外貨運用を始める~外国債券とはどういうものか?
ファイナンシャルフィールド / 2019年3月26日 9時30分
自分の資産に外貨を組み入れる場合、多くの運用方法が考えられます。 例えば、米ドルを組み入れるなら、米国株の購入や、米ドル建ての商品で運用している投資信託の購入などがあります。ただ、外貨運用初心者なら、そうした値動きの大きい商品は怖いと感じるかもしれません。 そのような場合、外貨預金や外国債券(外債)といった商品が選択肢となり得ます。外貨預金は一般的に認知度も高いと思われますが、外債についてはあまり馴染みがない人も多いかもしれません。外債とはどういうものなのでしょうか。
債券の基本的な特徴
まず、債券について基本的なことを押さえておきます。債券と一口に言っても、その種類は多岐にわたるため、ここでは最も基本的な形である「固定利付債」について説明します。
債券は企業の借り入れ証書のようなもので、資金の借り手である企業が、その債券の「発行体」と呼ばれます。借り入れは期限が決まっており、その返済時期が債券の「償還日」にあたります。借り入れの利率や利払い日はあらかじめ決められていて、その利率は「クーポン」などとも呼ばれます。
債券特有の言い回しなどもあるため、難しく感じられるかもしれませんが、実は一般的な定期預金の仕組みと似ているとも言えます。発行体を定期預金の預け先の銀行、償還日は定期預金の満期日、クーポンは定期預金利率と考えれば分かりやすいでしょう。
どちらの場合も利回りが最初から確定しており、発行体や銀行が潰れない限り、期限が来れば元本が全額返ってくる仕組みとなっています。
このように考えれば、定期預金を預ける際に利率と期限を重視して決めるのと同様に、債券を選ぶ際も、償還日とクーポンが重要になることが分かると思います。そして、銀行が潰れないことが預金の大前提であるように、債券の発行体が潰れないことが何より重要となります。
では、外国債券とは?
外国債券とは、発行体か通貨、発行市場のどれか一つでも国外のものである債券のことを言います。
今回は外貨を資産に組み入れる際の対象として、外債を取り上げているため、以下では通貨が国外のもの(外貨)である外債についてお話します。
元本が保証されているということで安心感のある外債ですが、元本が確保されているのはその外貨ベースであるという点には注意が必要です。つまり、購入時より償還日時点のほうが円高になっていれば、円換算したベースでは元本割れしてしまいます。
例えば、ドル円の為替が100円の時に5万ドルの外債を購入した場合、当初の投資資金は500万円ですが、償還時の為替が90円になっていれば、償還金の5万ドルを円に戻すと450万円になってしまいます。外債投資には為替リスクがどうしても付いてくるのです。
外貨預金と外債の違い
為替リスクが付きまとうのは、外貨預金でも外債でも同じです。外債のみのリスクとしては、換金性の問題があります。一般的な外債の多くは時価での売却が可能となっていますが、時価が購入価格を上回ることはそれほど多くないと考えておいたほうが無難でしょう。
債券の価格が上昇するのは、大まかに言って、市場金利が購入時より低下しているか、あるいは発行体の信用力が大きく改善しているかのどちらかの時となります。
損失を出してまでの売却はしたくないとすれば、償還までに換金できるタイミングはあまり多くないか、もしかしたら全くないこともあり得ます。その意味では、実際の換金性は決して高いとは言えません。
外貨ベースで元本が確保されているというのは、償還まで持ち切った場合の話なのです。
また外債は、外貨預金よりも一般的に期間が長いものが多くなっています。メガバンクなどでは、最も長い米ドル定期預金は1年物であり、その場合の金利も0.7%前後です(2019年3月11日現在)。
一方、外債の場合、メガバンク系列の某証券会社では、例えば2024年11月償還の米国債などが購入でき、その利回りは2.21%となっています(2019年3月11日現在)。長いものでは、2048年8月償還の米国債などを取り扱っているところもあります。(2019年3月11日現在で利回り2.911%)。
利回りで比べると、現時点では外債のほうが魅力的だと言えます。しかしそれは、長く資金が固定化される可能性の裏返しでもあることには注意が必要です。
実際に外債に投資する上では、その他にも留意点があります。それについては、次回にまた書かせていただこうと思います。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
関連記事
■株式投資と比べて、外貨投資の方が難しいワケ
■投資を始める前に!理論的にはもうかるドルコスト平均法を検証してみた。
■投資のリスクはやっぱり怖い!?よく知れば外債投資(外貨建債券)でさえ怖いイメージは変わるもの!
■国内の金融商品は金利がつかないから外貨建ての投資をしたい。そんなとき目にする「為替ヘッジ」って何?
■『外貨でボーナス運用しませんか?』 金融機関からの勧め。 どうして外貨を持つ必要があるのか
この記事に関連するニュース
-
明治安田生命保険相互会社発行の米ドル建劣後社債(既発債)を外国債券のJTG証券が取扱い開始!(9/12~)
PR TIMES / 2024年9月17日 21時40分
-
株価急落のニュースを見て“投資は怖い”と思うけれど、銀行預金の利率は低すぎて…。株式投資以外の「投資」について知りたいです
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月16日 8時0分
-
ウィブル証券が特許出願中の『Moneybull』サービスを開始、4.8%の利回り(※1)を提供
PR TIMES / 2024年9月6日 20時40分
-
円安でも外国債券に投資をしてもいい? 購入する際の考え方と注意点
MONEYPLUS / 2024年9月5日 11時30分
-
"火事確率40%"ならみな保険に入る…お金のプロが円の紙くず化に備え「貯金が少ない人こそ買え」という商品名
プレジデントオンライン / 2024年9月3日 16時15分
ランキング
-
1連結器はずれた東北新幹線を“救済” 常磐線特急を臨時で仙台まで延長 新幹線は再開見込み立たず
乗りものニュース / 2024年9月19日 10時45分
-
2下請けいじめ、懸念事案あり 日本自動車工業会が緊急点検
共同通信 / 2024年9月19日 13時3分
-
3お金持ち流!100円ショップで買うもの・買わないもの
オールアバウト / 2024年9月18日 21時40分
-
4「部長、その話、キツいっす」部下が辞める雑談2種 部下が未来に絶望していく、何気ない2つの話題
東洋経済オンライン / 2024年9月19日 8時0分
-
5「若者のディズニー離れは“料金が高い”から」説は、本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月18日 7時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください