)。
 
なお、遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。
 

中高齢寡婦加算

遺族年金は子のない妻には支給されません。子がある妻であっても子が18歳になると遺族年金は支給されなくなります。その後は遺族厚生年金のみの支給になり、大幅に遺族年金の支給額が減少します。そこで、減少分を補うために中高齢寡婦加算があります。寡夫は対象外です。
 
中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金の受給権を取得した当時に40歳以上65歳未満である中高齢の寡婦(女性)について、受給権発生から65歳に達するまでの間に遺族厚生年金に加算されるものです。
 
加算額は定額で遺族基礎年金の年金額(基本額)の4分3に相当する額です。令和6年度の年額は61万2000円です。
 

寡婦年金

寡婦年金は国民年金の第1号被保険者(フリーランス、自営業など)独自の給付です。夫(男性)が支払ってきた保険料の掛け捨て防止と、遺された妻(女性)が老齢基礎年金を受給できるまでの所得保障を目的としています。寡夫は対象外です。
 
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間等の期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、生計を維持されている婚姻期間が継続して10年以上ある妻に、60歳から65歳になるまでの期間に支給されます。
 
ただし、夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を受給していたときは受給できません。また、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給しているときは支給されません。
 
年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額です。
 

遺族年金の生計維持要件

遺族年金制度における「生計を維持されていた遺族」とは、死亡した被保険者と生計を同じくし(同居していること。別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます)、恒常的な収入が将来にわたり年収850万円以上にならないと認められること、という要件を満たす遺族をいいます。
 
「年収850万円」は、厚生年金の標準報酬月額の上位約10%に当たる年収を基準としていますが、男女別の標準報酬月額の分布を見ると、年収850万円を超える者のほとんどは男性です。
 

まとめ

このように現行制度の遺族年金は、夫が働き妻は専業主婦であり、夫の死亡後、妻の就労が困難であるという考えで設計されていますが、現在の社会状況に合っていません。現在は、共働き世帯が中心であり夫と死別後も妻は就労継続が可能です。
 
そこで、国は、遺族年金における男女格差を解消するため検討しています。改正の動きを注視しましょう。
 

出典

厚生労働省 年金局 遺族年金制度等の見直しについて 第17回社会保障審議会年金部会 資料4 
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

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