海外転勤の際に気を付ける「事前」に手続きが必要な3つのお金にまつわること
ファイナンシャルフィールド / 2019年2月28日 23時0分
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まもなく転勤や異動の春がやってきますね。転勤は国内の転勤だとしても、生活が大きく変わります。しかし、それが海外転勤となると日常の暮らしの変化以外にもお金に関しては様々な変化が出てきます。 今回は、転勤・海外転勤になった場合のNISA・確定拠出年金、住宅ローン控除にどんな変化が起こるかまとめてみます。
NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは国内転勤のうちは特に変化はありません。今の住所に誰も住まなくなる場合は、郵便物や大事なお知らせが届かなくなってしまうと大変です。住所変更の手続きを忘れないようにしましょう。
海外転勤の場合、今までは国内居住が要件であったNISAやつみたてNISAは使えなくなっていました。これらの口座を開設している場合には海外に住民票を転出すると、課税口座に払い出されてしまうことになっていたのです。このため、海外転勤がある仕事をしている場合は使いにくい制度となっていました。
しかし、これが2019年の税制改正で条件が緩和されることになります。新しいルールでは、5年以内の海外転勤の場合、転勤前に金融機関に所定の手続きを行うことで、NISA(つみたてNISA)口座はそのまま継続できることになります。事前・帰国後ともに手続きが必要になりますのでその点は注意しましょう。
確定拠出年金(個人型・企業型)
確定拠出年金は個人型のiDeCo(イデコ)と企業型のDCがあります。いずれも国内で転勤をする場合は変わりなく利用することができます。住所の変更の届け出を忘れないようにしましょう。
確定拠出年金制度自体は、公的年金の上乗せ部分として考えられているので、海外転勤の場合は、転勤に伴って公的年金制度がどのように変化するかによって条件が変わってきます。
まず、企業型確定拠出年金は、日本の厚生年金に加入したまま、海外転勤をしている場合もこれまで通り掛け金の拠出・運用ができることになっています。
海外勤務が長くなったり、そもそも現地法人に雇われるような雇用形態の変更があったりした場合は、公的年金制度が変わることがあるので、その場合は継続できなくなることもあります。
継続できなくなると、それ以上の積み立てをすることはできず、原則は「運用指図者」として積み立ててあるお金だけを運用し、60歳以降に受け取る手続きをすることになっています。
次に、個人型のiDeCo(イデコ)は、公的年金制度がどうなっているかによって条件が変わります。個人型であっても厚生年金に加入し続けた状態で海外へ転勤する場合は、掛け金の拠出・運用ともに継続することができます。
ただし、郵便物が日本国内の住所に届くことが条件となっていますので、実家や親族が住んでいる国内の住所に住所変更の手続きをする必要があることに注意しましょう。
厚生年金ではなく、国民年金に加入の場合は、海外に転出すると任意加入者となるためiDeCoの加入資格を失います。
以降は新規の積み立てはできず、「運用指図者」として積み立てた財産を運用することになります。帰国後、国民年金の加入義務者になったあとで手続きをすることでまた積み立てを再開することができます。
このように確定拠出年金は、「自分の公的年金がどうか」によって違ってくることを注意しておきましょう。
住宅ローン控除
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、いわゆる住宅ローン控除を使って税金を控除しているケースは多いですね。住宅ローン控除を使うためには「本人が居住していること」という条件を満たす必要があるので、原則的にはその家から引っ越した場合は適用できなくなります。
ただし、単身赴任などで家族がその家に住み続けている場合は適用を続けることができます。一家で引っ越してしまう場合はその期間住宅ローン控除を適用することができません。
転勤から戻ってきたときに、住宅ローンの適用期間が残っている場合は、一定の手続きをすることで再開が可能です。住宅ローン控除の期間が10年間で、2年控除を受けたのち3年転勤して戻ってきた場合、住宅ローン控除を適用できる残存期間は8年ではなく5年となりますので、その点は注意しましょう。
いずれにしても、転勤などにより住所が変更になる場合は「事前」に手続きが必要なことがほとんどです。引っ越しを伴う転勤はただでさえあわただしいものですので、こういった書類上の事務手続きは後回しになりがちです。
転勤の可能性がある会社にお勤めの場合は、普段から自分が利用している制度について理解し、転勤の際にはどのような手続きがいるかまとめておけると安心ですね。
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
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