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「分散投資さえしていれば安定した成果が得られる」は嘘!分散投資は万能じゃない

ファイナンシャルフィールド / 2019年3月5日 10時0分

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つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)など、個人による資産形成を税制面や費用面から支援する制度が徐々に普及してまいりました。つみたてNISAに関しては、口座開設数が1年間で100万を超えるなど、投資信託を利用した資産運用に広がりが見えるのではと期待したいところです。   いずれの制度においても、投資初心者にバランス型投資信託による分散投資を勧める言説が少なくありません。それは教科書的には良いでしょう。   しかしながら、実際には初心者に「分散投資さえしていれば安定した運用成果が得られる」という間違った理解を押し付けているのではないでしょうか。  

分散投資とは

資産運用セミナーなどで使われている西洋の格言に、「すべての卵を1つのカゴに盛るな」という言葉があります。
 
1つのカゴに卵を盛ると、そのカゴを落としたときに卵が全部割れて台無しになってしまいます。それを避けるためにカゴを分けるべき、という意味合いから、分散投資の重要性を説いた言葉です。
 
すなわち投資する際には、異なる値動きが想定される株式や債券などの投資対象や、国・地域そして通貨について単一ではなく複数に分けて投資すれば、全体の価格変動幅を安定化させる効果が期待できる、というわけです。
 

バランス型投資信託とは

バランス型投資信託とは、複数の投資対象資産(株式や債券、REITなど)、複数の通貨に投資をする投資信託のことです。
 
すなわち、1つの投資信託で分散投資が行われており、価格変動幅が安定化するのはもちろん、どの投資対象がどれくらいの期待収益があるのかわからない投資初心者に最適といわれております。
 

価格変動幅が安定化するといってもマイナスにならないわけではない

バランス型投資信託の過去のパフォーマンスを提示されると、多少の凸凹はあるものの総じて右肩上がりになっているグラフを見ることになり、ついついプラスの収益を期待してしまいます。
 
投資信託の価格の変動幅を数値化したものがリスクといわれるもので、標準偏差が用いられています。バランス型投資信託は複数の資産に分散投資されているため、この数値が単一の資産への投資に比べて小さくなっております。
 
iDeCoなど確定拠出年金向けバランス型投資信託で最大の資産規模である、三菱UFJ プライムバランス(安定成長型)DCのこの数値は8%程度です。
 
これは統計的に、年間の変動幅がプラスマイナス8%に収まる確率が約3分の2であるとされます。逆にいうと、8%程度のマイナスになる確率もある程度あるということです。
 
分散投資しているからといって安定したプラスの収益になるというのは大きな間違いです。
 

家計全体が“分散投資“されていることが重要

家計において個人向け国債を保有している、あるいは、相続や持株会を通じて株式を少なからず保有している場合において、バランス型投資信託を保有していても分散投資しているといえるでしょうか。
 
外貨建て変額年金保険に加入している場合も同様です。多額の他の金融資産を保有していると、家計全体の資産価値の変動幅は安定しません。
 
つみたてNISAやiDeCoにおいて、バランス型投資信託を利用することは、投資初心者にとって適切であるという考えに異論はありません。ただ、バランス型投資信託で分散投資を行っていても、資産運用は万全ではないことを認識していただければ幸甚です。
 
出典
金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査(平成 30 年 12 月末時点(速報値))」
 
執筆者:加藤啓之 (かとう しげゆき)
FP横浜オフィス加藤 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、1級DCプランナー
 
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