高校進学をあきらめない。学校教育費を助成してくれる制度とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年3月9日 9時0分
高校進学にはさまざまな準備が必要です。その中で学校教育費の用意は、大切な準備のひとつです。 公立・私立高校の学校教育費の目安、授業料や授業料以外の学校教育費を助成する制度についてポイントを解説します。
高校の学校教育費の目安
文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」より、塾代や習い事などの学校外活動費以外にかかる高校の学校教育費の目安(年額)について確認しておきましょう。
●公立高等学校(全日制)
・授業料(就学支援金充当部分の除く):23,368円(8.5%)
・修学旅行、遠足、見学費:34,892円(12.6%)
・学校納付金等:49,762円(18.0%)
・図書、学用品、実習材料費等:40,662円(14.7%)
・教科外活動費:44,276円(16.0%)
・通学関係費:79,157円(28.7%)
・その他:3,874円(1.4%)
・学校教育費の総額:275,991円
●私立立高等学校(全日制)
・授業料(就学支援金充当部分の除く): 271,835円(36.0%)
・修学旅行、遠足、見学費: 54,096円(7.2%)
・学校納付金等: 228,864円(30.3%)
・図書、学用品、実習材料費等: 41,636円(5.5%)
・教科外活動費: 44,764円(14.4%)
・通学関係費: 109,048円(0.6%)
・その他: 4,858円
・学校教育費の総額: 755,101円
公立高校(全日制)の学校教育費は、約27万6千円となっています。この内訳の構成比を見ると、最も高いのは,「通学関係費」の28.7%(約7万9千円)で、次いで「学校納付金等」の18.0% (約4万9千円)となっています。
私立高校(全日制)の学校教育費は,約75万5千円となっています。この内訳の構成比で最も高いのは,「授業料」の36.0%(約27万2千円)で、次いで「学校納付金等」(入学金、入学検定料、施設設備資金、学級費、PTA会費、寄付金等)の30.3%(約22万9千円)となっています。 「通学関係費」も公立高等学校に比べ、高くなっています(約10万9千円)。
塾代や習い事などの学校外活動費は支出のコントロールが可能ですが、学校教育費は「かかる費用」ですので、国や自治体による負担軽減制度があります。
高等学校等就学支援金
平成26年度より、公立高校は授業料無償制度から就学支援制度に移行しました。就学支援金は、一定の所得未満の世帯の生徒を対象に、授業料に充てるための支援金です。
対象となる生徒は平成26年4月1日以降に対象となる高校等に入学した高校生等です。平成30年7月1日以降、保護者の都道府県民税・市区町村民税所得割の合算額が50万7千円未満の世帯の生徒が対象です。
就学支援金の金額は年額118,800円です。私立高校に通う場合には加算があり、世帯の収入状況等により、年額118,000円(基本額)の1.5倍、2.0倍、2.5倍が助成されます。
高校進学後に申込みます。手続きをしないと支給されませんので留意してください。
支給方法は、高校等が生徒本人に代わって受け取り、授業料に充てることになります。なお、学校によっては、一旦授業料を納めてもらい、後日、就学支援金相当額を返還する場合があります。
高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)
既に見たように、学校教育費は授業料だけではありません。教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等など結構かかります。高校生等奨学給付金は、高校生等のいる都道府県民税・市区町村民税所得割の合算額が0円(非課税)の世帯を対象に、授業料以外の学校教育費の支援を行うものです。
給付額は学校種、世帯状況によって変わります。例えば、国公立高校では、1年間で32,300円~129,700円、私立高校では、1年間で38,100円~138,000円がもらえます。年1回保護者の口座に振り込まれます。
毎年7月頃に手続きが必要となります。 詳しい方法は在学する高校にお問合せください。高等学校等奨学給付金は支給漏れが多いと言われていますので、忘れずに手続きしましょう。
なお、東京都独自の制度として、都立高校の教育活動に参加するために必要な経費を保護者に代って支払う「給付型奨学金」を設けています。
私立高校生への授業料等支援制度
上記の高等学校等就学支援金に加え、各都道府県において、授業料等の支援を設けている場合があります。
例えば、東京都の場合(平成30年度)、年収の目安(夫婦と子ども2人の4人世帯)約760万円までの世帯に対して、在学校の授業料を上限に国の「就学支援金」と合わせて、449,000円(都内私立高校平均授業料相当)まで助成する「授業料軽減助成金」を設けています。
多くの自治体には同様の制度があります。要件や申請方法等の詳細については高校等にお問い合わせください
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
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