住宅ローンの金利や条件にこだわらずに指示通りに契約して損してないですか?(前編)
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月25日 10時0分
家計の支出の中で大きな割合を占める住宅費。 夢のマイホーム購入に際して住宅ローンを借りる方は多いでしょう。その際、物件選びにはこだわっても、住宅ローンの金利や条件にこだわらずに金融機関の提示通りに契約してしまうと、大きな損をしてしまうかもしれません。
金利0.5%の差でも数百万円の違いに
3000万円の住宅ローンを35年間元利均等返済で毎月返済した場合、全期間の金利が1%と1.5%では総支払額で約300万円の差が生じます。
マンション販売会社や住宅メーカーなど、不動産業者が勧める金融機関に申し込んで、提示された金利や条件でなんとなく契約してしまうと、後でもっと条件が良い金融機関の住宅ローンを知って後悔する羽目になるかもしれません。
住宅ローンの金利&条件交渉を持ち掛けましょう
ご相談者に「この住宅ローンの金利と条件を交渉しましたか?」と尋ねると「交渉できるのですか?」とよく驚かれます。
家電量販店などで何十万円もする大型家電を購入するときに、値引き交渉をする方は少なくないでしょう。インターネットが普及した昨今、他店の価格を消費者は簡単に把握できるようになり、「他店より高い場合は値下げします!」と記載しているチラシや店頭ポスターもあるほどです。
住宅ローンについても同様で、提示された金利や条件よりも良い条件の住宅ローンのサイトやチラシを見せて少し交渉すれば、金融機関が提示した金利(多くの場合は店頭チラシの金利)から下げてくれることがあります(フラット35など例外はあります)。
しかし、自分から「金利を下げたり、保証料を無しにするなど条件を見直してくれませんか」と持ち掛けなければ、金融機関は提示した金利や条件で進めてしまいます。
住宅ローン金利&条件の交渉がしやすい人
住宅ローンは金額が大きな契約であり、ローンという借金・融資の契約です。きちんと返済してくれないと思われたら融資はしてもらえません。
金利交渉をしても、「この人は他の金融機関だと審査が通らないだろう。金利が高くてもうちで契約するだろう」と思われたら金利交渉に応じてもらえなくなります。
では、金融機関はどんな点を重視して住宅ローンの審査をしているのでしょうか。住宅金融支援機構では、住宅ローンに関するさまざまな調査をしています。
「2018年度民間住宅ローンの貸出動向調査結果」によると、最近重視度が増している審査項目として以下が上位にきています。
〇返済負担率(毎月返済額/月収)
〇職種、勤務先、雇用形態
〇借入者の社会属性
〇借入比率(借入額/担保価値)
〇返済途上での返済能力の変化
これらの項目に問題がないという方は、ぜひ金利や条件の交渉をしてみてください。
具体的には、公務員や有名企業の正社員で定年退職まで十分な期間があり、収入に見合った返済計画の住宅ローンで、担保価値も十分ある新築マンションなどの物件を購入、他に負債や信用情報に問題がない方は、金融機関にとって金利や条件を優遇してでも住宅ローンを借りて欲しいお客様です。
住宅ローン金利&条件交渉をしにくい人
反対に、次のような場合は住宅ローン審査が通りにくく、金利&条件交渉をしても希望が通りにくい方です。
〇クレジットカードや自動車ローン等のローンの支払いが遅れた、または未払い金がある
〇携帯電話やスマートフォンの支払いが遅れたことがある
〇過去に自己破産(債務整理などを含む)をしたことがある
〇短期間で転職を繰り返している
〇正社員ではない(派遣社員や契約社員など)
〇購入物件に懸念事項がある(所有権ではなく借地権や仮換地、店舗兼住宅など)
〇自営業で開業から日が浅い、直近3年間の決算内容が良くない(赤字続きや借入が増えているなど)
〇高齢(住宅ローン完済まで働き続けられるか疑問視される)
他にもたくさんありますが、これらに当てはまる方は、交渉は一筋縄ではいかないかもしれません。とはいえ、最初からから諦めるのではなく、交渉してみてください。
10年ほど前の話ですが、自営業のご相談者で、最初はとても高い金利を提示されていたのに返済能力が高いこと示す資料を用意して丁寧に説明した結果、金利を下げることに成功した、という方がいます。
まずは、住宅ローン金利&条件は交渉できるものである、ということを意識してください。後編は、借り換えを検討する際の金利&条件交渉についてお伝えいたします。
参照・出典
住宅金融支援機構「民間住宅ローンの貸出動向調査)
執筆者:西村和敏(にしむらかずとし)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
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