【相談実例】「夫に任せっぱなし」で破綻直前…がけっぷち家計が再生するまで
ファイナンシャルフィールド / 2019年4月18日 22時30分
夫婦の家計再生は、どちらか一方の努力だけでは成り立ちません。 「家計は夫が管理しているが、うまくいっていない」「夫が使うクレジットカードの請求額が月収以上」「もうどこにもお金がありません」「改善しようとすると逆上する」そんな風に筆者のところに相談にいらしたお客様の、家計再生のためにとった手順をご紹介いたします。
夫が管理している家計の危機的状況が判明
ご相談に来たお客様は、40代前半でお子様が一人いらっしゃいました。もともと家計は夫が管理し、生活費として定額をもらっていました。妻のパート代と夫からの生活費で暮らしていましたが、結局足りなくなるたびに銀行口座から引き出していたそうです。
とはいえ、日々の生活は回っていたため気づくのが遅れたようですが、ある時大きな支払いの時に「もうどこにもお金がない」という状態になっていたのです。夫は仕事が忙しく、管理が行き届かないうちにじりじりと貯蓄を崩しており、それが妻に露呈したときには危機的状況でした。
まずは夫に関係のないところをクリアにする
焦ってご相談に来ていただきましたが、夫が管理しているものは全く分かりません。見せてもらおうと声をかけると「いままでオレはこれでやってきた」「お前が管理できるわけがない」と妻のことを全く信用していませんでした。とはいえ、もう家計状況は待ったなしです。
夫のクレジットカードの請求が、月収以上になる月の多さに愕然としたそうですが、何に使っているのか聞き出そうものなら、逆上したり無視したりが始まってしまったそうです。収入を増やすことができない今、できるところからやるしかありません。
まずは、自分が管轄している生活費の部分と、預かっている通帳から引き落とされているものをひとつ残らずチェックしました。
本来は家計簿を細かくつけることを推奨していませんが、今回は1円までのお金の行き先を書き出し、こちらが無駄に使っていないことを見せるようにしたのです。
使い方は指図せず事実の把握に努める
クレジットカードの利用明細も源泉徴収票も給与明細もデータで交付されているため、妻側から見ることができませんでした。
管理ができないようならこちらで代わりにするから見せてほしい、現状を確認したいと粘り強く伝えましたが、請求額以外の明細を見せてもらえるようになるまで数カ月を要しました。
クレジットカードの引き落とし金額の請求が来たときに「引き落とすお金が口座にない」「次のクレジットカードは引き落としできない」という状況になり、ようやく少しずつ確認できるようになりました。
この段階では何に利用したのかは一切聞かず、購入した店と金額を控えるにとどめ、クレジットカード経由になっている「通信費」「夫に関係しない保険」などから見直しを行いました。
『家計のもの』と『ブラックボックス』に分けることにしたのです。それを進めているうちに「これは家計のものだから」などと夫からも情報開示がされるようになり、少しずつ全体像が見えるようになってきました。
お金ではない部分からのビジョンを共有
お金の話になると「オレはいままでこれでやってきた」「そんなやり方でうまくいくはずない」と、とにかく妻の言うことはどんなに正しかろうとも聞きたくないという態度を崩しませんでした。
そのため、まずはお金の話を前面にださずに「子供の教育」「家のリフォーム」「家族イベント」など、今後どうしていきたいかを共有することにしました。こうしたいと希望が出たところで「そのためにはこれくらいの金額が必要になる」とようやくお金の話を持ち出すのです。
顔色をうかがいながらの家計再生には時間がかかりましたが、夫も把握していなかった部分が見えるようになって、まず破綻寸前からは脱却することができました。
ご相談にいらしたお客様も、家計が破綻寸前になるまで夫に頼りきりになっていたことを反省し、そこからの脱却のために多くの労力を割いての家計再生となりました。
今後は「転職活動をして収入を増やす」「何かの時のための貯金を増やす」そして夫婦でコミュニケーションを取りながら将来について考えていくそうです。家計の結果はどちらか一方だけの責任ではありません。「夫婦のお金」として情報共有をしていただきたいと思います。
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
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