認知症でも「障害者手帳」が取得できる!医療・介護の自己負担が軽減される可能性も
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月21日 8時30分
認知症でも精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。障害者手帳を持っていると、税金に「障害者控除」が使え、医療・介護の自己負担が軽減される可能性があります。 その他にも様々なメリットがあります。認知症の治療を6か月以上続けているときは申請を検討してみてはいかがでしょうか。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳(以下「障害者手帳」)は、精神障害のため、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方が対象になります。認知症の方も認知症と診断されてから6ヵ月以上経過すれば申請が可能です。
申請は、お住まいの市区町村の担当窓口に、障害者手帳申請書、診断書、本人の写真などを提出します。申請は家族や医療機関関係者が代理で行うことができます。申請時の診断書等に基づいて審査を行い、以下の障害等級が決定されます。
1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
2級:日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度
3級:日常生活又は社会生活が制限を受けるか、日常生活又は社会生活に制限を加えることを必要とする程度
なお、更新は2年ごとで、有効期限の3か月前から申請できます。
「障害者手帳」取得のメリット
「障害者手帳」取得の大きなメリットは税金の「障害者控除」です。精神障害者保健福祉手帳1級の方は、特別障害者になり控除額が大きくなります。
障害者の控除額(所得税)は27万円、特別障害者の控除額は40万円です。特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方(同居特別障害者)の控除額は75万円になります。
「障害者控除」適用の結果、住民税非課税になれば、介護保険料や高額療養費制度などの負担が軽減される可能性があります。
このほか手帳があれば、NHK受信料の減免、交通機関の運賃の割引、自動車税・軽自動車税・自動車取得税の減免、公共施設の入場料の割引などが受けられます。優遇措置は市区町村で異なります。詳細は市区町村の担当窓口でご確認ください。
「障害者控除」は、「障害者手帳」がなくても受けられる場合がある
所得税法上、「障害者控除」の対象となる障害者等は、所得税法施行令第10条に限定列挙されています。この中に、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして、市町村長等の認定を受けている人などがあります。
したがって、手帳がなくとも、また、介護保険法の要介護認定の有無にかかわらず、市町村長等から「障害者控除対象者証明書」の発行を受けた場合には、「障害者控除」の対象となります。
「障害者控除対象者証明書」の発行基準は市区町村によって異なります。多くの市区町村では、要介護認定情報を基に各税法で定められた「障害者等に準ずるもの」の基準に該当するかによって判断しているようです。
この場合、介護認定と「障害者控除」の認定の基準は同じものではなく、結果は必ずしも比例するものではありません。ただ、目安として、要介護1以上は障害者、要介護4以上は特別障害者に該当すると考えて良いでしょう。詳しい基準は市区町村のホームページなどでご確認ください。
なお、「障害者控除対象者証明書」は、あくまでも税申告等の際の証明書類に限定して使用できるものです。この証明書の交付を受けたとしても、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付が保障されるものではありません。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
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