充実した老後ライフプランを実現する為の準備金はいくら必要なのか
ファイナンシャルフィールド / 2019年4月4日 8時30分
おひとりさまといわれる独身世帯が増えています。 「平成27年国勢調査」によりますと、日本の「単独世帯」は1841万7922世帯で、一般世帯の34.6%を占めています。また、平成22年調査時の32.4%から2.2%増加しており、今後もこの割合は増加すると見込まれています。 これからますます増えそうな独身世帯では、老後資金をいくら準備すれば良いのでしょうか?独身世帯の老後の支出、収入の調査結果などを確認しながら、必要な資金についてみてみましょう。
老後資金の金額の考え方
老後資金をいくら準備するかについて、どのように考えれば良いのでしょうか?
まず、老後の支出と収入を比べて、足りない金額を見積もります。支出は毎月の生活費と年間行事などの費用。収入は主に公的年金ですが、その他アルバイトなどの収入が見込める場合はそれも含めます。
次に、老後の年数を考えます。人によって何歳からが老後になるかは異なるでしょうが、現在の公的年金の支給開始年齢は65歳ですので、65歳と考えるのが分かりやすいですね。
しかし、60歳退職後に収入が大きく下がる場合は、60歳からと考えて良いかもしれません。逆に、65歳を過ぎても現役同様に収入が見込める場合は、もっと遅くからと考えて良いかもしれません。
一方、何歳までかについて、平均寿命を考えて90歳とするか、今後寿命が延びると考えて100歳にするかは人それぞれです。
そして、老後生活の年間の不足額に、先に考えた老後の年数を掛けた結果が、老後資金の金額の目安です。これに介護が必要になったときの費用や、医療費の増加などを考慮した予備の費用を追加すると良いでしょう。また、老後が賃貸住まいの場合は、家賃についても考えておきたいですね。
独身世帯の老後の支出
平成29年の「家計調査年報(家計の収支編)」によりますと、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の消費支出の月額平均は14万2198円。税金や社会保険料の非消費支出は1万2544円です。
消費支出のうち食料が3万5418円で24.9%。住居は1万4538円です。この金額から、賃貸住まいの場合は家賃を考慮して数万円を上乗せして考える必要があります。
また、教養娯楽は1万6852円、交際費は1万7528円となっています。普段の付き合いが多い人や、趣味などにお金をかけている場合は、その点も考慮する必要がありそうですね。
独身世帯の老後の収入
独身世帯の老後の収入について見てみましょう。老後の収入として大部分を占めるのは、老齢基礎年金・老齢厚生年金といった公的年金です。
厚生労働省の「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成29年」によりますと、単身世帯の年間の平均受給額は男子152万9000円、女子142万3000円です。年齢65歳~69歳に限りますと、男子143万9000万円、女子129万2000万円となります。
多くの人が現役時代に厚生年金に加入していますので、自営業者や今後増えてくると考えられているフリーランスの場合は異なる点に注意が必要です。
厚生労働省の「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によりますと、国民年金受給者の、老齢年金の平均年金月額は約5万6000円です。年間にすると67万2000円となり、上記の平均年金額とは異なる状況が想像されます。
老後資金の金額の例
例として、上記の数字をもとに老後資金の金額を見積もってみましょう。
支出については消費支出と非消費支出の合計15万4742円をもとにして、年間約185万7000円とします。収入については、公的年金受給額の65歳~69歳の女子の数値を使用すると129万2000円です。1年間に不足する金額は、収入と支出の差56万5000円ですが、余裕を考えて60万円としましょう。
そして、老後の期間を65歳~90歳の25年間としますと、60万円×25年で1500万円になります。もし、老後を100歳までの35年としますと、10年分600万円が追加で必要となります。
賃貸住まいの人は、さらに家賃分を追加する必要があります。また、年金収入が今回の金額よりも少ない場合、必要な金額はより多くなるでしょう。
老後生活をイメージして、必要な金額を見積もりましょう。そのうえで、今後の働き方や家計の見直し、今後の貯蓄の目安を決めるなど、次の行動につなげてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局「平成27年国勢調査」世帯構造等基本集計結果
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)平成29年(2017年)家計の概要」総世帯及び単身世帯の家計収支
厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)平成29年」調査結果の概要
厚生労働省年金局「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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