株式と比較した時のJリートを考えよう
ファイナンシャルフィールド / 2019年5月11日 10時50分
![株式と比較した時のJリートを考えよう](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_43150_0-small.jpg)
インターネットやテレビなど、日々のニュースの中で「Jリート」という言葉をお聞きになったことのある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか? 「投資信託では、相変わらずリートが根強い人気だよ」と耳にしますが、「リートが人気」という事実を、筆者は意外に感じていました。
Jリートって、ご存じでしょうか?
東京証券取引所という、わが国の株式売買の現場に絞ってみてみると、Jリートも含めた1日の平均の売買高は2兆8453億円。そのうち、Jリートだけの1日の平均の売買高は、443億円に過ぎません。
(なお、本稿では、国内のリート、すなわちJリートに絞ってみていくことにしますが、もちろんリートは海外にもあります。なので、冒頭に書いた「リートの名を冠した投資信託」には「海外のリート」を対象にした商品が含まれます)。
筆者にとっては、「Jリート」は「マイナーな投資商品」というイメージでしかありません。
そもそもリートって?
リートは「REIT」と書きます。「REAL ESTATE INVESTMENT TRUST」の略です。日本語に直すと「不動産上場投資信託」みたいな感じですね。
不動産(土地や建物、賃借権など)を、株式と同じように証券取引所で売買することができる商品です。なので、信用取引はもちろんのこと、指値や成行も可能です。
例えば、REITではない、ごく普通の不動産のお話です。「実家を相続したけど、住む予定が無いので」と、街の不動産屋さんに売却を依頼。しかし、「何ヶ月も、なかなか買い手が見つからない」ということがあると思います。
REITなら、持っているREITを、証券会社を通して東京証券取引所にて売却することができます。
株式と同じ取引所ですから、成行なら売却ができたとしても、想定外の価格で売却することになってしまうかもしれません。また、指値だと買い手が見つからず、売却できない可能性もあります。
しかし、「REITではない、普通の不動産」に比べると、売買の取引がしやすいのがREITの特徴と言えるでしょう。
株式は「事業会社」なら、REITは?
そもそも株式会社とは、「株式(=株券)を発行して、投資家から資金を募り、投資家から募った資金を元手にして事業(=ビジネス)を展開し、事業を通じて得た利益の一部を配当金として投資家に還元する。
また、展開していた事業によって会社を成長させ、株式の価値を上げる」というのが筆者の理解です。
一方、REITは、「株式(=株券)を発行して、投資家から資金を募り、投資家から募った資金を元手にして不動産を取得して大家業を展開し、大家業を通じて得た家賃のほぼ全て(=事実上、全額)を配当金として投資家に還元する。
また、新たな不動産の取得によってREITの価値を上げる」というのが筆者の理解です。株式に比べると、REITは不動産ですから、画像の閲覧や動画の視聴、それに訪問などによって、物件を確かめることができます。
そして、配当金のそもそもは家賃です。なので、株式に比べると、「REITは分かりやすい」というイメージがあるのかもしれませんね。
株式に比べ、REITが有利と思われる点
株式を保有している投資家に対し、利益の一部を還元する配当金ですが、利益には法人税が課税されます。また、利益のうちの一部を、内部留保として会社にとどめることがあります。
つまり、株式の場合、利益のうちから内部留保と法人税を差し引いた残りを、配当金として投資家に還元することになります。
REITの場合、「利益の90%超を配当金として投資家に還元すれば、利益に対して法人税を課税しない」というルールがあります。なので、利益の100%を配当金として投資家に還元するREITもあるようです。
利益の処分の方法は、株式よりもREITの方が有利なようですね。もっとも、株式にせよREITにせよ、利益を上げることができなければ、どうしようもありませんが。
※本稿ではREITについて、ごく簡単に述べていますが、REITの投資を推奨している訳ではありません。よって、「REITに投資をしてみたい」という方は、ご自身の判断でなさってくださいませ。なお、筆者もREITを保有しています。
出典
日本取引所グループ「売買高・売買代金(内国・外国株式合計)」
日本取引所グループ「月刊REIT(リート)レポート(2019年2月版)
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
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