なぜ?あんなにも揉める?世間をにぎわしている【争族】
ファイナンシャルフィールド / 2019年4月30日 10時15分
最近ワイドショーなどで度々みかける、資産家の争族問題。なぜあんなにももめるのか?それは法律で『法定相続人』という制度があるからなのです。 この法律の施行で「妻」に対しての財産分与が大幅に守られました。長年連れ添い、夫を支えた「妻」に対して、とても素晴らしい法律だと思います。 しかし一方で、離婚も珍しくないこのご時世。熟年者の再婚も増えています。やはり、老後の一人暮らしは不安なもの。側に面倒をみてくれる人が欲しい気持ちもよくわかります。しかし、子供がいる人が再婚すると、将来的に問題になるのが、相続問題です。
法定相続人とは!?
人が亡くなりと、その方が持っている資産を親族で財産分与を行います。しかし、親族誰もが財産分与ができるわけではなく、そこには「財産分与できる親族」と「順位」「配分」というルールが法律で決められています。民法で決められた財産を相続する人のことを『法定相続人』といいます。
ただし、法定相続人の子供や兄弟姉妹が既に亡くなってしまった場合には、孫や甥・姪が「代襲相続人」としてそれを引継ぎます。
配偶者は常に相続人
配偶者は第一に相続人となる権利があります。他の親族がいる場合は、その親族との関係(順位)により、妻の相続割合が変わってきます。
昭和55年の相続改正に伴い、配偶者の法定相続分が引き上げられました(以前は、子と相続する場合は3分の1、直系尊属と相続する場合は2分の1、兄弟姉妹と相続する場合は3分の2でした)。また、妻の要件には当たり前ですが規定はありません。例えば、父親が若い妻をもらった直後に亡くなったとしても、戸籍上妻であれば「配偶者」として、「常に相続人」の立場になります。
離婚した妻との間の子供・婚外子は!?
熟年離婚が増えてきています。その時、妻は年齢的に次のパートナーとの間に子供を作る可能性は低いのですが、夫は別です。このケースは争族になりやすいパターンです。例え前妻との間にできた子供の親権がなくても実子なので、子供の相続の権利は、後妻との間にできた子と同じです。
相続は当人が亡くなった後に起こる問題。死人に口なし。本人の想いを確認することはできません。なので、前妻との間に子供がいる方が再婚をする際には、遺言書を作成することをモラルとして、実践していただきたいものです。また、婚外子がいる場合には「認知」が必要です。自分の血を継ぐ子孫がいる時は、終活を真剣に考える必要があるのではないでしょうか!?
遺言書がある場合
遺言書がある場合には、遺言書が優先されます。ですから、争族はかなりの確率で減ってきます。しかし、遺言書があったからと言っても、そこには最低限のルールがあるのです。仮に夫が愛人に熱を上げてしまい「全ての財産を愛人に贈与する」という遺言書を書いても、それは認められません。法定相続人には最低限法律で守られる相続権があります。それを「遺留分」といいます。
<遺留分が認められる場合>
遺留分は法定相続人の中でも、配偶者・子供・直系尊属のみが認められます。兄弟姉妹には「遺留分」の権利はありません」。
<遺留分の割合>
直系尊属のみ:3分の1
その他の親族:2分の1
ここは、妻も子供も変わりません。上記の様に「愛人に全て」の遺言書があったケースにおいて、妻と子供が2人いたとしましょう。それでも、「妻と子供併せて:2分の1」の権利となります。
もめるような財産がないから我が家は大丈夫。うちは兄弟姉妹が仲良しだから争族なんてありえない。誰もがそう思うものですが、そうならないのが相続です。50歳を過ぎたら、終活を考える社会になるように、相続診断士としてできることをしてまいりたく思います。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
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