シニア企業の壁 「小さな事務所」の初期投資と運営コスト
ファイナンシャルフィールド / 2019年4月14日 10時0分
![シニア企業の壁 「小さな事務所」の初期投資と運営コスト](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_41735_0-small.jpg)
「定年後も働きたい」という人は多く、中には「自分で事業を始めたい」と独立・起業にチャレンジする方もいるでしょう。そして、「小さくていいから自分の事務所を持ちたい」と。 以前は「一国一城の主」と呼んだように、起業したら自分の事務所を持つことが当たり前でありステイタスでした。しかし事務所を持つには、たとえどんなに小さな所帯でも一定の初期投資と運営コストがかかり、売上が安定しない起業初期には、そのコスト負担に苦しむことが常となります。 そこで今回は、「小さな事務所」の初期投資と運営コストについて考えてみます。
東京都心に小さな事務所を持つためにかかる費用
たとえば、東京都心で小さな事務所を持ちたいと考えます。起業初期ですから、狭いところでいいと考え、賃貸事務所のサイトを当たってみると、千代田区などの都心であっても、古いビルやマンションタイプで、5~6畳のワンルーム程度の物件を7~10万円で借りることはできそうです。
しかし、事務所として機能させるためには、机や椅子、事務機器、パソコンなどの購入が必要でしょう。大まかに初期投資と月々の運営コストを計算してみます。
【1.東京都心の古いビルやマンションタイプに小さな事務所を持つ場合の一例】
(1)初期投資
・保証金または敷金・礼金(四ヶ月と仮定)+前家賃・仲介手数料 60万円
・パソコンなどIT機器(複合機はリースで・電話は携帯でまかなう) 30万円
・机や椅子など備品 10万円
…… (初期合計) 100万円
(2)運営コスト(月々)
・家賃・管理費 10万円
・通信費 3万円(携帯電話とネット接続)
・光熱費・水道費 1万円
・複合機リース代 1万円
・事務用品など 1万円
…… (月々合計) 16万円
かなり切りつめたつもりですが、都心に事務所を持つとなると、最低これぐらいはかかるのではないでしょうか?(実際はホームページ作成、印鑑や封筒、名刺などにも費用がかかると思います)
起業にどれだけ資金を準備するかは、事業のタイプにより違うでしょうし、使えるお金には個人差があると思いますが、事務所を開くのに初期投資の100万円は仕方ないとしても、毎月10数万円の費用がかかるのは、売上の不安定な時期には負担となりますよね。
もちろん事務所を持つメリットはあり、自分の自由に使えるスペースとしてお客さんを呼べますし、信用度が高まります。また、機密書類を扱ったり、スタッフを雇うときには自分の事務所が必要で、そのための必要コストという考え方もできます。
この例だと、一年間で約200万円の運営コストがかかり、初期費用とあわせて、300万円が消えていきます。その間を投資と考えて、何とか安定した売上を確保しなくてはなりません。
サブスクリプションで事務所を持つ費用
近ごろ注目されているのが、個室タイプのレンタルオフィスを利用する方法です。
さまざまなタイプがありますが、東京都心であっても月々5~7万円で利用できるようです。鍵もかかりますので、機密性には問題がありません。そういう「個室タイプ」のレンタルオフィスを利用するときのコストを試算してみます。
※個室でないタイプのレンタルオフィスを選べば家賃はもう少し下がります。
【2.東京都心の個室タイプレンタルオフィスで事務所を持つ場合の一例】
(1)初期投資
・前家賃 5万円
・パソコンなどIT機器 基本0円
・机や椅子など備品 基本0円
…… (初期合計) 5万円
(2)運営コスト(月々)
・家賃・管理費 6万円(法人登記や郵便取り次ぎなどの費用を1万円として)
・通信費 1万円(携帯電話のみとして・ネット接続費は0円)
・光熱費・水道費 基本0円
・複合機利用代 基本0円+使った分だけ支払う
・事務用品など 1万円
…… (月々合計) 8万円+複合機利用料
レンタルオフィスの場合、多くは無料または有料の会議室や応接室がついていますので、来客の場合はそれを利用することにします。そうすると、月々10万円以下となり、自力で事務所を持った場合よりローコストになりますし、なんといっても初期費用が抑えられます。
心配なのがスタッフを雇い入れるときですが、基本的にリモートで仕事をしてもらい、必要なときには出向いてきてもらうというスタイルを採る人が多いようです。
もうひとつ大切なことは、撤退するときや、うまくいって事務所を拡げるときにも、引っ越し費用や撤去のための手間があまりかからないことです。自治体等の準備するインキュベーションスペースを利用する手もありますが、審査など一定の手続きが必要となります。
しかしシニア起業のように、成長よりもゆるく継続していき、やめるときにはすばやく撤収したいという事業スタイルには、やはり制約の少ない民間のレンタルオフィスが向いています。
まとめ
今、サブスクリプションといって、月々定額の支払いでサービスを受けることが主流になっていますが、事務所も、月々の利用と考え、必要とあれば使うし、必要なくなればすぐやめられるといったサブスクリプションのレンタルオフィスが、シニア起業のようなスモールビジネス、マイクロビジネスには向いているのかもしれません。
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
関連記事
■『貯蓄4000万円』がゆとりある老後生活の基準? 老後破産してしまう人の共通点
■定年後に陥りやすい「居場所がない問題」そんなシニア男性の現実的な解決策は?
■元気なうちは現役?シニア世代の就労意識と実状。なぜ働くのか?
■再雇用で給与ダウン、どうやってこれまでの生活費を維持したらよい?
■60歳以降の収入について知っているとお得なこと
この記事に関連するニュース
-
全国展開バーチャルオフィスのワンストップビジネスセンター、中小企業庁より「経営革新等支援機関」に認定
PR TIMES / 2024年6月29日 14時40分
-
全国展開バーチャルオフィスのワンストップビジネスセンター、起業家支援のために弥生と提携
PR TIMES / 2024年6月28日 11時45分
-
起業にかかる「費用」の相場 - 法人と個人事業主の違いは? 資金調達の方法についても解説
マイナビニュース / 2024年6月25日 17時34分
-
Re:ZONE 豊中庄内01 2024年7月1日より入居開始!
PR TIMES / 2024年6月24日 18時15分
-
「5円で買った家」が毎月4万円の利益を生む…元サラリーマン投資家が「空き家投資は儲かる」と説くワケ
プレジデントオンライン / 2024年6月19日 9時15分
ランキング
-
1大谷翔平の新居「晒すメディア」なぜ叩かれるのか スターや芸能人の個人情報への向き合い方の変遷
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 20時40分
-
2申請を忘れると年金200万円の損…荻原博子「もらえるものはとことんもらう」ための賢者の知恵
プレジデントオンライン / 2024年7月17日 8時15分
-
3「再配達は有料に」 ドライバーの本音は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月17日 6時40分
-
4工学系出身者が「先進国最低レベル」日本の"暗雲" エンジニアを育てられない国が抱える大問題
東洋経済オンライン / 2024年7月16日 17時0分
-
5「380円のデザートを10人で分けて…」“ラーメン屋でラーメンを頼まない”ヤバい客の実態を店主のプロレスラーが赤裸々証言
文春オンライン / 2024年7月17日 11時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)