あなたは年金、受け取れますか? 年金額、増やせますか?
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月27日 8時30分
私たちが老後に使う年金には、2つの種類があります。それは「公的年金」と「私的年金」です。「公的年金」は、原則として20歳から60歳になるまでの40年間、加入しなければなりません。 まずは、自分が将来いくら位の年金を使えるのかを知ることが大切になってきます。そこで今回は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」についてお伝えします。 また、「公的年金」にはいろいろな特例があります。例えば、学生や無職等、所得が少ない人や所得のない人には保険料免除等の特例が設けられており、そうした、「公的年金」の受給における特例についても、いくつか挙げてみます。
「ねんきん定期便」の見方
「ねんきん定期便」(※1)は毎年、国民年金や厚生年金の加入者の誕生月に、日本年金機構から年金加入の記録をお知らせするために送られてきます。通常はハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳の節目の年には封書で送られてきます。
この「ねんきん定期便」は、50歳未満の方と50歳以上の方で見方が変わります。
・「50歳未満の方のねんきん定期便」
50歳未満の方の場合は、今まで納めた保険料の加入実績に基づいて年金額が計算されています。もちろん、加入してからの期間が短く年数が経っていない方は、受け取る金額が少ない年金額になりますし、加入期間が長い方は年金額が多くなります。
50歳未満の方のチェックポイントは「ねんきん定期便」の裏面(最近の月別状況です)に書かれている、過去の加入記録に間違いがないかを必ず確認することです。もし、間違いがあれば年金事務所に問い合わせてください。
そして、お伝えしたいことは、若い方はこれからの働き方で将来の年金は変わるということです。収入が増えると保険料も多く払うことになるでしょう。その払う保険料額に応じて、将来受け取ることのできる年金額が変わることを知ってもらいたいです。
・「50歳以上の方のねんきん定期便」
50歳以上の方のねんきん定期便は、これまでの加入実績を基にして、60歳までそのまま加入し続けたと仮定して、将来受け取れる年金額が記入してあります。そこで注意しなければならないことは、受け取れる年金額は「見込額」が記載されていることです。
例えば、転職や退職等で将来の年金額が変わる可能性があります。チェックポイントとしては、やはり裏面(最近の月別状況)の直近の加入に漏れや誤りはないかを確認することが大切です。
受給資格期間短縮の特例
平成29年(2017年)8月から、老齢基礎年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されました(※2)。今まで年金を受け取ることのできなかった方も受け取れるようになったということです。
40年間保険料を納付された方は、平成31年度の年金額改定(※3)により、満額で78万100円(年額)、月額6万5008円が受け取れますが、10年間の納付した方が受け取る年金額は、おおむねその4分の1となります。
ただ、この場合も以下のような条件があります。
(受給条件)
1、保険料納付済期間(国民年金保険料を納付した期間、厚生年金に加入していた期間)
2、保険料は免除されるが、受給資格期間として年金額に反映される期間(ただし年金額は減額となる)
3、合算対象期間(受給資格期間にはなるが年金額に反映しない期間)
1+2+3が10年以上あることが、年金を受け取る条件になります。日本年金機構から黄色の封筒や年金加入期間の確認のお知らせが届いている方は、ねんきんダイヤルなどで早めに相談・手続きをされることが大事です。
長期加入者の特例
厚生年金保険の被保険者期間が44年(528月厚生年金保険のみの期間)以上あり、現在は厚生年金に加入していない被保険者には、特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)が支給されます(※4)。
例えば、高校を卒業し、厚生年金に加入して62歳~63歳まで働くと、44年間厚生年金に加入していることになります。条件としては、厚生年金の被保険者から外れることで(退職やパートで働くなど)、報酬比例部分と定額部分(条件を満たせば加給年金も)が65歳まで支給されます。
年金額を増やすには、保険料を納付した期間で年金額を増やすことはもちろん、上記にお伝えした特例を活用しても年金額を増やすことができます。ただ、条件等がありますのでしっかり確認してください。まずは、何事も知ることが大切です。
(※1)日本年金機構 年金Q&A (「ねんきん定期便」の概要について)
(※2)日本年金機構 「必要な資格期間が25年から10年に短縮されました」
(※3)厚生労働省 平成 31 年度の年金額改定についてお知らせします
(※4)日本年金機構 「44年以上厚生年金保険に加入している特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者の方が、退職などで被保険者でなくなったとき」
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
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