海外旅行中に病気やケガで治療を受けたら、治療費は全額負担になるの?

ファイナンシャルフィールド / 2019年5月29日 9時30分

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一般社団法人旅行業協会の資料によると、海外旅行者数は、海外旅行の自由化が始まった1964年には約12万8千人でしたが、2017年には、約1,790万人となっています。筆者が学生の頃は海外旅行は憧れでしたが、いまでは卒業旅行に海外に行くことも珍しくありません。   海外は日本と医療制度が大きく異なりますので、海外旅行中にケガや病気で治療を受けた場合、日本の健康保険証等は利用できないので、治療費の全額を支払わなければなりません。ただし、治療費の一部は、申請により健康保険等から還付を受けることができます。  

海外療養費支給制度

海外では日本に比べ、一般的に治療費は高額です。例えば、ホノルルやロサンゼルスなどで盲腸(虫垂炎)の手術をして入院(平均2日程度)すると、約160万円~約250万円かかるといわれています。
 
海外旅行保険に加入していれば治療費を保険でカバーすることが可能ですが、そうでない場合でも諦めないでください。
 
海外療養費制度により、治療費の一部を還付してもらうことが可能です。海外療養費制度は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やケガなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療等を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを健康保険や国民健康保険から受けられる制度です。
 

給付の範囲

海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険適用とされている医療行為に限られます。
 
そのため、美容整形やインプラント、自然分娩、心臓や肺などの臓器移植、歯列矯正など、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。また、療養(治療)を目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。
 

支給額

海外で支払った医療費が全額対象となるわけではありません。日本国内の医療機関等で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(3割負担など)を差し引いた額が支給されます。
 
例えば、旅行者が海外の医療機関に100万円支払った場合でも、日本で同じ傷病で治療したときの金額が40万円とすると、この40万円が基準になります。したがって、還付されるのは、自己負担割合が3割の場合、40万円×70%=28万円のみとなります。
 
なお、海外療養費の請求については、海外療養費支給申請書や診療内容証明書、領収明細書などが必要になります。
 
また、外国語で記載された書類は日本語に翻訳する必要があります。翻訳文には、翻訳者が署名し、住所および電話番号を明記します。詳しくはご自身が加入している医療保険の保険者にご確認ください。
 

特別補償規定(旅行業約款)

旅行会社が実施する企画旅行に参加する旅行者が、その企画旅行参加中の事故によって身体に傷害を被ったときに、旅行者又はその法定相続人に死亡補償金、後遺障害補償金、入院見舞金及び通院見舞金が支払われます。 
 
海外旅行を目的とする企画旅行の場合、旅行者1名につき、死亡補償金は2,500万円、後遺障害補償金は死亡補償金の3%~100%、入院見舞金は4万円~40万円、通院見舞金は2万円~10万円となっています。
 
その他の補償、請求の手続き等は旅行業者の旅行業約款でご確認ください。
 

海外旅行傷害保険の加入のすすめ

海外療養費支給制度は、治療費の一部しかカバーしません。また、救援者費用や賠償責任等は支給の対象になりません。この点は、特別補償制度も同様です。
 
別途、補償を充実させるために海外旅行傷害保険への加入をお勧めします。
 
加入により、保険会社の付帯サービスとして、日本語による24時間の情報提供やその他必要な手配などのサービスを受けることができますし、保険会社の提携する医療機関で治療を受ければ、キャッシュレスで治療を受けることも可能です。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
 
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