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財産は「自宅不動産と少しの預金」そんな家庭こそ注意したい空き家問題とは

ファイナンシャルフィールド / 2019年4月2日 10時30分

財産は「自宅不動産と少しの預金」そんな家庭こそ注意したい空き家問題とは

最近、空き家対策のお仕事をさせていただくことがありました。相談だったりセミナー講師だったりと、仕事内容は様々ですが、空き家の問題は、特別な問題ではなく、一般の方にとっても身近な問題になってきているということをひしひしと感じるようになりました。   今回は増加している空き家問題について考えてみたいと思います。  

相談あれこれはこんな感じで始まる

空き家の相談といっても、いきなり「空き家をどうしたらよいのか」と聞いてくる方ばかりではありません。最初は、「夫が亡くなったので、自宅を売却してその資金を元手に老人ホームに入居したい」という相談から始まったり、「親の相続について相談したいのですが」と相談したりする方もいます。
 
自分の相談もあれば、兄弟のこと、高齢になった親のことなど、相談してくる方も様々です。相談を受けてお話しているうちに、そこから空き家の相談に及ぶということが多いのです。
 
相談をお受けするときの財産内容については、「自宅不動産と少しの預金」という普通の家庭です。この普通の家庭が空き家予備軍となっているのです。
 
特に、自宅不動産の中でも、駅から少し離れた一戸建てというのは、空き家になりやすいといえますが、家に思い入れが強い人が多く、元気なうちに「売却する」「人に貸す」などの対策を、自分ですることが考えられない場合が多いのが特徴です。相談をお受けするときには、「もっと早く来ていただきたかった」と感じることがよくあります。
 

空き家は増え続けている

国土交通省のデータから増加の推移を見ると、空き家問題は待ったなしです。空き家率は全国平均で5.3%ですが、鹿児島、高知、和歌山は10%と、西日本を中心に増え続けています。空き家の総数は、この20年で1.8倍(448万戸→820万戸)増加したことがわかります。
 
参考:国土交通省『空き家等の現状について』/空き家数の推移と種類別内訳
 
私が相談をお受けする方でも、実家を相続したけれど、遠いし、既に自宅を保有しているので住む予定はないと言われる方も数多くいらっしゃいます。空き家にしておくと台風で屋根が飛んだのがそのままになっていたり、壁が崩れてそのままだったりと、手入れが行き届かず、荒れ放題となることもあるでしょう。
 
夫が亡くなっても、登記を妻に変更せず放置していた結果、その後の相続で誰が相続するのか決められないまま、空き家になっていることもあります。「登記していなくても、固定資産税もちゃんと払っているからいいでしょう」と相続人の方から言われたこともあります。空き家になっても「どうしようもできない」という感覚が空き家増加の一因なのでしょう。
 

対策を特別なこととは考えない

空き家対策は、相続対策とほぼ同じ手間とも言えますので、面倒に感じる方が多いのでしょう。ただ、その面倒を解消するために、民法の改正が予定されています。既に施行されているものや施行目前のものに触れておきましょう。

既に1月に施行されたのは、自筆証書遺言の要件緩和です。これまでの自筆証書遺言では、全文を自筆で書く必要があったところ、財産一覧をパソコンで作成したものに署名捺印したり、通帳の写しや登記簿謄本を添付すればよくなったりと、面倒な作業から解放されることとなりました。
また、2020年7月施行予定の自筆証書遺言の保管制度にも注目しましょう。これまで、自筆で遺言を書いても、あるのが周知されておらず、遺産分割が終了した後に見つかるといったデメリットがありましたが、そんな心配も無くなることでしょう。ただ、写しの請求や保管料などの詳細についてはこれからですので、どれくらいの費用がかかるのかなど、経過を見守りたいものです。
私もセミナー講師の時によく言っていることですが、先のことはどうなるかはわからないと言わず、まず、今の希望で構わないので、書き出してみるという軽い気持ちで始めてみましょう。

政府は、所有者不明の土地や空き家問題の抜本的な対策に乗り出すようです。現在は任意となっている相続登記の義務化や、土地所有権の放棄の可否などの協議が予定されています。
 
具体策を検討する中古住宅の不安、汚い、わからないといったイメージを払拭するための制度を設けたり、相続した不動産を売却したりした場合に、譲渡所得から3000万円を控除する税制措置もあります。
 
空き家をそのままにしていると、火事になったり道をふさいだりと、他人に迷惑を与えることにもなりかねません。ぜひ、以下を参照しながら、自宅を空き家にしないように、家族で話し合ってみてください。
 
国土交通省/既存住宅流通のための「安心R住宅」制度
国税庁/被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
埼玉県/空き家バンク
 
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 
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