活用しないのはもったいない!「ねんきん定期便」の役割
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月23日 10時30分
![活用しないのはもったいない!「ねんきん定期便」の役割](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_37391_0-small.jpg)
皆さんは、昨年届いた「ねんきん定期便」をきちんと保管していますか。ひょっとしたら、どこにあるか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。 「ねんきん定期便」については、ほとんどの方がご存じだと思います。しかし、しっかり活用されている方は少ないのではないでしょうか。今回は、「ねんきん定期便」の活用について考えてみたいと思います。
意外に知られていない公的年金の「保険」の役割
公的年金の話になると、将来受け取る「老齢年金」の損得勘定ばかりを気にする方がいらっしゃいます。とくに若い方は、給与から天引きされる公的年金の保険料に文句の一つも言いたいことでしょう。
しかし、公的年金の役割は、将来受け取る「老齢年金」だけではないことをご存じですか?
公的年金の加入者は、万一、死亡した場合や障害を負った場合などに一定の条件下で公的年金が受け取れます。つまり、老齢年金に加え“今”受け取れる「保険」の役割もあるのです。
そして、もっとも気になる「いくら」受給できるかを判断できるのが、「ねんきん定期便」なのです。
生命保険のパンフレット等に記載されている平均値は意味がない。
家計の大黒柱である方に万一のことがあったら、本当に必要な保障額はいくらなのでしょうか。生命保険のパンフレットなどには、一般的な遺族年金の受給額が記載されている場合があります。ただ問題は、そこに記されている数値は、あくまで平均値だという点です。
当然、家族構成や今後の働き方を見据えたうえで遺族年金の受給額を確認しなければ、本当に必要な保障額は算出できません。つまり、自分はどうなのかを把握するために「ねんきん定期便」が必要になるのです。
「ねんきん定期便」で確認してほしいこと
最後に、「ねんきん定期便」活用の一例として、将来受け取る老齢年金の確認の仕方について説明してみたいと思います(前提条件として会社員として厚生年金に加入した場合とします)。
50歳以上の方は、今と同じ条件で60歳まで働いた場合の受給見込額が記載されています。ただ、役職定年などで給与の減額が考えられる場合は、その分を現時点で修正してみることをお勧めします(ここでは概算として把握していきます)。
例えば、
55歳以降、年収150万円減額されるなら、150万円×5年間(60歳まで)×0.005481=約4万1000円
※0.005481は国が決めた数値で、ここではあまり深く考えなくて結構です
この金額を「ねんきん定期便」に記載されている見込額から差し引けば、受給額を概算で算出できます。
将来受け取る年金の確定額は、最終的に払い込んだ保険料によって変わりますし、そのときの経済情勢などの影響を受ける可能性もあります。ただ現時点で、とくに給与の減額などのマイナス要素が想定される場合は、シミュレーションしておきたいところです。
50歳未満の方は、これまでの納付額で受け取れる年金額が記載されています。つまり、これからの働き方次第で将来受け取る年金を「つくる」ことができるのです。例えば、47歳の方のねんきん定期便に記載されている老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額が(1)123万2500円とします。
老齢基礎年金は、40年間(20歳から60歳まで)年金を納めたとすると、2018年度では、満額年77万9300円受け取れます。つまり、1年納付すると年間約1万9500円受給できる計算になります。残り13年間納付した場合、(2)25万3500円プラスされます。
次に、老齢厚生年金を考えていきます。収入に応じて決まるため、ここでは、今後13年間の平均年収をざっくり500万円として計算します。
500万円×13年(60歳まで)×0.005481
計算すると、概算で(3)約35万6000円となります。
(1)123万2500円(「ねんきん定期便」に記載されている加入実績)
(2)25万円3500円(プラスされる老齢基礎年金)
(3)35万円6000円(プラスされる老齢厚生年金)
(1)+(2)+(3)を計算すると、概算で将来受け取れる老齢年金は、184万2000円/年となります。
働き方改革が叫ばれるなか、セーフティーネットである年金の仕組みを熟知したうえで、次のチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)
ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー、相続支援士
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