リバースモーゲージとリースバック 2つの違いを押さえよう
ファイナンシャルフィールド / 2019年3月14日 9時0分
最近耳にする「リバースモーゲージ」や「リースバック」。CMでは、どちらも自宅に住んだまま老後の資金が手当てできると言っていますが、その仕組みはどのようなものでしょう。 2つの違いを知ることで、それぞれの仕組みの理解が深まります。「比べると分かりやすい」こともあります。
不動産の活用法 リバースモーゲージの仕組み
シニアの皆さんと話していて「老後資金が不安」という声は多いです。寿命が延びて生活資金が足りなくなるのでは、要介護の生活が長くなったらどうしよう、と悩みは尽きません。最近、資金調達の手段として注目されているのが、自宅不動産を使った方法です。
「リバースモーゲージ」と「リースバック」は資金を調達する方法ですが、ともに自宅に住み続けることが出来るのが特徴です。“資産は自宅不動産と少しの預金”という場合、資金不足になったら不動産を売却することになります。自宅を手放したら、引越しを考えなければなりません。
前向きに住み替えるのであれば嬉しいですが、「お金が足りなくなったので、引越しをする」というのは、心細いものです。住み慣れた環境を変えることは、精神的な負担も大きいです。ご近所づきあい、買い物や病院など、「今」の日常生活はなるべくそのまま続けたいと願うのが一般的です。それを叶える方法として、この2つが注目されているのです。
リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借りる方法です。“返済する余裕はありません”という場合も借り入れが出来ます。契約者の死亡時に、担保になっている不動産を売却することで精算します。相続人がローンを返済すれば、不動産は相続財産として残ります。金融機関によって条件は変わります。
概ね55歳以上の方が利用でき、融資金額は担保評価額の50%以内です。使い道が限定されている場合もありますので、金融機関を選ぶ際のチェックポイントになります。
これ以外のポイントは次の通りです。
<融資方法>
(1)利用限度枠内で自由に引き出しタイプ
(2)年金タイプ
(3)一括タイプ
<返済方法>
(1)毎月返済は無し(死亡時に利息分も含めて返済)
(2)毎月返済は有り(利息のみを毎月返済)
どのタイプが自分に合っているのかが分かれば、取引する金融機関を選ぶ材料になります。
このように自宅を担保に現金を手にすることが出来ますが、注意点もあります。通常適応金利は変動金利なので、金利が上昇した時に利用限度額が減少したり、毎月の支払利息が増えたりする可能性があります。
また、担保となっている不動産の評価額が下がった場合、融資限度額が減額になるということも考えられます。返済金額が利息分だけ、あるいは毎月の返済はしなくてよいということで、「借りやすい」状況にありますが、長期間続けていると限度額に達してしまう恐れがあります。
やはり「長生きのリスク」を念頭に置き、借入計画は入念にしなければなりません。
死亡時に精算ということで、相続財産に担保が設定されることになりますので、推定相続人に「同意書」を求める金融機関が多いことも留意点です。リバースモーゲージを利用することについて、事前に家族で話し合うことが大切です。
リースバックの仕組み
リースバックも“自宅に住み続けることが出来る”点は似ていますが、こちらは不動産を売却して資金を調達します。売却しますので所有権はなくなり、その物件を借りて(家賃を払って)住み続けることになります。売却代金は一括で受け取りますので、大きな資金を調達することが出来ます。
(1)住宅ローンや他の借入があるので、それらを完済してスッキリさせたい。
(2)近い将来、住み替えを考えているので、購入資金を待機させておきたい。
(3)子どもがいない、もしくは子どもがいても将来実家に帰る予定がないので、資産は流動性を優先したい。
こうした場合にも利用しやすいです。所有権は無くなりますので、子どもに相続させることは出来ません。
「どちらを選んでも、最終的には不動産を手放すことになるのでは」という疑問があります。リースバックは売却することをスタートにしていますが、買い戻すことも可能です。また、リバースモーゲージは、10年以上取り扱っている金融機関に興味深いデータがあります。
契約者の死亡時に、自宅と返済はどのようになったかというと、約半数が契約者の残した金融資産や相続人の手持ち資金等により現金で完済されています。自宅不動産は残ったということです。
終活という言葉があります。不動産が負動産になっている事例もあります。自宅不動産の終(しま)い方を含め、活用法を家族で話すことが大事だと考えます。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士
関連記事
■50代からでも遅くない?理想の老後の住まいとお金の準備を考える。
■マイホームの出口戦略。「マイホーム借り上げ制度」ってなに?
■年金が月々数万円!?年金が少ない人が知っておきたい資金調達方法
■【疑問】リバースモーゲージは老後のライフプランを変えるのか
■人生100年時代、老後の生活資金はどうする? 自宅を担保に資金を借りられる「リバースモーゲージ」って何?
この記事に関連するニュース
-
リバースモーゲージの保証残高180億円突破のお知らせ
PR TIMES / 2024年4月30日 14時15分
-
老後資金に困ったときの手段! 「リバースモーゲージ」と「リースバック」について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月15日 8時20分
-
定年後に3000万円で「平屋」を買いたいけど、年齢的に無謀? 意外とおすすめ? 注意点もあわせて解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月12日 10時0分
-
相続税対策に活用できる場合も…〈自宅マンションの処分〉で検討すべき「売る」以外の選択肢とは【住宅のプロが助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月10日 15時15分
-
Q. 「住宅ローン金利が上がって破産者が相次ぐ」と聞きました。対策はありますか?
オールアバウト / 2024年4月8日 21時40分
ランキング
-
1世界3大投資家ジム・ロジャーズの残酷すぎる直言「日本の40代以上は日本以外の場所へ今すぐ引っ越しなさい」
プレジデントオンライン / 2024年5月7日 16時15分
-
2いきなり!ステーキが、名物「オーダーカット」を廃止していた! ピークから5年、経営再建の現在を探る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月6日 6時30分
-
3一時1ドル160円から乱高下 為替介入2日で8兆円規模か【Bizスクエア】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月8日 6時30分
-
4アップルやアマゾンでも「失敗する」共通の特徴 プロジェクト自体は最終目的ではなく達成する手段
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 17時0分
-
5訪日客数が過去最高 インバウンド需要は?
食品新聞 / 2024年5月8日 10時41分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください