「孫に上場株式を贈与したい」生前贈与を受けた孫はどうすれば良い? 後編
ファイナンシャルフィールド / 2019年4月19日 8時30分
「老々介護」という言葉が日常的に使われるようになりました。自分が老後を迎えて先延ばしにしていた相続を考える頃、実は子どもも相続準備の適齢期という場合も多いのです。 子どもに財産が十分ある場合、自分の財産を“子どもに遺すのではなく孫に贈る”選択をするケースも増えてきました。
自分の財産に見落としはありませんか
相続対策を始めるにあたって1番目に着手すべきことは、自分の相続が発生した時に「相続人は誰になるのか」を確認することです。そして2番目は、相続財産の棚卸です。
シニア世代は持ち家率が高いので、不動産がメインになることが多いですが、他の財産を整理しておくことが重要です。支払期間が終了している生命保険、現在取引していない金融機関で作った定期預金、塩漬けになっている有価証券などは見落としがちですので、要注意です。
「解約したと思っていたが、残っていた」というのは、よくある話です。本人ですら記憶があやふやなのですから、相続が発生したら、それらの書類は残された家族に発見されることなく“お蔵入り”になる恐れがあります。
「贈与された資産」と「手持ち資産」のバランスを考える
前編に一例として登場したAさんは、祖母から上場株式を贈与されました。祖母は自身の財産を整理し、誰に何を譲るかを仕分けしたと想像できます。株式を贈与されたAさんは、投資経験はありません。今後の資産形成を考えると、「投資」について真剣に考えようと思っています。
現在は、上場株式の売買単位は100株で統一されていますが、以前は1000株の会社も多く存在しました。祖母から贈与された株数も1000株以上あり、かなりの高額になっています。
1つの銘柄に集中した状態で持ち続けると、その企業に問題が発生した時に損失が大きくなります。ここはリスクを小さくするために、資産を分散する必要があります。では、どこに移動させるのかを考えます。
iDeCoやNISAなどを始めた人が増えましたが、「投資は難しそうなので、未経験です」という方も、まだまだ多いです。
そういう方も、勤めている会社が確定拠出年金を導入していて、実は投資信託などを持っていることがあります。「“リスク少なめ”を選びました」という程度で、自分がどのような商品を選んだのかを覚えていない方も少なくありません。
取引状況については、運営管理会社から書類が届きます。基準日時点での年金資産の評価額や評価損益も知ることが出来ますが、今回欲しい情報は年金評価額の内訳です。円グラフで表されていることが多いです。
また、商品名だけでなく内容が大事なので、説明資料や運用実績の確認をお勧めします。確定拠出年金加入者専用のWEBサイトで閲覧できます。
確定拠出年金だけでなく、証券会社の口座でも口座ごとに取引状況の報告書が送られてきます。それぞれの円グラフを見れば、一目瞭然で「日本株式に偏っている」ことに気がついたりします。
また、預貯金も含めて考えることにより、「もう少しリスク資産を増やしても大丈夫」ということになるかもしれません。日本株式、外国株式、国内の債券、外国債券などのバランスをみます。
贈与された資産と手持ちの資産を併せて、偏りのないように資産配分を考えます。Aさんが贈与されたのは日本株式ですので、一般的にはそれ以外の資産に移動することになります。
もちろん、株式を売却して現金化することも考えられます。「来年1月に○○の費用がいるので、100万円分売却しよう」という場合は、一度に売却せずに、数回に分けて売却することをお勧めします。株価は変動しています。
「直前に現金化したら良いね」ということで、来年1月に売却したら、その時は安値になっているかもしれません。1番有利なタイミングを予想することは難しいですが、「底値で全部売ってしまった」ということは避けることが出来ます。
資産を移す場合は売るだけでなく、買うタイミングも気になります。現金化する時と同様に、複数回に分けて行うことが大切です。リスクを減らすための合言葉は“分散”。今回は時間の“分散”です。このキーワードを念頭に、資産について検討してください。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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