【人生100年時代は辛い】長寿社会の到来で変化するライフプラン
ファイナンシャルフィールド / 2019年5月23日 22時45分
![【人生100年時代は辛い】長寿社会の到来で変化するライフプラン](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_43955_0-small.jpg)
「人生100年時代」と言われる時代になりました。しかし、人生が100年になることによって、自分の生活がどう変わり、社会がどう変化していくのか、具体的にイメージしたり、現実的に考えたりすることは、案外難しいかもしれません。 しかし、100歳まで生きるかもしれない長い人生を、無計画に、そして備えることなしには迎えることはできません。
長寿化社会の到来
2017年の平均寿命は、女性87.26歳、男性81.09歳です。1990年の平均寿命が女性81.84歳、男性75.91歳でした。2016年の男性の健康寿命が72歳ですから、75.91歳という当時の男性の平均寿命は、現在においては、まだまだ元気で若いと感じる年齢かもしれません。
約30年間で男性・女性とも約5歳平均寿命が延びたことになります。そして、これからも平均寿命は延伸します。内閣府の「平成29年高齢社会白書」によれば、2050年には、女性90.4歳、男性84.02歳と男性、女性ともそれぞれ約3歳伸びると予想されています。
さらに、厚生労働省が社会保障審議会年金部会に提出した資料によると、1970年〜1980年生まれの人が65歳を迎えると、90歳まで長生きする確率は、女性は約7割、男性は約4割と見込まれています。さらに、女性にいたっては、5人に1人が100歳まで長生きする見込みです。
まさに、今、私達は人生100年時代を歩んでいるのです。
老後は年金だけでは生活できない
下記は、2017年総務省家計調査「高齢夫婦無職世帯の家計収支」より抜粋した表です。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2019/05/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-24.jpg)
これを見ると、収入が20万9,000円で、内訳を見ると、約9割を社会保障給付が占め、年金に頼って生活していることが分かります。一方、支出は26万4,000円ですから、毎月約5万5千円が赤字です。
60歳定年が努力義務化された30年前、仮に60歳で定年したとすると、老後の人生は、女性は約20年、男性は約15年でした。もし、この赤字生活が20年続くなら累計赤字額は、1,320万円になります。
しかし、現在は100歳まで生きる時代です。70歳まで働いたとしても老後は30年もあります。30年間、この家計状況が続くとすると、累計赤字額は約2,000万円になります。
この赤字額は、個人の生活水準や年金額、家族の状況、健康状態などによって大きく異なりますから、1つの目安でしかありません。しかし、すぐに準備できる金額でないということは、確実に言えるのではないでしょうか。
健康である限り働き続ける
100年という長い人生を生き抜くためには、やはり働き続けることが一番の解決策となるでしょう。
現在、政府は人生100年時代に備えて、一億総活躍社会の実現に向けて取り組んでいます。65歳を超えても働ける社会の実現、高齢者の就業率を高めていく環境整備がされようとしています。70歳定年時代も、そう遠くない将来かもしれません。
とはいえ、働き続けるためには、健康でなくてはいけません。健康な体は、すぐに作り上げられるわけではありません。毎日の積み重ねですから、健康な体づくりに早くから取り組むことが大切になります。
資産形成をはじめる
老後の不足資金も健康な体と同様、すぐに作ることはできません。住宅ローンや教育費を支出しながら、老後のために貯蓄をするわけですから、少しずつ長い年月をかけて積み立てをすることになります。そのためには、やはりiDeCoや企業型確定拠出年金の活用が必須となります。
確定拠出年金の運用状況を見ると、資産額全体に占める元本確保型商品の割合は全体の約5割です。しかし、金利の低い元本確保型では、老後の不足資金を準備できない可能性があります。
元本確保型は資産が目減りすることはなく、リスクがないと思われるかもしれませんが、老後不足資金を準備できないことは、大きなリスクです。昭和時代のように7%という定額貯金は存在しませんから、今やそれにとって代わる資産運用が生活する上で必要なのです。
確定拠出年金の制度を充分に活用して、資産形成をすることが老後破綻、老後貧困を避ける一番の近道となります。そして、できるだけ長い時間をかけて、じっくりと老後の資産形成に、今すぐ取り組むことが人生100年時代を生き抜く手段となるでしょう。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者
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