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介護をしても、1円ももらえないケースも・・・知っておきたい介護とお金

ファイナンシャルフィールド / 2019年2月27日 9時45分

介護をしても、1円ももらえないケースも・・・知っておきたい介護とお金

2018年、相続に関する法律が大幅に改正されました。亡くなった人の妻が、そのまま自宅に住むための「配偶者居住権」が創設されます。自筆証書遺言のうち、財産目録をパソコンで作成できるようになります。その他にもいろいろな制度改正があり、40年ぶりの大改正となっています。   その中に、相続人以外の人が介護をしていた場合、相続人に金銭を請求できるというものがあります。  

介護をしても、1円ももらえないケースも…

老親の介護を、同居している長男の妻(いわゆる「嫁」)がしているというのは、よくあるケースです。
 
その親が亡くなり、相続が発生した際の遺産分割では、長男が自宅を相続したり、他の兄弟姉妹よりも財産を多く相続したりなど、相続人の協議で配慮されることがあります。(もちろん、次男、三男の妻が介護をしていた場合も同様です。ここでは、長男の妻として続けます。)
 
長男の妻は、相続人ではありませんので、義父母の財産を相続することはできません。しかし、子である夫が多めに相続することで、長男夫婦として財産を多く取得すれば、妻の貢献が間接的に評価されるというわけです。
 
ところが、親よりも長男の方が先に亡くなり、その後も同居している長男の妻が義父母の介護を担っていることもあります。この場合、義父母が亡くなっても、亡くなった長男の妻は、まったく財産を受け取れません。長男の妻は、亡くなった人の子ではないので、遺産を相続することができないのです。
 
長男の子は、長男の代わりに相続しますが、妻は夫の代わりにはなれません。そのため、子どもがいない場合などは、1円も遺産を受け取ることができずに、自宅を出ていかなければならないこともあります。
 

相続人に対する金銭の請求権

今回の民法改正では、介護をしていた長男の妻が、相続人(次男や長女など)に対して、金銭の請求をできるようにしました。
 
長男の妻を相続人とするわけではありません。義父母の遺産は、まず相続人である配偶者や子が相続し、その上でその相続人たちに対して、金銭の請求ができるようにする、というわけです。これで、長男の妻が担った介護の貢献に報いることができます。
 
長男の妻を相続人にしなかったのは、相続の手続きが過度に複雑にならないようにするためで、実質的に相続したのと同じ効果が得られます。この改正は、2019年の7月に施行される予定です。
 
税制面も、この制度改正を後押しします。長男の妻が相続人から得た金銭は、「遺贈」により取得したものとみなされます。遺贈とは、亡くなった人が遺言書で相続人以外の人に財産を遺すことです。遺贈により受け取った財産は、相続税の対象になります。
 
そして相続人は、相続税の対象になる遺産が、その分だけ減ることになります。つまり税制面では、相続人から金銭を受け取るのではなく、亡くなった人から相続したような扱いになるのです。
 
この税制の改正は2020年の税制改正大綱に盛り込まれており、2019年度に改正される予定です。
 

実際は、ほとんどもらえない可能性も?

では実際のところ、介護をしていた長男の妻は、いくらぐらいもらえることになるのでしょうか?
 
これについては、民法に具体的な金額が書かれているわけではありません。当事者の間で折り合いがつけばよいのですが、そうでなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
 
家庭裁判所では、介護の貢献度など、個別の事情を考慮して調停案を示したり、審判をしたりすることになるでしょう。事例が増えていけば、「相場」ができるようになるかもしれません。
 
実は、今までも相続人が介護をしている場合で、家庭裁判所に調停の申し立てがなされたことはあります。ただ、現状では遺産の分割に、介護の貢献はあまり考慮されていないようです。
 
長男の妻に金銭の請求をする権利ができても、実際にもらえる金銭はほんのわずかだ、となる可能性もあります。介護の貢献を、どのように評価するのか、今後の裁判や制度改正の流れに注目していく必要があります。
 
執筆者:村井英一(むらい えいいち)
国際公認投資アナリスト
 
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