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老後資金準備の「きほんのき」 老後のためにお金を借りるのはあり?なし?

ファイナンシャルフィールド / 2019年5月17日 8時30分

老後資金準備の「きほんのき」 老後のためにお金を借りるのはあり?なし?

人生3大資金とは、「教育資金」「住宅資金」「老後資金」のことをいいますが、全てをバランスよく準備するのは、非常に困難です。昨今、晩婚化にともなう高齢出産も増えており、教育資金と老後資金を同時に準備せざるを得ないケースも少なくないからです。   そんな中、老後資金の準備方法の一つとして脚光を浴び始めた「iDeCo」の利用者が100万人を突破しました(2018年8月時点)。   今後も、公的年金に期待ができない反動で、加入者は増え続けるでしょうが、今回、このiDeCoのメリットを打ち消すようなニュースが流れました。今回は老後資金に注目してみましょう。  

老後資金は借りてはいけない

今回のメリットを打ち消すニュースとは、iDeCoの加入者向け融資サービスが行われるという内容でした。加入者がこの融資を受けることによって、自動車の購入費や教育費など、まとまった資金需要に対応できるようにというわけです。
 
まずは、地方公務員団体から始めて、徐々に提供先を広げるということで、まだ実際に動き出しているわけではありませんので、詳細についてはわかりませんが、拠出する目的である「老後資金」のために、借金をするというのでは本末転倒です。
 
「公的年金に期待できない」→「貯蓄が必要」→「貯蓄がなかなかできない」→「借りることを考える」→「借りる」という流れになってきていることは否めません。
 
年金の受給権がある方は、年金を担保にして借りる、持ち家がある方は、リバースモーゲージなどで居住しながら生活資金を借りるなど、現状でも老後資金のために「借りる」選択肢があるのは事実です。
 
ただ、老後に借金があると、「返済できるのか」ということが一番問題になります。自分の寿命がわかる方は誰もいません。いくらかかるのかわからない、いくら返せるのかわからない金額を安易に「借りる」前に、他の方法が無いのか、まずは探してみてください。
 

iDeCoの特徴をおさらい

これまでも個人型確定拠出年金についてのメリット・デメリットについては、何度もコラムで触れていますが、おさらいしておきましょう。
 
メリットとしては、毎月決まった金額を積み立て、運用成果次第では、老後資金を多く積み立てることができるということ、そして、その掛金は所得控除の対象となり、運用の成果も非課税となる点です。もし、公務員が拠出金の上限14.4万円を積み立てるとすると、年43,200円の節税効果が得られます(税率30%の場合*注)。
 
ただ、例えば、企業型の確定拠出年金加入者の運用状況を見ると、預貯金や保険などの元本確保型投資信託等への拠出をする方の割合が54%となっています(出所:平成29年6月6日 社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会資料)ので、必ずしもこのメリットを生かし切れていない現状がうかがえます。
 
このような運用益の少ない運用方法では、節税ができたとしても、その効果を管理手数料や信託報酬などの経費で打ち消すような運用をしているともいえるでしょう。
(注)所得によって税率が異なりますので、効果も異なります。
 

老後資金を貯める「きほんのき」を忘れないで

私たちFP(ファイナンシャルプランナー)は、相談者から「いくら老後資金があると安心ですか」とよく聞かれます。雑誌のタイトルなどで「1億円必要」や「最低でも3000万円必要」と書いてあるのを見て、不安が増す方も多いようです。
 
ただ、専門家でも「これくらいのお金があると安心です」とは、とても言えません。人の寿命は誰にもわかりませんし、持っているお金すべてを使いきって死ぬことは誰にもできないのです。
 
言えるのはこれだけです。「老後資金は長期間かけて積み上げていくものです」いきあたりばったりでなく、計画が大事だということです。冒頭に、人生の3大資金と申し上げましたが、このバランスをちゃんと取っていくだけでも、かなりの効果があります。
 
人生3大資金を支出する状況になった時、「塾に行きたい」「習い事をしたい」というかわいい子どもの声や「このキッチンがとても素敵。ちょっと予算オーバーだけど」という奥様の声を無視することはなかなかできないでしょう。
 
ただ、一旦持ち帰り、「もしこれにお金を使ったら将来どうなるのか」という長期間の計画を立てる習慣を付けるだけでも、違うでしょう。
 
この一つ一つの作業、「これにお金を使ったら将来の貯蓄がこれくらい変わる」という積み重ねが、一番貯めることの難しい老後資金を着実に積み立てていくのです。「余ったら貯蓄する」「今は無理だけど、もう少しすると余裕が出るはず」という甘い希望は、自分の首を絞めることになります。
 
今はインターネットでたくさんの情報を得ることができます。専門家の情報もありますが、情報自体は玉石混交です。
 
もし、「相談する」というより、「できるなら自分で判断したい」という方であれば、日本FP協会のライフプラン診断(http://www.jafp.or.jp/know/lifeplan/simulation/)も利用してみましょう。いくつかの質問に答えることで、「将来の」家計診断が可能です。
 
これ以外にも、金融広報中央委員会「知るポルト」の家計診断もあります。https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sindan/input/
「借りる」ときには、「返せるのか」を必ず考えていただきたいものです。
 
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 
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