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親への仕送りに贈与税はかかる?医療費控除の適用はどうなる?

ファイナンシャルフィールド / 2019年3月27日 10時0分

親への仕送りに贈与税はかかる?医療費控除の適用はどうなる?

親子という関係にあっても、親の財産状況がよくわからないという人は少なくありません。   そのため、別居している親の暮らしぶりを見て、そのうちに仕送りが必要になるかもしれないと心配をしている人もいるのではないでしょうか。   親に仕送りを始めた場合に贈与税はかかるのか、親の医療費を負担した場合に自分の医療費控除分として所得税や住民税を安くできるのかなど、親への仕送りと税金の気になる問題についてご紹介します。  

親への仕送りが必要になったら

暮らし向きに不安を感じる高齢者は約3割

親子の関係は人それぞれです。育ててもらった恩を感じ、親孝行をしたいと常に思っている子もいれば、なるべくかかわりたくないと思う関係となっている親子もいますね。しかし、どんな関係であったとしても、親が生活に困ることなく暮らしているかどうかは気になるもの。
 
内閣府の調査では、自身の暮らし向きに心配はないと感じている高齢者が約7割いる一方で、多少心配、非常に心配と感じている高齢者が約3割いる状況が明らかとなっています。
 
出典:内閣府
 
子のいない高齢者もいますが、暮らし向きに心配のある3割近くの高齢者の子に、親の生活費の心配をしなければならない日がやってくる可能性があるのです。
 

望んでする人、したくないけどしている人

親の扶養義務は民法で定められています。しかし、子にも子の生活があるため、余力のある分で支えればいいとされています。とはいえ、親へ仕送りをしている人の中には、みずから望んでしている人もいれば、したくないと思いながらしている人もおり、心の内はそれぞれです。
 
・親への恩返しのつもりで前向きに仕送りしている

・いつまでも不安なく長生きしてほしくて仕送りしている

・困窮している様子なので仕方なく仕送りしている

・計画的に貯蓄してこなかった親への不満がありつつも仕送りしている

・お金がないのに贅沢な暮らし方をしている親に不本意ながら仕送りしている

・配偶者の気持ちを尊重して義実家へ仕送りしている

・兄弟の意見に合わせなければならず仕送りしている
 
第三者から見れば、どの人も親孝行な人ですが、複雑な思いを抱えているケースも少なくありません。少しでも不満を解消するためには、仕送り額で無理をしない、自分のための貯蓄もしっかりしておくなどの対策が大切です。
 

生活費のための仕送りに贈与税はかからない

仕送り額もそれぞれ

親への仕送り額は人それぞれで、内閣府による調査によると少ない人では月に1万円、多い人では月に75万円となっています。75万円/月では年間で900万円となってしまうためレアケースと考えられますが、平均でも6~11万円ぐらいとなっており、入所・入院費に占める割合が多い状況です。年間にすると72~132万円となり負担の大きさがうかがえますね。
 
月1万円ぐらいであれば年間12万円で済みますが、仕送り額が多くなった場合に気になるのは贈与税のこと。贈与税の基礎控除額が110万円のため、1年間に110万円を超える贈与をすると贈与税がかかってしまうためです。
 
出典:国税庁

 

預金してしまったらNG

親や子供、兄弟など、生活に困った親族などにお金を援助するケースにおいては、扶養義務があるかないか、どんな使い道かの二つが大事なポイントとなります。相続税法において、扶養義務のある人に対しての生活費や教育費であれば贈与しても贈与税がかからないと定められているためです。
 
あくまでも生活費として使う必要があり、例えば、仕送りをしたお金を親が預金してしまうと贈与税の対象になってしまうため注意が必要です。また、株式の購入などに使ってしまってもNGとなります。
 

親を所得税法上の扶養親族にすれば扶養控除を受けられる

兄弟で仕送りしている場合は誰か1人の扶養対象に

仕送りの金額がある程度のボリュームとなっている人は、節税の方法も検討しましょう。親を所得税法上の控除対象扶養親族にすると、所得税・住民税の扶養控除を受けられるようになります。
 
民法で規定されている扶養義務という言葉と混同しやすく、まぎらわしいのですが、所得税法上の扶養親族にするためには条件を満たす必要があります。条件とは、生計が一であること、そして親の年間所得が38万円以下であることです。
 
ここで親の年金収入が気になるかもしれませんが、例えば65歳以上の人については公的年金が120万円以下であれば公的年金控除によって所得0円とみなされます。
 
出典:国税庁

 
別居している親について「生計が一である」とするためには常に生活費等の仕送りをしているという事実が必要。銀行振り込みなど、送金の事実をいつでも証明できる方法で仕送りしておくと安心です。
 
複数の兄弟で親に仕送りしている場合は、いずれか1人の扶養控除対象にできます。重複して控除対象にすることはできません。
 

別居している親の扶養控除額は48万円

親を控除対象扶養親族にした場合の控除額は、同居の場合で58万円、別居の場合で48万円です。所得税率が20%の人であれば、それぞれ11.6万円、9.6万円を節税できるイメージとなります。住民税10%の節税分も合わせると、17.4万円、14.4万円です。
 
出典:国税庁
 
また、生計が一であれば、親の国民年金保険料を払った場合に自分の社会保険料控除の対象とできます。ただし、親の年金から天引きされていると適用できないため、納付書による支払い、あるいは子の口座からの口座振替で支払う形への変更手続きが必要です。過去の年分の国民年金保険料を払った場合であっても、払った年の社会保険料控除対象とできます。
 
また、生計が一の親の医療費を払った場合も医療費控除の対象にでき、所得控除を受けられます。
 
出典:国税庁
 
親への仕送りは、どのくらい続くのか先が見えない分、不安が大きいものですね。贈与税の心配は不要ですが、仕送り額が増えた場合には扶養に入れて節税するなどし、少しでも出費を減らせるように工夫するとよいでしょう。
 
TEXT:MASAMI
FPwoman Money Writer’s Bank 所属ライター

AFP・2級ファイナンシャル・プランニング技能士、個人情報保護士。
さまざまなライフステージにおいて女性として輝き続ける人生を歩むためには、物事をプラスに捉えるための知識が大切と考えています。
一人でも多くの女性に幸せへの新たな一歩を踏み出してほしいという想いで、年金や教育費など生活に密着したお金の話をわかりやすく伝えるライターとして活動中です。
 
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