障害年金5つの誤解 第2回「日常生活の不便さが決め手になる…?」
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月27日 9時30分
![障害年金5つの誤解 第2回「日常生活の不便さが決め手になる…?」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_37759_0-small.jpg)
障害年金について広まっている、さまざまな誤解を点検します。第2回は、障害年金を受給できるかどうかは「日常生活の不便さが決め手になる」というものです。
請求の準備作業が大変だった人とそれほどでもなかった人がいる。なぜ…?
具体例で説明します。
Aさんは統合失調症で障害年金を受給しています。障害年金の請求の際には、日常生活で困っていることを細かく書いたメモを主治医に渡し、診断書を書いてもらいました。
自分で作る「病歴・就労状況等申立書」にも、日常生活で困っていることを詳しく書き込みました。「そうしたほうがいいよ」と、すでに障害年金を受給していた友人にアドバイスされたためです。準備作業は大変でしたが、がんばってやり遂げました。
一方、難聴で障害年金を受給しているBさんは、日常生活で困っていることについて主治医に特に言わないまま、診断書を書いてもらいました。
「病歴・就労状況等申立書」には、「会話が聞き取りにくい。」と一言書いただけです。もちろん、難聴ならではの不便さはあるのですが、日常生活で困っていることをあまりアピールした記憶はありません。それでも、受給できました。
障害の種類によって、重視されるところが異なる
どういうことでしょうか。
実は、病気や障害の種類によって、日常生活の不便さが決め手になるものとそうとも言えないものがあるのです。
障害年金は、さまざまな病気や障害で受給することができます。厚生労働省が作った「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(以下、「認定基準」と書きます。)には、病気や障害を19の種類に分けて、認定基準が書かれています。
これらのうち、精神の障害、神経系統の障害、悪性新生物(がん)による障害などは、日常生活の不便さがどれほど大きいかが障害等級を決めるうえで重視されます。
一方、眼の障害、聴覚の障害、肢体の障害など測定値で表しやすいものや、機能障害の程度を判別しやすいものは、測定値や可動域などが重視されます。
厚生労働省が2014年に実施した「障害年金受給者実態調査」の調査結果によると、受給者の「傷病名別割合」は、精神障害と知的障害だけで54%を占めています。多数派なのです。
こうした理由もあって、「日常生活の不便さが決め手になる」という見方が、病気や障害の種類を考慮せずに広まったものとみられます。
請求を考えている人は、まず、「認定基準」を確認しよう
「障害年金をもらえないかな」と思っておられる方は、ぜひ「認定基準」をご覧になることをお勧めします。最新版の「認定基準」は、日本年金機構のホームぺージより確認できます。
例えば、眼の障害だと、「両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの」は2級、「両眼の視力が0.1以下に減じたもの」は3級、とはっきりと書かれています。
ここでいう「視力」は、眼鏡やコンタクトレンズを用いた矯正視力のことです。2級の「両眼の視力の和」とは、左眼と右眼のそれぞれの測定値を合算したものになります。また、3級の「両眼の視力」については、左眼と右眼がともに0.1以下になった場合のことです。
腎疾患による障害では、「人工透析療法施行中のものは2級と認定する。」と断言されていますし、心疾患による障害では、難治性不整脈でペースメーカーやICDを装着したものは3級、と明言されています。
これらの場合も、加入要件や納付要件が満たされている場合は、どんな療法が用いられているかということで障害年金の等級と受給が決まるわけです。もちろん、この等級は原則であって、症状によっては、より上位の等級に認定される可能性もあります。
出典 日本年金機構 「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
執筆者:和田隆(わだ たかし)
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士
関連記事
■障害年金5つの誤解 第1回「働いていたら障害年金はもらえない…?」
■日本の年金制度「障害年金の知識は人生のリスク管理につながります」(1)
■障害年金を受けるための、その障害が認定される日はいつ?
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
働いているのに「障害年金」もらっているなんてズルい!〈月収20万円〉〈年金月5万円〉の42歳男性、ネット民からの攻撃に悲鳴
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月11日 7時15分
-
65歳からの年金、障害年金をもらい続けるのと、「老齢厚生年金と老齢基礎年金」をもらうのでは、どちらが有利?
オールアバウト / 2024年7月9日 8時10分
-
29歳で夫が死亡。専業主婦でしたが「遺族年金」は5年しかもらえないのですか? 同じ死別でも、年齢で受給期間に「差」があるのはなぜなのでしょうか? 納得しにくいです…
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月2日 2時30分
-
うつ病で就労困難な47歳ひきこもり男性 「障害年金」の請求困難で絶望 必要不可欠だった“1枚の証明書”
オトナンサー / 2024年6月27日 9時10分
-
難聴で障害等級2級の障害基礎年金を受給しています。65歳から老齢厚生年金を受給したいのですが、働きながら受給は可能?
オールアバウト / 2024年6月26日 18時30分
ランキング
-
1マクドナルドが「ストローなしで飲めるフタ」試行 紙ストローの行方は...?広報「未定でございます」
J-CASTニュース / 2024年7月17日 12時55分
-
2申請を忘れると年金200万円の損…荻原博子「もらえるものはとことんもらう」ための賢者の知恵
プレジデントオンライン / 2024年7月17日 8時15分
-
3「380円のデザートを10人で分けて…」“ラーメン屋でラーメンを頼まない”ヤバい客の実態を店主のプロレスラーが赤裸々証言
文春オンライン / 2024年7月17日 11時0分
-
4大谷翔平の新居「晒すメディア」なぜ叩かれるのか スターや芸能人の個人情報への向き合い方の変遷
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時40分
-
5「再配達は有料に」 ドライバーの本音は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 6時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)